厚生年金基金と厚生年金の違いとは|実質廃止の理由も徹底解説

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日本の年金制度には国民年金・厚生年金・企業年金の3つの制度があります。 今まで年金制度の3階部分として私たちの老後を支えるはずだった企業年金の一つ「厚生年金基金」は、平成26年4月より新設はできなくなり、平成31年までに今ある厚生年金基金も解散される予定です。 厚生年金基金の廃止までの経緯と、それに代わる年金制度「確定拠出年金」について解説します。 また厚生年金基金は「厚生年金」と名前が似ているので混同されることがありますが、まったくの別物です。この厚生年金との違いも含めて説明します。

厚生年金基金と厚生年金の違いとは|実質廃止の理由も徹底解説

日本の年金制度

厚生年金基金の説明の前に、日本の年金制度の概要を見ていきましょう。

日本の年金制度は3階建ての構造になっています。1階に「国民年金」2階に「厚生年金」3階に「企業年金」が積み重なる構造になっています。

各年金の対象や違いを詳しくみていきましょう。

1階部分:国民年金

対象:日本に住んでいる20歳以上、60歳未満のすべての人

すべての年金の土台となるので、「基礎年金」とも呼ばれます。毎月の保険料は年度ごとに決められ、ここ数年は月16,000円前後です。所得のない学生向けに「学生納付特例」や、所得の少ない若年層向けに「納付猶予制度」など、免除や納付猶予制度もあります。

 

2階部分:厚生年金

対象:会社員、公務員

年を重ねると増える収入減のリスクに備えることを目的とした公的年金です。厚生年金の保険料は在職中の給与水準と加入期間などに応じて決定され、従業員と会社が折半して負担します。納付額によって受給額は変わりますが、10年以上納付しなければ受給できません。専業主婦など会社員や公務員の扶養者は第3号被保険者にあたり、保険料の支払いはありません。

3階部分:企業年金等

対象:会社員、公務員

企業年金は、国が管理する公的年金にプラスして受け取る私的年金です。社員の老後保障を目的に、企業が社員に対して年金を支給するので、退職金代わりと考える方もいます。公務員の場合は、年金払い退職給付がこれに相当します。

企業年金には種類がいくつかあり「確定給付企業年金」、「確定拠出年金」、「厚生年金基金」が主な企業年金です。

厚生年金基金とは

企業年金のひとつである厚生年金基金は、上記の3階建て年金制度の3階部分に当たる私的年金です。

国の認可を受けて企業から独立した特別法人「厚生年金基金」が、事業主=企業と、年金制度加入者=社員の間に介在して、管理・運用・給付を行います。保険料は会社と社員が折半して負担しますが、会社によっては全額会社負担としているところもあります。私的年金なので、保険料は国ではなく厚生年金基金へ納めます。

私的年金ではありますが、厚生年金基金では厚生年金の一部を代行し、さらに企業独自の給付を上乗せして支給するという特徴があります。

厚生年金基金の3つの設立形式

これから厚生年金基金の3つの設立形式について説明します。

単独型

大企業が自社の企業年金制度をカバーすることが目的に、単一の企業が国の認可を受けて設立する厚生年金基金です。1,000人以上の加入者が必要なので、大企業の特別法人が当てはまります。

連合型

グループ会社や資本関係のある企業群が、1つの厚生年金基金を設立する形態です。単独型と同様、1,000人以上の加入者が必要なので、大企業のグループで多く用いられてきました。

総合型

資本関係のない複数の中小企業で設立される形態の厚生年金基金です。業界団体や地域団体に加入している企業が集まって基金が設立される場合が多いです。総合型であれば大企業でなくても、中小企業が厚生年金基金を設立できます。

厚生年金基金と厚生年金の違い

名前が似ているため、よく混同される「厚生年金基金」と「厚生年金」。この2つにはどのような違いがあるのでしょうか?

運営元が国か企業か

厚生年金は国が運営する公的年金であり、厚生年金基金は企業が運営する私的(企業)年金です。基金は国の認可を受けた「特別法人」なので、国の監督規制を受けなければなりません。

厚生年金は加入義務、厚生年金基金は会社次第

厚生年金は、会社員であれば必ず加入しなければなりません。

一方、厚生年金基金は、在籍する企業が厚生年金基金に加入していれば、加入しなければなりません。国籍や性別、年金の受給有無関係なく、加入しなければなりません。社員に加入意思があったとしても、在籍企業が厚生年金基金に加入していなければ、厚生年金基金に加入できません。

また厚生年金基金の加入先は、企業によって異なります。