領収書の再発行は可能な場合もあるが義務ではない・対処法と注意点リスク

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会社に経費の精算を申請する時に不可欠なのが領収書。そんな大事な領収書をなくしてしまったときは、どうすればよいのでしょうか。領収書の基本的な知識から関連法律、なくしてしまったときの対処法まで紹介します。

領収書の再発行はできるが義務ではない

民法486条により、領収書を一度発行する義務はあっても再発行する義務は規定されていません

原則として、領収書は売買成立時に証明として発行されるものです。コンビニやホテル、病院などでも「再発行は致しかねます」と店先や院内、公式サイトで明記しているところも多いです。

領収書を再発行するリスク

領収書を再発行することで二重計上されたり、経費の水増し請求に使われたりするリスクがあります。事業者としては、領収書の再発行を要求された場合でも再発行しないほうが安全です。

再発行した領収書が不正に使用されると、発行した側も「有印私文書偽造罪」(刑法159条)で、3か月以上5年以下の懲役刑が課されることもあります。

領収書の不正利用によるペナルティ

税務署に領収書の不正使用を指摘された場合、申告納税の仮装隠蔽とみなされ「重加算税」が課せられます。この場合、追徴税額の35%の金額を支払わねばなりません。

なお、2021年の 電子帳簿保存法 の改正により、領収書の電子データの仮装隠蔽には、さらに10%が加重され、45%の重加算税が課されるようになりました。

※出典:財務省「 加算税の概要 」(2025年8月26日閲覧)

領収書に関する法律

民法486条 では、「(商品やサービスの代金を)弁済した者は、弁済を受領した者に対し受取証書の発行を請求できる」と定められています。また判例では、領収書の発行は「金銭の受け渡しと同時」が原則であるとされています。

5万円以上の領収書には収入印紙が必要

印紙税法により、税抜5万円以上の領収書には、収入印紙が必要と定められています。金額が5万円以上の場合は、必ず領収書に必要な収入印紙を貼り付け、その上に割印を押して先方に渡す必要があります。

国税庁のホームページには、次の記載があります。

印紙による納付の方法によって印紙税を納付することになる課税文書の作成者が、その納付すべき印紙税を課税文書の作成の時までに納付しなかった場合には、その納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額(すなわち印紙税額の3倍)に相当する過怠税を徴収されることになり、また、貼り付けた印紙を所定の方法によって消さなかった場合には、消されていない印紙の額面金額に相当する金額の過怠税を徴収されることになっています。

※出典:国税庁「 印紙を貼り付けなかった場合の過怠税 」(2025年8月26日閲覧)

領収書に必要な収入印紙の貼付がない場合には、印紙税額の3倍に相当する「過怠税」が発生します。また、収入印紙の消印がない場合には、消印がない収入印紙の金額の過怠税を徴収されるため、注意しましょう。
再発行した領収書の場合も、課税文書に変わりはないため、収入印紙が必要となる条件は同じであることに注意が必要です。

ただし、電子契約における電子領収書は、印紙税法で定められた課税文書に該当しないため、金額によらず収入印紙は不要です。

電子契約と収入印紙についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひ次の記事も参考にしてください。

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法では、領収書のスキャナ保存に関する要件が緩和されています。企業は、電子帳簿保存法に対応しているシステムを導入することで、7年間の保管が必要だった領収書の原本保管が不要になります。


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領収書を紛失した場合の対処法

領収書を紛失した場合の対処法としては次のような方法があります。

  • 領収書の再発行を依頼する
  • 破損・汚損の場合
  • レシートを代用する
  • 出金伝票で代用
  • 支払証明書を依頼する
  • クレジットカード明細書で代用

領収書の再発行を依頼する

領収書を紛失した場合、事業者によっては依頼することで再発行してもらえる可能性はあります。たとえば、交通費の領収書を各鉄道会社の窓口で再発行してもらうといった具合です。

再発行を依頼された販売者側は、もちろん断れます。どうしても断れない場合には、領収書に情報を記入し、「再発行」と明記したうえで発行し、経緯の記録を残すのが最善の方法です。

経緯の記録には次のものが含まれます。

  • 再発行理由
  • 依頼主
  • 再発行と元の領収の日付
  • 担当者

このように記載することで、領収書の発行者側は、税務署に二重発行の意思がないことを示せ、不正の疑惑を持たれるリスクを減らせます。なお再発行した領収書にも収入印紙が必要になるので、忘れないようにしましょう。

また新幹線や飛行機代をはじめとした高額な交通費は半年から1年以内ならインターネット上で再発行ができる場合もあります。インターネット上のサービスを使った場合は、各社公式サイトで再発行対応の有無を事前に確認しましょう。

破損・汚損の場合

領収書を紛失したわけではなく、破損・汚損の場合には、元の領収書を渡せば再発行に応じてくれることが多いため、迅速に発行者に依頼しましょう。

レシートを代用する

レシートは領収書と同様に日付や金額が記載してあり、必要な項目はほぼクリアしています。ただし、レシートには宛名がありません。そのため、領収書として代用できるかは企業のルールにより異なります。

出金伝票で代用

出金伝票は本来、領収書が発行されないケースを社内で処理するための対処法です。たとえば、葬式や通夜の香典、接待のために自販機で缶コーヒーを買った場合に領収書の代用として使われるのが出金伝票です。

出金伝票に記録する場合は、次の4項目を記載しましょう。

  • 支払先
  • 日付
  • 領収書の但し書きに相当する内容
  • 支払金額

出金伝票は多くの企業で領収書代わりとして認められます。ただし、この出金伝票も本来の用途ではないため、濫用は避けるべきです。

支払証明書を依頼する

再発行が認められない場合でも、手数料を払えば、購入したことを証明する「支払証明書」を発行してもらえるケースがあります。医療機関においては、支払証明書によって対応されることが多いでしょう。

クレジットカード明細書で代用

クレジットカードの明細書には領収書と同様に日付や金額、購入先が記載してあり、必要な項目はほぼクリアしています。明細書で、該当する取引を確認し、当該明細書と、必要に応じてメモを添えます。メモに、購入目的などを詳しく記すことで証拠となります。

システム導入で領収書保管を不要に

企業は、電子帳簿保存法に対応しているシステムを導入することで、領収書の原本保管が不要になります。従業員や経理担当者の領収書管理の業務を削減し、DXとペーパーレス化を推進させるために、 経費精算システム 会計システム の導入を検討してみましょう。

経費精算に向けて領収書を電子化する流れ

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