有料プランも含めて機能や料金の詳しい解説は、次の記事で紹介しています。
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労務管理システムのおすすめ比較をチェックする
労務管理システムとは
労務管理システムとは、従業員情報や入退社手続き、社会保険、年末調整などの労務業務をクラウド上で一元管理できるシステムです。従業員データベースの管理や入社・退職手続き、社会保険や雇用保険の電子申請、マイナンバー管理、年末調整、勤怠・給与情報の連携による給与明細の発行、雇用契約の電子締結といった機能がついています。Excelや紙の台帳、紙のタイムカード、紙・メールでの各種申請書といったアナログな管理方法による、手作業中心の煩雑な業務を効率化できます。
なぜExcelや紙の台帳・紙の申請書は限界なのか?無料システムでこう変わる
今あなたの会社で起きている「打刻漏れや入力ミスが毎月必ず発生する」や「同じ勤怠・従業員情報を何度も入力している」といった問題は、あなたの管理能力の問題ではなく、Excelや紙の台帳・紙の申請書での労務管理の限界です。
なぜなら、紙やメールで届いた勤怠情報や各種申請内容を、人間が手作業で転記・集計するのは、非効率な作業そのものだからです。従業員数や手続き件数が増えていけば、人間が手作業で確認できる量をいつかは超え、ミスが必ず発生します。
0円で使える無料の労務管理システムならこの状況を改善できます。たとえば、次のように変化が生まれます。
| あなたの課題 | Excelや紙の台帳・紙の申請書 | 無料システム |
|---|---|---|
| 打刻漏れや入力ミスが毎月必ず発生する | 出退勤や申請内容を人が目で追いながら手入力するため、どうしても漏れや誤入力が発生する | 勤怠打刻や申請内容が自動で反映されるため、転記ミスを大幅に削減できる |
| 同じ勤怠・従業員情報を何度も入力している | 従業員台帳と勤怠表、給与ソフトなど、複数のExcelやシステムに同じ情報を二重・三重に入力している | 従業員情報を一度登録すれば、勤怠・給与・各種手続きに自動連携され、1回の入力で完了 |
| 残業時間や36協定超過リスクがリアルタイムに把握できない | 部署ごとに勤怠ファイルが点在し、月末に集計するまで残業時間の全体像が見えない | 全従業員の労働時間がクラウド上で集計され、危険な残業状況もリアルタイムで把握できる |
| 有休や残業などの申請書がどこまで承認されたかわからない | 紙の申請書やメールでの依頼を、Excelと電話・チャットで確認しながら追いかけている | 申請・承認のステータスが一覧で確認でき、誰の申請がどこで止まっているか一目でわかる |
| コスト | 0円 | 0円 |
これをふまえると、Excelや紙の台帳や申請書による管理からいち早く無料システムに乗り換えるべきではないでしょうか。しかし、無料で使える労務管理システムにも、使いやすいサービスと使いにくいサービスがあります。
労務管理システムを無料で使う方法
サービスごとに用意されている無料プランや無料トライアルを活用すれば、労務管理システムを無料で利用できます。
労務管理システムの無料プランを利用する
有料サービスの無料プランであれば、期間の制限がなく無料で使い続けられるため、費用をかけずに労務管理業務を効率化できます。
ただし、登録できる従業員数や利用できるアカウント数に制限が設けられていることが一般的です。たとえば、SmartHR労務管理では従業員数30名まで、ジョブカン労務HRでは従業員数5名までを登録できる無料プランがあります。
さらに、利用できる機能が有料プランに比べて少ない、あるいは有人サポートを受けられない場合があります。
| 主な制限項目 | 制限の例 | 対応・代案の例 |
|---|---|---|
| 登録人数 | 登録できる従業員情報が5人まで | 有料プランを検討する |
| ユーザーアカウント | 利用できるシステムアカウントが1名分まで | 担当者1名で運用する |
| 機能 | 雇用契約の電子締結(電子契約)機能が利用不可 | 電子契約システムの無料プランを併用する |
| データ保存 | データ保存期間が1年間 | 随時データをダウンロードして別途保管する |
| サポート | 電話やチャットでの有人サポートが非対応 | ヘルプページを確認して設定やトラブル対応をする |
労務管理システムの無料トライアルを利用する
有料サービスの無料トライアルは、すべての機能あるいは一部の基本機能を、1週間や1か月など一定期間体験できる方法です。
無料トライアルは有料サービスの導入を判断するための試用版であるため、無料では使い続けられません。そのため、トライアル期間が終了すると有料プランに移行するか、サービスの利用を終了するかを決める必要があります。
無料トライアルで使用感を試したい企業は、有料の労務管理システムの選び方を押さえておきましょう。選び方や厳選おすすめサービスは、 労務管理システム厳選比較・選び方記事 で詳しく紹介しています。
無料の労務管理システムが向いている企業
無料の労務管理システムには何かしらの制限があるため、向いている企業・向いていない企業があります。
【無料プラン】増員予定があまりない小規模事業者
従業員が少なく増員予定があまりない企業には、無料プランの労務管理システムがおすすめです。
無料プランの労務管理システムは登録できる従業員数に制限があることが多いため、従業員数が多ければそもそも利用できない、あるいはシステムの恩恵をほとんど受けられません。また、規模の拡大を予定しているのであれば、すぐに上限人数に達してしまいます。
従業員数が多い企業や、従業員が少なくても増員計画がある企業は、有料プランの労務管理システムのほうが自社の要望にあったサービスを選定できます。
【無料トライアル】有料サービスを導入する前に使用感を試したい企業
労務管理システムの無料トライアルは、有料サービスを導入する前に使用感を試したい企業におすすめです。無料トライアルを利用することで、システムの全体的な機能や操作性を把握でき、有料プランへの移行を検討しやすくなります。
自社の業務フローにマッチするかどうかを事前に確認することで、自社に合わないシステムを避け、最適な労務管理システムを選択できます。
労務管理システムには多くの種類があり「どれを選べばいいか」迷いますよね。後から知ったサービスの方が適していることもよくあります。導入の失敗を避けるためにも、まずは各サービスの資料をBOXILでまとめて用意しましょう。
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【料金・機能比較表つき】労務管理システムの資料をダウンロードする(無料)
無料で使える労務管理システムの選び方
無料で使える労務管理システムを選ぶ際には、ユーザー数、従業員数や手続き件数といった制限、サポート体制などに注意して選びましょう。
【ユーザー数】チーム全員で「無料」で使えるか?
無料で使えるサービスを選ぶときに重要なのはユーザー数の制限です。管理者1人だけが無料で利用できても、部下を含めた現場の業務改善にはつながりません。Excelや紙の台帳・申請書から脱却するには、勤怠情報や各種申請のステータスをチーム全員がリアルタイムで共有できる必要があります。
オフィスステーション労務のように、アカウント数・登録従業員数ともに制限がないシステムであれば、部署全員を巻き込んだ運用がしやすく、将来の人員増にも柔軟に対応できます。
【機能の制限】自社の従業員数や手続き件数に対応しているか?
業務ツール導入時は、ユーザー数に加え、利用できる機能の制限確認が必要です。無料プランの多くは「登録できる従業員数○人まで」「利用できる手続きの種類が限定」といった上限が設けられており、手続き件数が多い企業の場合はすぐ上限に達し、以前の非効率な業務に逆戻りします。自社で毎月どれくらいの入退社、住所変更、扶養変更、年末調整などが発生しているか、大まかに把握しておきましょう。
SmartHR労務管理は、従業員30名までなら人事管理や入社手続き、社会保険の電子申請、年末調整、給与明細発行まで無料で利用できます。オフィスステーション労務は従業員数が無制限です。無料で電子申請できる手続きの範囲には制限がありますが、従業員数を気にせず使える点は中堅企業にとって大きなメリットです。
【サポート体制】無料でも問い合わせ先はあるか?
IT専任担当者がいない会社では、無料プランでも最低限の問い合わせ先があるサポートをおすすめします。システムの専門家でないため、初期設定や突然のトラブル時に頼れる窓口がないと業務が停止しかねません。
ジョブカン労務HRは無料プランでも、電話とメールでの問い合わせが可能です。マニュアルやFAQだけでなく、困ったときに質問できる窓口があるサービスを選んでおくと、社内にノウハウがない段階でも安心して運用を始められます。
無料プランの労務管理システムは用途で選ぶ
労務管理業務には、入退社手続きや社会保険の電子申請、年末調整、勤怠管理、給与計算などが含まれます。これらの中から複数の労務管理業務に対応しているシステムもあれば、勤怠管理のみといった特定の業務に特化したシステムがあります。
そのため、どの業務に利用するかは、労務管理システムを導入する際の大きな選定軸です。とくに、無料の労務管理システムは利用できる機能に制限があるため、用途を絞って選ぶことが重要です。
以降では利用できる用途別に、無料で無期限使える労務管理システムを紹介します。
【人事管理・電子申請など】無料で無期限使える労務管理システム5選 │比較表つき
人事管理や電子申請、マイナンバー管理、年末調整に利用できる無料の労務管理システムを紹介します。それぞれ対応している用途が異なるため、次の比較表も参考にしてください。
| SmartHR労務管理 | ジョブカン労務HR | オフィスステーション労務 | HRMOS年末調整 | フリーウェイマイナンバー | |
|---|---|---|---|---|---|
| アカウント数制限 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 制限なし | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 登録従業員数制限 | 30名まで | 5名まで | 制限なし | 制限なし | 20名まで |
| 人事管理(従業員データベース) | ○(制限あり) | ○ | ○ | – | – |
| 入社手続き(個人情報収集) | ○ | ○ | × | – | – |
| 電子申請(社会保険手続き) | ○ | × | ○(労務ライト) | – | – |
| マイナンバー管理 | 要問い合わせ | ○ | – | – | ○ |
| 年末調整 | ○ | × | – | ○ | – |
| 勤怠管理 | × | – | – | – | – |
| 給与計算 | × | – | – | – | – |
| 給与明細発行 | ○ | – | – | – | – |
| 雇用契約の電子締結 | × | × | – | – | – |
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SmartHR労務管理
SmartHR労務管理には、労務管理機能を無料で利用できる¥0プランがあります。15日間の無料トライアル終了後に選択できます。登録できる従業員数30人までであるものの、従業員データベース(一部制限)や入社手続き時の個人情報収集、電子申請、年末調整、給与明細発行を利用可能です。
ただし、¥0プランでは次のことが利用できません。
複数の用途をひとつのサービスで対応できる数少ない労務管理システム
のため、従業員数が30人までであればおすすめです。ジョブカン労務HR
ジョブカン労務HRは、登録できる従業員5名分までであれば無料プランが用意されています。従業員データベースや入社手続き時の個人情報収集、マイナンバー管理などが利用できます。
ただし、無料プランでは次のことが制限されます。
ジョブカン労務HRは月400円/ユーザーで上記の制限を解除できます。有料の労務管理システムの中でも低コストで導入できるサービスなので、有料サービスも検討している場合はおすすめです。
オフィスステーション 労務
オフィスステーション 労務では、e-Gov電子申請に連携できる「オフィスステーション 労務ライト」を無料で提供しています。申請データの作成から申請、公文書取得までを効率化できる機能を搭載しています。
従業員情報の登録人数に制限がなく、データベースから必要項目を自動入力できる点が特徴です。また、アカウントの利用人数に制限がないため、複数人で電子申請業務を行えます。
電子申請用途のみであれば、人数制限のないオフィスステーション 労務ライトがおすすめです。
HRMOS年末調整
HRMOS年末調整は、期間の制限なく無料で使える年末調整特化の労務管理システムです。申告書の配布・回収・保管、提出状況の確認をオンラインで完結できます。また、給与システムに連携するためのCSVファイルを出力可能です。
なお、年税額計算や源泉徴収票作成、自治体・税務署への書類提出の機能は搭載していません。電子的控除証明書は今後の対応が予定されています。有人サポートはないので、ヘルプページやFAQページ、初期設定動画をチェックして自身で対応する必要があります。(ハーモス勤怠の有料プラン契約者はメールサポートあり)
フリーウェイマイナンバー
フリーウェイマイナンバーは、従業員のマイナンバーの収集から保管、利用、廃棄までの業務を効率化するクラウド労務管理システムです。従業員20人までは完全無料で利用できます。従業員21人以降は人数無制限で月1,980円で利用可能です。
従業員はPCやスマートフォン、タブレットからマイナンバー情報の入力や本人確認書類の送信ができます。退職によるマイナンバー廃棄の際には、廃棄予定日とアラートを設定できるため、対応漏れを防げます。
【勤怠管理】無料で無期限使える労務管理システム5選
HRMOS勤怠
HRMOS勤怠は、従業員30名まで無料で利用できる勤怠特化の労務管理システムです。出退勤管理に加えて、休暇管理機能が利用できます。設定や運用は自社で対応します。
勤怠打刻は、PC・スマートフォン、LINE、Slack、ICカード、生体認証など、多様な打刻方法を選択できます。31人以上からは有料プランが必要ですが、1人あたり月100円で利用できるため、従業員が増えても低コストで利用できる点が魅力です。
スマレジ・タイムカード
スマレジ・タイムカードは、従業員10名まで無料で利用できる勤怠特化の労務管理システムです。無料の「スタンダード」プランで使えるのは勤怠管理機能のみであるものの、11名以降も110円/人で利用できます。さらに、メールサポートやチャットサポートを受けられます。
Web打刻のほか笑顔認証といった特徴的な打刻方法があります。加えて、打刻不正防止としてパスコード入力や位置情報の記録機能などが搭載されています。
ジョブカン勤怠管理
ジョブカン勤怠管理は、10人まで無料で利用できる勤怠管理特化の労務管理システムです。Web打刻のほかLINEやSlack、ICカードでの打刻があります。
無料プランもメールと電話でのサポートがあるため、設定や運用の際にも安心です。ただし、勤怠データの閲覧が過去30日に限定される点には注意が必要です。
11名以上になった場合は有料プランへの切り替えが必要です。1人あたり月200円で、「シフト管理」「休暇・申請管理」「工数管理」の機能を追加する場合はそれぞれ1人あたり+100円がかかります。
キンクラ
キンクラは、従業員20名まで無料で利用できる勤怠特化型の労務管理システムです。出退勤打刻(Web打刻)に加えて、休暇管理やシフト管理を無料で利用できます。
20名を超えると、100名までで月額150円/人のBusinessプランか、人数無制限で機能が豊富な月額300円/人のEnterpriseプランを選択できます。それぞれのプランには最低利用料があるので注意しましょう。
メールでのカスタマーサポートにも対応しています。客先常駐に特化しているため、SESを主体とした企業におすすめです。
フリーウェイタイムレコーダー
フリーウェイタイムレコーダーは、従業員10名まで無料で利用できる勤怠特化の労務管理システムです。ICカード打刻と手動打刻(Web打刻)が可能で、残業の管理も可能な勤怠集計機能も利用できます。
有人サポートは非対応ですが、AIによるチャットサポートを受けられる点も特徴です。11人以上は有料であるものの、人数に制限なく月1,980円で続けられます。
次の記事では無料の勤怠管理システムの比較表や選び方を紹介しています。
\ 稟議や社内提案にも使える!/
【給与計算】無料で無期限使える労務管理システム3選
ジョブカン給与計算
ジョブカン給与計算は、登録従業員5名分までであれば無料プランが用意されています。給与計算や賞与計算、書類作成などの機能が利用でき、Web給与・賞与明細、源泉徴収票の発行にも対応しています。ただし、無料プランでは次のことが制限されます。
ジョブカン給与計算は月400円/ユーザーで上記の制限を解除できます。
フリーウェイ給与計算
フリーウェイ給与計算は、5人まで無料で利用できる給与計算・年末調整特化型の労務管理システムです。年末調整や支払調書の機能、全銀データの出力、給与明細のメール送信も費用がかからず利用できます。
有人サポートは非対応ですが、AIによるチャットサポートを受けられる点が特徴です。6人以上は有料であるものの、人数に制限なく月1,980円で続けられます。
PayBook
PayBookは、登録従業員10名分までであれば無料で利用できる給与計算特化型の労務管理システムです。給与のCSV出力や計算式・料率の自動更新、給与明細の個別メール送信などが利用できます。
ただし、無料プランでは次のことが制限されます。
上記の制限を解除できる有料版には給与管理や会計担当者向けのスタンダードプラン(管理会社の作成1社まで)、税理士や社労士向けのプロプラン(管理会社の作成無制限)があります。いずれも従業員何人でも変わらない定額料金を採用しており、スタンダードプランは1,000円、プロプランは3,000円で利用可能です。
無料の給与計算ソフトは他にもいくつかあります。その他のサービスや選び方・注意点は次の記事で詳しく紹介しています。
【雇用契約の電子締結】無料で無期限使えるシステム3選
雇用契約の電子締結(電子契約)機能を無料で提供している労務管理システムは見つけられませんでした。しかし、無料の電子契約に特化したシステムを活用することで、雇用契約の電子締結を行えます。
無料で利用できる電子契約システムを紹介します。
クラウドサイン
クラウドサインは、最低限の契約締結業務を行える無料プランを提供しています。登録ユーザー数は1名のみ、1か月の送信可能件数は2件までで、電子署名+タイムスタンプ機能が利用できます。
無料プランは無期限であるものの、電子契約のお試し用や個人利用に特化しているため、頻繁に契約が発生する場合や社内の承認フローを電子化したい場合には有料プランへの移行を検討しましょう。
電子印鑑GMOサイン
電子印鑑GMOサインは、無料のお試しフリープランを提供しています。お試しプランであるものの、無期限で利用できます。登録ユーザー数は1名のみ、送信数の上限は月5件、文書テンプレート登録・アドレス帳登録それぞれ5件までです。契約印タイプは立会人型に限られます。
ワークフロー設定や閲覧制限、操作ログ管理など利用できない機能もあります。契約件数が増えたり、社内の承認フローが発生したりする場合は有料プランへの切り替えを検討するとよいでしょう。
FAST SIGN
FAST SIGNは、契約書を月に10通まで発行可能な無料プランを提供しています。タイムスタンプ付与や契約書保管機能を標準搭載しています。ただし、担当者アカウントは1人のみ、書類テンプレートの作成も1つまでです。SMSによる署名催促通知や複数テンプレート管理、サポートサービスも利用できません。
雇用契約書や業務委託契約書などを簡単に作成・送信できるため、契約件数が少ない小規模事業者に向いています。
無料の電子契約システムは他にもいくつかあります。その他のサービスや選び方・注意点は次の記事で詳しく紹介しています。
フリーソフトやOSS(オープンソース)の労務管理システムを避けるべき理由
無料で労務管理業務を効率化する方法は、大きく分けて次の3種類が存在します。一見、どれも無料で魅力的に見えますが、IT担当者がおらず、従業員情報や勤怠・年末調整などをチームでリアルタイムに共有しながら安全に管理したい会社にとっては、クラウド型の労務管理システム(無料プラン)のみがおすすめです。
| 無料の方法 | クラウドシステム (今回のおすすめ) |
Excelや紙の台帳・紙の申請書 | OSS型の労務管理システム |
|---|---|---|---|
| コスト | 0円(※制限あり) | 0円 | 0円(※サーバー代・構築費別途) |
| IT専門知識 | 不要 | 不要 | 必須(構築・保守・セキュリティ対策) |
| 導入の手間 | 簡単(登録のみ) | 簡単 | 困難(インストール・設定・バックアップ設計が必要) |
| チーム共有 | ◎(リアルタイムに同じ情報を参照) | △(ファイル配布・回収や紙の回覧が必要) | ◎(仕組みを作れれば可能) |
| サポート | ◯(ベンダー対応・日本語サポート) | ×(自力で対応) | ×(英語ドキュメントやコミュニティ頼み) |
OSS型の労務管理システムのような技術的な代替案は、自由度が高い反面、サーバーの構築やアップデート、セキュリティ対策を自社で行う必要があり、エンジニアがいない企業にはハードルが高すぎます。とくに、個人情報やマイナンバーなどを扱う労務分野では、誤った設定やパッチ適用漏れがそのまま重大な情報漏えいにつながりかねません。
また、Excelや紙の台帳・申請書は手軽ですが、先述したように転記ミスや申請書の紛失、リアルタイムでの共有・集計のしづらさなど、弱点が多いです。属人化もしやすく、担当者が変わるたびに引き継ぎ負荷が発生します。
したがって、セキュリティや保守をベンダーに任せつつ、ブラウザだけで使い始められる「クラウド型の無料プラン」が、非エンジニア中心の中小企業にとって最もリスクの少ない選択肢といえます。
無料プランと有料プランの違い
無料プランと有料プランの違いは、Excelや紙の台帳・申請書から電子化するだけの「お試し」か、体制見直しやシステム連携なども含めた「業務の根本解決」かにあります。
無料プランはコスト削減のための「守り」で、機能やサポートが限定されています。一方、有料プランは業務全体を効率化し、残業削減やコンプライアンス強化につなげるための「攻め」であり、勤怠、給与、社会保険、年末調整、マイナンバー管理を一気通貫で連携できることや、細かな権限設定、監査ログ、SSO対応などの有料版ならではのメリットが提供され、サポートも充実しています。
| 比較軸 | 無料プラン(お試し・守り) | 有料プラン(本格運用・攻め) |
|---|---|---|
| 目的 | コストをかけずに紙やExcelから電子化する | 労務業務を一元管理し、効率と品質を最大化する |
| 機能 | 制限あり(従業員台帳や一部手続きなど基本機能のみ) | 全機能開放(社会保険・年末調整の電子申請、マイナンバー管理、承認フロー、勤怠・給与の自動連携など) |
| データ・ユーザー | 登録できる従業員数やアカウント数、利用できる手続き件数に上限あり | 大規模な従業員数や多拠点にも対応可能 |
| サポート | チャットやメール中心、自己解決が前提 | 電話やWeb会議によるサポート、導入支援や運用相談も可能 |
もし、今後も人員増や拠点拡大を見込んでいるのであれば、早い段階から有料のシステムを導入しておく方が、法改正対応やトラブルリスクを抑えつつ、長期的な費用対効果は高いといえます。
有料プランへの移行目安
企業の状況やシステムに求める機能によっては、無料版では業務を回しきれないケースが出てきます。次のような課題を感じ始めたら、有料システムへの移行を検討すべきタイミングです。
ユーザー数や従業員数・手続き件数の上限に達した場合
最もわかりやすい目安は、無料プランの制限を超える場合です。ユーザー数が増えたり、手続き件数が上限に達したりすると、新しく登録できなくなったり、一部の手続きだけ別途Excelや紙で処理する必要が生じます。こうなると、せっかくシステムを入れても二重運用になり、現場の混乱やミスの原因になってしまいます。制限を気にせず利用したい場合は、有料プランへの移行が必要です。
労務管理ならではの高度な機能が必要になった場合
無料プランでは、高度な機能がロックされていることが一般的です。たとえば、複雑な承認ルートの分岐、勤怠・給与システムとのAPI連携、IPアドレス制限やSSOによるアクセス制御、部署ごとのきめ細かな権限設定などが必要になった場合は、有料版への乗り換えを検討しましょう。従業員数が増え、拠点や雇用形態も多様になるほど、こうした高度な機能がないと運用を現場任せにせざるを得ず、コンプライアンス面のリスクも高まります。
データの保存期間やセキュリティを強化したい場合
無料版はログやデータの保存期間が短い場合があります。一定期間を過ぎると過去データが閲覧できなくなったり、操作履歴が残らず監査に耐えられなかったりといったケースもあります。労働基準監督署の調査や社内監査に対応するために、過去数年分の勤怠・手続き履歴をきちんと残したい、誰がいつどの情報を更新したかを追跡したいといったフェーズになった際は、有料版が必須となります。また、マイナンバーや給与情報などを扱う場合、暗号化やアクセス制御などのセキュリティ強化も有料プランでの利用が前提になることが多いです。
無料プランや無料トライアルでシステムを比較しましょう
自社に合うシステムを選ぶには、実際にツールを触ってみて、ユーザー数や機能制限、サポート体制を確認することが重要です。まずは期間無制限の無料プランや、無料トライアルを活用して、使用感や機能性を確かめてみましょう。
また、本格的な導入や有料プランへの移行を検討する方には、次の記事もおすすめです。勤怠管理や給与計算などの機能ごとに、有料サービスを比較しています。
BOXILでは、労務管理システムのサービス資料をマイページにて閲覧したりダウンロードしたりできます。請求した資料を使い、チームメンバーや上長へURLにて共有可能です。また、マイページにてカスタマイズできる比較表にて、料金や機能軸でサービスを見比べられるため、稟議資料としても活用しやすいでしょう。
\ 稟議や社内提案にも使える!/

