ファイルサーバーとは?機能&NASとの違いをわかりやすく解説

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ファイルサーバーとNASの機能を比較しながら、その違いを説明していきます。どちらの用語も同じ意味で使われることがあるので、ファイルサーバーとNASの仕組みやメリット、機能などの違いを理解して比較検討しましょう。

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ファイルサーバーは、ファイル管理に欠かせないシステムです。しかし「ファイルサーバーとは何か、説明できるほど理解していない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

そこで、ファイルサーバーについて初心者でもわかりやすいように解説します。基本的な機能やNASとの違い、クラウド化についても説明しているので、ぜひ参考にしてください。

ファイルサーバーとは

ファイルサーバーとは、ファイル管理を役割とするコンピューターのことです。

サーバー(Sever)には、提供するといった意味があります。つまり、「利用者のリクエストに対して対応する機能をもつコンピューター=サーバー」と考えられるでしょう。

そして、ファイル管理に特化したサーバーのことをファイルサーバーと呼ぶことがあります。

ファイルサーバーの仕組みは基本的にコンピューターと同じで、動かすためにはOSが必要です。OSとは、WindowsやmacOS・LINUX・Chorme OSのように、コンピュータを動かす基幹プログラムのことを指します。

とくにファイルサーバーにおいては、Windows Severを使用するのが一般的です。

ファイルを管理できるコンピューターであれば、ファイルサーバーといえるので、「ファイル管理専用マシン」はもちろん、「古くなったパソコン」もファイルサーバーと位置づけられます。

ファイルサーバーの利用目的と機能

ファイルサーバーは、次の3つの目的で使用されることが一般的です。

  • データの保存
  • データの共有
  • データのバックアップ

このように基本的な利用目的は、HDDと同じです。しかし、HDDは「ひとつのHDDに対してひとつのパソコンのみ」しか同時接続できません。

一方、ファイルサーバーは「社内ネットワークにつながっているパソコンであれば、複数台同時接続可能」です。

ファイルサーバーとNASの違い

ファイルサーバーと近しい概念に、NAS(Network Attached Storage)があります。

NASとは、内部に専用OSやCPUを搭載したファイル管理に特化したシステムです。OSやCPUを組み込んだコンピューターなので、ファイルサーバーの一種といえます。

NASもファイルサーバーと同じように、ネットワークに接続することで複数のパソコンから同時接続可能です。

ただし、ファイルサーバーが「ファイル管理ができるように設定されたコンピューター」であるのに対して、NASは「ファイル管理を前提としたストレージ」です。ファイルサーバーに比べて、できることが制限されていることから、「導入コストや維持コストが低い」メリットがあります。

厳密にいうと、どちらもファイルサーバーなのでやや違いがわかりにくいと思いますが、「NAS=複数名で同時接続できるHDD」、「ファイルサーバー=パソコン」と考えるとイメージしやすいでしょう。

ファイルサーバーの種類

ファイルサーバーは大きく分けて「オンプレミス型」と「クラウド型」の2種類があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、運用スタイルやセキュリティ方針に合わせて選ぶことが重要です。

オンプレミス型ファイルサーバー

オンプレミス型は、サーバー本体をオフィスや施設内に設置して運用するタイプです。自社で物理的に管理するため、セキュリティポリシーに合わせた柔軟な設定やカスタマイズができます。

たとえば、アクセス制限やデータバックアップの手順もルールに沿って細かく設計できるところが特徴です。

一方で、設置や維持にはそれなりのコストと労力が必要です。機器購入や設置工事、保守点検に加えて、万が一の障害に備えてバックアップ体制も自社で構築する必要があるでしょう。

クラウド型ファイルサーバー

クラウド型は、インターネット経由でサービスを提供するプロバイダーと契約し、オンライン上のサーバーを利用するタイプです。

インターネット環境があればアクセスでき、テレワークや外出先での作業にも向いています。運用・保守もプロバイダー側が行うため、専門的な知識を持つスタッフがいなくても利用できるでしょう。

ただし、セキュリティやデータ管理の自由度はプロバイダーの仕様であるため、細かくコントロールしたい場合は不向きなケースもあります。

ファイルサーバーのメリット

ファイルサーバーには次のようなメリットがあることから、主に企業で導入されています。

  • ファイル共有しやすい
  • アクセス可能ユーザーを柔軟に管理できる
  • ストレージ容量の拡張が可能

ファイル共有しやすい

ファイルサーバーは、ファイルの共有に適しています。HDDのような物理ストレージでデータを保存している場合、データ共有には、メールやUSBメモリーへの保存が必要です。

たとえば、「メールにファイル添付して送付する」「USBメモリにファイルを保存して受け渡す」などの作業が必要です。ファイル更新のたびに、このような作業が発生するのは非効率的なだけでなく、メールの送信ミスやUSBメモリの紛失による情報漏えいリスクの懸念もあります。

しかし、ファイルサーバーへは、複数名が同時アクセスできるため、データ共有に手間がかかりません。また、USBメモリーやメールを使う場合と比べて、情報紛失や漏えいのリスクも高くありません。

アクセス可能ユーザーを柔軟に管理できる

ファイルサーバーは、OSを搭載したコンピューターです。そのため設定次第で、アクセス権限を柔軟に設定できます。

ファイルサーバーに保存したデータはユーザーやグループごとに「読み取り(閲覧)のみ可能」「読み取り・作成や上書きが可能」など、詳細な設定が可能です。

HDDは誰でもアクセスできてしまうため、セキュリティに懸念が残ります。一方、ファイルサーバーであれば、情報に応じてアクセス権限を設定できるため安心です。

ストレージ容量の拡張が可能

ファイルサーバーはストレージ容量の増設や拡張ができることも特徴です。

ファイルサーバーは容量が足りなくなれば利用できなくなるため、事前に必要な容量の目安を予測して確保しなければいけませんが、それでも使用中に容量が不足してしまうケースも多くあります。

しかし、ファイルサーバーは必要に応じてストレージ容量の拡張が可能なほか、サーバーを増設することで容量アップも可能です。導入時に必要なストレージ容量を予測できなくても、必要に応じて拡張できる柔軟性があることも大きなメリットです。

ファイルサーバーのデメリット

ファイルサーバーには、次のようなデメリットがあることも忘れてはなりません。

  • 初期費用と運用費用がかかる
  • 故障するリスクがある
  • 導入に手間がかかる
  • 社内ネットワークからしかアクセスできない

初期費用と運用費用がかかる

ファイルサーバーの導入には初期費用がかかります。HDDと異なりコンピューターであるため、電気代はもちろん、運用における人件費も必要です。

また、NASと比較してさまざまな機能が利用できる分、運用コストが高くなる傾向にあります。

故障するリスクがある

物理的なダメージによって、ファイルサーバーが故障し、データを失う可能性があります。たとえば震災によって、サーバーが傷ついたり、浸水にあったりすると、データの復旧ができなくなることもあります。

そのため、確実にデータを守るためには、地理的に離れた場所にバックアップ用のファイルサーバーを構築するといった対策が必要です。

導入に手間がかかる

ファイルの保存環境を構築するためには、手間がかかります。NASのようにデータの管理に特化したサービスであれば、既存のシステムを利用することで導入の手間は抑えられるでしょう。

しかし、ファイル環境をゼロから構築する場合、導入までに時間がかかります。

社内ネットワークからしかアクセスできない

ファイルサーバーは、自社に運営環境を構築し、社内ネットワーク下で利用できます。一方、アクセスは社内ネットワークからに限定されるため、外出先からファイルを確認できません。

ファイルサーバーをクラウド化する2つの方法

ファイルサーバーへは、社用ネットワークの接続を通して行います。そのため、社内ネットワークが使用できる環境でなければ、ファイルにアクセスできません。

この状態を解決するために、これまではVPNやVDIを使用することが一般的でした。

VPNやVDIとは

VPNは、「Virtual Private Network」の略称で、仮想の専用回線のことを指します。また「Virtual Desktop Infrastructure」の略称であるVDIは、仮想デスクトップのことを指します。

これらを利用することで、社外から社用ファイルサーバーにアクセスが可能です。ただし、いずれも設定が煩雑で、手間がかかります。また使用感も使いやすいとはいえません。

そこで注目されているシステムが「クラウドファイルサーバー(IaaS)」と「クラウドストレージ(SaaS)」の2つです。

VPNやVDIについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

クラウドストレージ(SaaS)とは

クラウドストレージ(SaaS)とはGoogle DriveやDropboxのように、ファイル管理を目的に設計されたサービスのことです。

サービス提供会社から提供されるシステム環境と保存容量を使用できるため、ファイル管理環境をゼロから構築する必要がありません。

またクラウドストレージの提供会社によっては、地理的に離れた複数の場所でデータを保管しています。そのため、このようなサービスを選べば、災害といった不測の事態にデータを失ってしまうリスクも低減が可能です。

ファイル管理環境のクラウド化において、もっとも手間がかからない手法で、多くの企業が採用しています。

クラウドファイルサーバー(IaaS)とは

クラウドファイルサーバーとは、AWSやAzureなどのインターネットインフラを利用して作るファイルサーバーのことをいいます。

クラウドファイルサーバーは、GoogleDriveやDropboxと異なり、「ファイルサーバーを構築するためのシステム」です。

既存のシステムを利用するわけではないため、ファイル管理環境はみずから構築しなければなりません。一方、自由にシステムを設計できるため拡張性が高く、目的にあわせて最適化できるメリットがあります。

また、AWSやAzureでは、複数拠点おけるデータのバックアップに対応しているため、災害への備えも万全です。

クラウドストレージと区別が難しい場合は、次のように考えるとイメージしやすいでしょう。

  • クラウドストレージ = 住宅のレンタル
  • クラウドファイルサーバー = 土地のレンタル

ファイルサーバーの導入に向いている企業

業務のデジタル化が進む中で、ファイルサーバーの導入は業務の効率化・安全性向上に大きく貢献します。とくに、次のような課題や運用環境を抱える企業には、導入を検討する価値があります。

テレワークや多拠点での作業が増えている企業

現代は働き方の多様化にともない、社内外問わずスムーズなファイル共有が求められています。クラウド型ファイルサーバーを導入することで、VPN設定やUSBメモリでのやりとり不要で、インターネット環境があればアクセスできます。

社外での作業が多いチームや、テレワークを推進している企業にとっては、クラウド型が非常に有効な選択肢といえるでしょう。

古いファイル共有ソフトを使用している企業

過去のファイル共有ソフトを継続して使っている場合、アップデート不足によるセキュリティリスクが懸念されます。ウイルス感染や不正アクセスなどのトラブルにつながる可能性があり、外部とのデータ連携がある企業にとっては致命的です。

現代のセキュリティ水準に合わせたファイルサーバーに移行することで、安全性を確保しつつスムーズな共有環境が整います。

ファイルサーバーの選び方

実際にファイル保管方法を検討する際は、次の4つを比較し、最適な方法を選択するとよいでしょう。

  • NAS
  • ファイルサーバー(非クラウド)
  • クラウドストレージ(SaaS)
  • クラウドファイルサーバー(IaaS)

上記の4つの違いがわかりやすいように、比較表を作成しました。

NASファイルサーバー(非クラウド)クラウドストレージ(Saas)クラウドファイルサーバー(IaaS)
クラウド化××
容量拡張
データ破損への耐性低い低い高い高い
セキュリティリスク低い低い要注意要注意
カスタマイズ性低い高い低い高い
運用時の手間高い高い低い高い
初期費用高い高い低い高い
運用費用規模による規模による規模による規模による

4つのサービスごとに向いているケースを解説します。

NASが向いているケース

NASは、次に当てはまる方に向いています。

  • 費用をかけたくない
  • 主にバックアップとして利用したい
  • 情報流出を避けたい

NASは上述のとおりファイル保存・共有に特化したファイルサーバーです。ファイルの保存や共有に特化しているため処理が軽く、費用も抑えられるメリットがあります。

また、クラウドストレージやクラウドファイルサーバーと異なり、社内ネットワーク上でしかアクセスできないため、情報漏えいが起きにくい点もメリットです。

一方、ファイルの編集や社外からのアクセスには、適していません。

非クラウド型ファイルサーバーが向いているケース

非クラウド型ファイルサーバーは次のような方に向いています。

  • ファイルの保存以外の用途にも使いたい
  • コストをかけてでもセキュリティリスクを管理したい
  • エンジニアリング技術が高い

ファイルサーバーは、ファイル管理だけではなく、さまざまな機能拡張やカスタマイズが可能です。また、遠隔操作でファイルサーバーにアクセスもできます。NASより自由度が高いため、バックアップ以上の使い方をする場合は、ファイルサーバーが向いているでしょう。

また、クラウドストレージやクラウドファイルサーバーでは、システムにトラブルが生じた際、対応はサービス運用会社に依存します。

そのため、自社で対応できず、もどかしい思いをする可能性もあります。リスクを100%管理したい場合は、非クラウド型ファイルサーバーを選ぶとよいでしょう。

クラウドストレージ(SaaS)が向いているケース

クラウドストレージ(SaaS)は、次のような方に向いています。

  • 出先で資料にアクセスしたい
  • 運用の手間をかけたくない
  • データへの物理的な影響を避けたい
  • エンジニアリング技術が乏しい
  • 月々の費用を抑えたい

クラウドストレージサービスでは、他社が運営するサービスを利用します。そのため手間がかからず、エンジニアリング技術が低い会社でも導入しやすいメリットがあります。

またサービスの利用料はユーザー数や容量によって変わることから、コストパフォーマンスも良好です。

とくに外出先からアクセスしたい場合、非クラウド型ファイルサーバーでは仕組みづくりに手間がかかります。

次に解説するクラウドファイルサーバー(IaaS)より自由度は下がりますが、「便利なファイルサーバーを求めていて、エンジニアリングにうといケース」では、クラウドストレージを利用するとよいでしょう。


「クラウドストレージのセキュリティはぜい弱」といった意見には賛否があります。とくに外部からの攻撃による情報漏えいのリスクは、多くの方のイメージより少ないようです。

下記の記事では、クラウドストレージのセキュリティについて詳しく解説しています。「クラウドストレージが気になるが、セキュリティが心配」と思う方はぜひ参考にしてください。

クラウドファイルサーバー(IaaS)が向いているケース

クラウドファイルサーバー(IaaS)は、次のような方に向いています。

  • 手間や費用よりカスタマイズ性を重視したい
  • エンジニアリングに優れている

クラウドファイルサーバー(IaaS)は、SaaS系サービスとは異なり、自社にあったファイル管理システムを構築できるサービスです。非クラウド型ファイルサーバーについで自由度が高く、サービス提供元の都合で仕様が変わることもありません。

そのためカスタマイズ性を重視したい場合に向いています。一方、導入に費用や時間がかかり、ランニングコストも必要です。そのため、手間や費用よりも自社に最適化されたサービスを使いたいときに選ぶとよいでしょう。

ファイルサーバーを選ぶときの3つのポイント

使用したいファイル管理環境が決まったら、具体的なサービスを選定しましょう。選定の際には、とくに次の3つのポイントを重視するとよいでしょう。

  1. セキュリティの堅牢さ
  2. 機能やカスタマイズ性
  3. 保存容量と価格

1. セキュリティの堅牢さ

法人利用の場合、セキュリティ対策は欠かせません。そのため、どのようなセキュリティ対策が施されているか必ず確認しておきましょう。

とくにSaaS系サービスは、カスタマイズ性が低く、大幅な仕様変更はできません。そのため、まずはセキュリティ対策を比較し、必要な機能が搭載されているサービスを選ぶようにしましょう。

2. 機能やカスタマイズ性

セキュリティである程度サービスを絞り込んだら、搭載されている機能やカスタマイズ性を確認しましょう。

とくにSaaS系サービスは、対応できるカスタマイズに制限があるため、事前に目的とあった使い方ができるか確認することが大切です。

3. 保存容量と価格

最後に、ファイルサーバーの保存容量と価格を比較しましょう。サービスによって、大規模な組織向けのサービスと、小規模な組織向けのサービスがあります。

身の丈に合わないサービスを選んでしまうと、費用が割高になります。そのため、予定されている使用状況を踏まえ、過不足のない利用ができるサービスを選ぶとよいでしょう。
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ファイルサーバーをさらに知りたい方へ

ファイルサーバーは、ファイルの管理を行うためのコンピューターです。ファイルの管理には、NASやクラウドファイルサーバー、クラウドストレージなど多様な選択肢があるため、状況にあったサービスを選ぶとよいでしょう。

次の記事では、人気のファイルサーバーとオンラインストレージを紹介しています。具体的なサービスを選びたい方はぜひ参考にしてください。

また、より詳しくファイルサーバーのメリットについて知りたい方は、次の記事が参考になります。

ファイルサーバーを適切に運用すれば、情報漏えいのリスクを下げ、生産性を高められます。ファイル管理で悩んでいる方は、ぜひファイルサーバーやオンラインストレージ、クラウドストレージの導入を検討してみてください。

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