ライドシェアが広がらないワケ - 規制にソフトバンク孫社長も怒りのコメント

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ソフトバンクグループ孫社長は7月19日に開かれた会見の中で、ライドシェア禁止の現行法に怒りをあらわにした。ソフトバンクは世界で配車アプリ事業に投資を行っているが、日本では法の規制により、普及できない状況にある。そもそもライドシェアとはどんなサービスで、なぜ政府はライドシェアに消極的なのだろうか。詳しく解説する。

日本でのTNCサービス型ライドシェア

米国を中心に広まったTNCサービス型ライドシェアですが、日本での状況はどのようになっているのでしょうか。日本で行われているサービスを紹介しながら、現状と問題点を挙げていきます。

Uber(ウーバー)

Uberは、TNCサービス型ライドシェアサービスのパイオニアです。

日本では2014年からタクシーの配車を行う「Uber TAXI」「Uber TAXILUX」および、専属ハイヤーの配車を行う「Uber BLACK」サービスを東京で提供しています。

モバイルアプリを活用した配車・乗車・決済・評価という流れは共通しており、利便性を追求した移動を行うことが可能ですが、一般ドライバーとライダーをマッチングさせる「Uber X」サービスは現時点で実現していません。

ライドシェア軽井沢

ライドシェア軽井沢は、軽井沢地区の観光移動に限定したライドシェアサービス。移動手段を確保すると同時にリーズナブルな料金を実現しています。運転は地元のタクシードライバーが担当し、他人とライドシェアすることに抵抗がある場合、貸切という形を取ることも可能です。

見所が点在し、公共交通機関の利用が難しい軽井沢の観光を手軽に楽しんでもらうことを目的として誕生し、多くの観光客から好評を得ています。

みんなのUberが中止された過去

Uberの代名詞でもある、一般の人が一般の顧客を乗せるTNCサービス型ライドシェア「Uber X」は、日本では行われていないのが現状です。

2015年には福岡で、「みんなのUber」というUber Xに近いサービスが実験的に実行されたこともありましたが、行政指導により開始からわずか1か月で中止されてしまいました。

なぜこのような事態になってしまったのでしょうか。

ライドシェア普及を阻む法規制

日本では、「道路運送法」において「他人の需要に応じて、有償で、自動車を使用した旅客運送」を行うために「旅客自動車運送事業」の許可を取得しなければならないと定められています。

さらには、許可を持つ事業者の自動車以外の自家用車は旅客運送に使用できず、いわゆる「白タク」として禁止されています。みんなのUberは、この白タク行為にあたると判断されてしまったのです。

日本でのTNCサービス型ライドシェアがタクシーやハイヤーなどに限定されているのは、こうした法規制の壁が存在するため。Uberも中途半端な状態でサービスを行うしかないという状況です。

日本でのカープール型ライドシェア

それでは、カープール型ライドシェアは日本でどのような展開を見せているのでしょうか。日本で行われているカープール型ライドシェアサービスをいくつか紹介するとともに、普及の進捗度や課題についても解説します。

notteco

nottecoは、ドライバーと利用者の目的や趣味をマッチングさせ、クルマでの移動を楽しいものとすることを目的にした、カープール型のライドシェアサービスです。

Webサイトで登録したドライバーと利用者は、目的地や趣味を基準に最適な同乗相手を検索、ガソリン代や高速代などの実費をワリカンにすることでリーズナブルに移動できます。

純粋にマッチングのみを行っているためクレジットカードの登録は必要なく、支払いは当日現金で行うことが基本となっています。

nori-na

nori-naは、モバイルアプリも利用可能なカープール型の相乗りサービスです。

ドライバーと利用者は移動希望のルートと日時を登録、アプリがピックアップした候補者の中から、最適なドライバー/利用者を選べるという仕組み。ワリカンとなる実費の支払いも事前にアプリで完了できるため、当日は互いに気兼ねなく移動を楽しめます。

日本の国民性が普及の障害に?

TNCサービス型ライドシェアが法規制で普及しづらいなか、日本国内のライドシェアは実質カープール型に限られるのかもしれません。しかし、カープール型ライドシェアが日本で普及しているかというと、そうともいえない状況です。

一つには、ライドシェアという文化自体がなじみの薄いものだという日本の現状と、見知らぬ相手への警戒感があると思われます。もう一つには、自身の持つリソースを利益化するという考えが広まりづらいという、ある種「おもてなし」精神の根強さも考えられます。

収益確保が難しい

また、nottecoなどのカープール型ライドシェアマッチングサービスは、サービス仲介手数料0円で提供しています。道路運送法上、仲介手数料が有償になると移動サービスを斡旋しているとみなされ、規制の対象となってしまうためです。ここでも法規制の問題が出てくるのです。

つまり、現行法では免許などの許可・資格を持たない一般ドライバーと利用者をマッチングさせ利益を得るというビジネスモデルは成立しづらく、カープール型ライドシェアサービスを拡大するには、収益確保が大きな課題といえます。

規制緩和でライドシェアは活発化するか

世界的に広まるライドシェアサービスですが、日本では法規制のため実質「ライドシェア禁止」状態となっています。結果的に国際的な競争力低下につながっており、ソフトバンク孫社長も怒りのコメントを出すほど。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、外国人観光客の利便性を高めるためにもライドシェアの規制緩和が検討されてはいるものの、現実的な案は出ていません。今後の政府の対応、状況の変化を注視していく必要があるでしょう。