官公庁ビジネスは中小ベンチャーこそチャンスあり!メリット・デメリット徹底解説

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最近ソフトバンクやLINEなど、大手が続々と参入している官公庁ビジネス。しかし実はその半数以上を、中小ベンチャーが受注しているということをご存じだろうか。地方創生が盛んに叫ばれる今こそ、ビジネスチャンス。官公庁ビジネスの事業領域、メリット・デメリット、参入するために必要なことを徹底解説する。

官公庁ビジネスは中小ベンチャーこそチャンスあり!メリット・デメリット徹底解説

ソフトバンクやLINEも参入「官公庁ビジネス」とは

官公庁ビジネスとは、企業が国や自治体のパートナーとして地域の課題解決に取り組み、社会貢献の一翼を担うことである。ポイントは、それが単なる社会貢献ではなく、ビジネスとして成立するという点だ。

9月に入り、LINEは神奈川県・鎌倉市と、ソフトバンクは長野県とそれぞれ包括連携協定を結び、話題となった。

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しかし、実は官公庁ビジネスの半数以上を、中小ベンチャー企業が受託しているということをご存じだろうか。

出典:官公需法に基づく「平成30年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針」について

※「官公需」とは、国や独立行政法人、地方公共団体などが、物品を購入する・サービスの提供を受ける・工事を発注することなどをいう。

筆者は官公庁ビジネスの話をすると、実際に「役所の仕事なんて、どうせ大手企業への委託があらかじめ決まっているんでしょ・・」「うちのような中小企業やベンチャー企業には、そもそも取引信用(資格)がないのでは?」などの声をよく耳にする。

昭和の高度経済成長期にあった、一部大手ゼネコンの官公庁との癒着事件などがそうしたイメージを生んでいる可能性もあるが、それはまったくの思い込みである。

「中小企業者向け契約の実績」を見ると、その発注先は大手企業よりもむしろ、地域の中小企業に多く受注実績があることがわかる。実は官公庁ビジネスこそ、中小企業にとって有利な市場なのだ。

官公庁が中小企業を優遇する理由とは?

国は、中小企業者の官公需の受注機会を増大するために、「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」に基づいて、中小企業者向けの官公需契約目標や目標達成のための措置を内容とする「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」を毎年度閣議決定し、公表している。

また、「地方創生」「地域活性」と盛んに叫ばれる昨今、地域の中小企業や地場産業にこそ、お金が落ちるチャンスはある。

東京都心まで足を稼いでわざわざ営業に行かずとも、気を遣って接待し、取引先企業の決裁者から有益情報を聞き出す苦労する必要もない。役所は「公正」「公平」に案件情報をネット上に公示するため、まずはその情報をキャッチすることが大切だ。

官公庁ビジネスの事業領域とは?

では、官公庁ビジネスの領域を具体的に説明する。代表的なものとしては、以下の3つがあげられる。

1.工事(いわゆる公共工事)
道路工事、下水道工事、橋梁の建設、河川整備など

2.物品(物を買う)
コピー用紙、文具、電池、土嚢、洗剤、オフィス家具、災害備蓄品など

3.役務(サービス・ソフト事業を委託する)
人材派遣、コールセンター、印刷、警備、清掃、システム開発、調査、研修、
パンフレット作成、Webサイト作成、イベント企画、リース、その他地域のためのソフト事業など

一般的に官公庁ビジネスといえば、公共工事などのイメージが強い。しかし行政に求められるサービスが非常に多様化する中、現在は「役務」の市場がもっとも高需要となっている。

官公庁ビジネスに参入する5つのメリット

では、あえてこのビジネスに参入するメリットについて説明しよう。

1.公平・公正・透明な発注先選定プロセス
2.ひとたび実績ができると安定的に受注できる
3.「入金遅滞」「未回収」「貸し倒れ」とは無縁の世界
4.自社の社会的信用とブランド力の向上
5.トップ営業マンがいなくても大丈夫

官公庁ビジネスは受託すると、隣接する自治体や県の公募案件も受託しやすくなるという特徴がある。行政側は、他地域での事例・実績があることを、決裁する際に重視する傾向だからだ。

また取引相手が「官公庁」ということは、いわば国の後ろ盾がある取引である。民間の場合、取引先企業の業績や財務状況を把握しにくく、特に中小企業にとってリスクにもなりえる。しかし官公庁が倒産するというケースは、ほぼないのである。

唯一のリスクは、「キャッシュフロー」

まずは官公庁から受託し、事業を履行するまでの流れを簡単に説明する。

案件公示

●入札(価格による競争)
●プロポーザル(企画による競争)
●総合評価落札方式(価格および提案内容による競争)
などの方法で提案

受託「仕様書」(「委託事業の取引条件書、指示書」)に記載された事業履行

一般的に、官公庁ビジネスでは、事業の委託期間(契約期間)終了後、成果物を納品、受託企業からの事業報告書の提出をした後、役所側でのチェックが完了後、委託料が支払われるのが基本である。

その間、自社で制作物などをつくる経費、その事業にあたるスタッフの人件費などは、原価として持ち出しになるため、事業体制や回収イメージを計画して、応札に挑まなければならない。官公庁ビジネスにおいて唯一のリスクをあげるとするならば、この点だろう。

ただし近年、平成29年度の閣議決定では、中小企業やベンチャー企業が受託しやすいようにする、人件費比率の高い業務で「部分払い」などの配慮措置がとられるようになってきている。