三菱UFJフィナンシャル・グループがAWSへ移行、クラウド以前の歴史と今後のクラウド化戦略

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記事の情報は2017-10-11時点のものです。

IT利用に最も保守的とも囁かれたメガバンクが競ってクラウド活用に乗り出している。本記事では、AWSへの移行を着々と進める三菱UFJフィナンシャル・グループに焦点を当て、クラウド以前の歴史、同グループがデジタルトランスフォーメーション戦略と題して発表した「AWS IaaSの標準化・自動化」から今後のクラウド戦略について探った。

IaaSはAWSが標準。PaaSとSaaSは個別検討

こうした問題を解決するため、三菱UFJフィナンシャル・グループが取り組んだのがセールスフォース・ドットコムを利用したPaaS (※1)です。同グループが2015年に発表したところによると、CRMとしてのSalesforce利用ではなく、開発基盤であるSalesforce Platformの利用が主となっています。

Salesforce Platformでは、サードパーティー製の多様なアプリケーションならび機能を利用することができるため、既に50以上のアプリケーションを開発し、これまでの手法と比べて開発費用を1/3に、開発期間を2/3に短縮したという実績を残しています。

2017年の三菱東京UFJ銀行のAWSに関する発表は、こうした流れの中にあり、「AWS利用=三菱UFJフィナンシャル・グループのはじめてのパブリッククラウド利用」ではないのです。

しかし、「デジタルフォーメーション戦略」において、「AWS IaaS(※2)の標準化・自動化」という記載がある通り、パブリッククラウドの最初の選択肢はAWSとなります。そして、AWSに適さないもの、AWS以外のほうが効果的と判断される開発案件のみ、別のプラットフォームを検討することになります。

システム投資が非常に大きい金融業界の最大手を、AWSが抑えたということは、AWSにとっては大きな勝利となります。逆に言えば、これまで三菱UFJフィナンシャル・グループと長らく付き合いがあったシステム会社は、ビジネスを大きく失うことを意味しています。

※1)PaaS:Platform as a Service:の略で、クラウドで提供される開発基盤利用サービス
※2)IaaS:Infrastructure as a Serviceの略で、仮想マシン「ネットワーク・ハードウェア・OS」をクラウド経由で提供するサービス