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バッテリーシェアとは
バッテリーシェアとは、コンビニといった店舗において、常時バッテリーを充電しておき、電動アシスト自転車をはじめ、必要なときに自由に使えるようにするサービスのことです。これは電池切れという不安をなくすための新しい社会システムです。
最新のシェアリングエコノミーの動向やシェアリングサービスの状況について学んでいきましょう。
芝浦工業大学での実証実験
芝浦工業大学では、NTTドコモ、ドコモ・バイクシェアと共同でサイクル&バッテリーシェアの取り組みが行われています。これからの日本に必要な交通機関とは、徹底的にエコであり、交通渋滞の緩和に貢献できるものであるべきでしょう。
また、だれもが気軽に利用でき、訪日外国人旅行者の観光需要にも活躍できるものだとより良いと考えられます。
そこでたどり着いた答えが、電動アシスト自転車のサイクルシェアでした。これは、街のサイクルポートに駐輪した電動アシスト自転車をいつでも自由に借りて乗れるというものです。
サイクルシェア・バッテリーシェアとは?
サイクルシェアとは、自転車のシェアリングサービスのことで、街のあらゆるところに設置されたサイクルポートに駐輪した自転車を、いつでも自由に借りて乗れるというものです。
芝浦工業大学での実証実験では、自転車として電動アシスト自転車を利用しているので、自転車のバッテリーがなくなってくるとバッテリーの充電も必要となります。
そこで、バッテリーのシェアリングサービスも必要となります。これは、コンビニといった店舗において常時バッテリーを充電しておき、必要なときは自由に使えるというものです。
こちらの記事では、シェアサイクルについて紹介しています。
バッテリーシェアが求められる背景
電動アシスト自転車で長距離を移動するとなると、バッテリーの減りが早くなるため途中でバッテリーを交換できた方が利便性が高まります。
今回の実証実験で、バッテリーのシェアリングが必要な背景はこのためですが、将来の交通手段の変化についても視野に入っています。
今後はこの仕組みをさらに進化させて、電動アシスト自転車や電気自動車だけでなく、電動車椅子といったさまざまなモビリティへの活用、さらに情報ネットワークを融合させた新しいサービスなど、これまでにない社会インフラ作りに活用が期待されています。
サイクルシェア・バッテリーシェアのメリット
サイクルシェアのメリット
サイクルシェアのメリットは、自転車の管理コストや手間が減るところにあります。
自転車を自ら購入すると、それなりに管理費用もかかりますし、駐輪スペースについて考えなくてはなりません。
ですがサイクルシェアを利用することによって、利用者は自転車を使わないときの駐輪スペースに頭を悩ませることがなくなり、無駄な管理費用を負担せずにすみます。
バッテリーシェアのメリット
バッテリーシェアのメリットは、これは「電池切れ」という不安から解放されるというところにあります。バッテリーシェアにつかうバッテリーはUSBポートを搭載しているので、万が一の場合は取り外して、暮らしの予備電源としても利用できるようになっています。
サイクルシェアの仕組み
サイクルシェアでは、街中に複数のサイクルポートを設け、利用者が最寄りの拠点から簡単に自転車の利用し返却できるようになっています。
利用者はPCやスマートフォンなどの専用アプリで自転車を検索し、利用可能な拠点に空き自転車があれば、そのまま予約して利用します。
返却も各サイクルポート専用の駐輪スペースに停めて施錠するだけです。料金の支払いもアプリからできるため、インターネットで買い物をする感覚で気軽に利用できます。
サイクルシェアの取り組み状況
サイクルシェアの取り組みとして、前述の芝浦工業大学やNTTドコモ、ドコモ・バイクシェアの取り組み以外にも、東京都での実証実験や、「COGICOGI」「HELLO CYCLING」などがあります。
2019年では東京の10区(千代田区・中央区・港区・江東区・新宿区・文京区・品川区・目黒区・大田区・渋谷区)でサイクルシェアの利用が可能になっています。
この10区全体で670か所以上から自転車を借りられます。
シェアリングエコノミーとは
自転車をシェアする「シェアサイクル(サイクルシェア)」や、バッテリーをシェアする「シェアバッテリー」などのサービスを総称して「シェアリングエコノミー」といいます。
シェアリングエコノミーは、「個人が保有している遊休資産の貸出を仲介するサービス」と定義できます。また、こうしたサービスがインターネットを介して行われることも大きな特徴です。
特に中国でさまざまなものがシェアして利用されており、自転車の他にもシェアモバイルバッテリーやシェアバスケットボール、シェア傘など新しいサービスが登場してきています。
電力のシェアリング
先に説明した「バッテリーシェアリング」は、電動アシスト自転車で使用するバッテリーのシェアリングサービスでした。さらに中国ではモバイルバッテリーのシェアリングサービスも注目を集めました。
2017年には、シェアモバイルバッテリー関連企業が相次いで1億元規模の融資を獲得したと発表しており、業界全体の資金調達額は、2015年にシェア自転車が登場したころの調達額の約5倍になったといわれています。
台頭するさまざまなシェアリングサービス
中国では、自動車や自転車、モバイルバッテリーの他に、バスケットボールや傘のシェアリングサービスも登場しています。
モバイル決済が日常的なものとして普及した中国では、新たなシェアリングサービスが、雨後のタケノコのように生まれています。
この背景には中国のミレニアル世代がシェアリングサービスに前向きな点も挙げられます。
ある調査では、94%の中国人消費者がシェアリングサービスを利用したいと答えています。
また、路上の屋台でもQRコードを用いたモバイル決済が利用可能な、WeChatペイやアリペイの普及もこの成長を後押ししていると考えられます。
さまざまなシェアリングサービス
ここからは、カーシェアリングやスペースシェアリングなど、シェアリングサービスの代表的なものについて紹介していきます。
スペースシェアリング
スペースシェアリングは、使っていないスペースを貸し借りできるサービスです。
スペースシェアリングのサービスを利用することによって、レッスン場所やミーティングなど個人が開催する小さなイベントから大きなイベントまで、今まで有効利用されていなかったスペースをお得な価格で貸し借りできます。
日本では、オンラインで駐車場を貸し借りする「akippa」や、レンタルスペースや会議室を貸し借りできる「スペースマーケット」などのサービスがあります。
カーシェアリング
カーシェアリングは、車の貸し借りをするサービスです。
日本では、タイムズやオリックスなど、レンタカー事業を行っている企業が、カーシェアリングのサービスも提供しています。
カーシェアリングのメリットは、24時間好きなときに車を使える点です。車を購入すると必ずついて回る車検やメンテナンス、給油、保険などに関する手間や料金がかからないことも大きな利点です。
個人間でカーシェアリングできる「CaFoRe(カフォレ)」といったサービスもあります。
民泊
民泊は、使っていない部屋を旅行者に貸し出せるサービスです。代表的なサービスとして、世界中で利用されている「Airbnb(エアビーアンドビー)」があります。
日本では民泊自体の法令上の定義はありませんが、一般的には住宅(戸建住宅、共同住宅など)の全部または一部を活用して宿泊サービスを提供することを指しています。
このうち住宅を活用した宿泊施設を「宿泊料を徴収して反復継続して提供」する場合は旅館業法の適用を受け、簡易宿所営業の許可が必要となります。
バッテリーシェアを中心とした、各種シェアリングサービスを利用してみる
中国や欧米を中心に広まりを見せているシェアリングサービスでは、特にモバイル決済のサービスが普及している中国でさまざまな新しいサービスが登場しています。
日本ではいまだに現金決済が根強いことと法規制上の問題から、まだ中国や欧米ほどの広まりを見せてはいません。
しかし、芝浦工業大学がNTTドコモなどと実施している、サイクルシェアリングやバッテリーシェアリングの取り組みのように、これからの新しい社会インフラのひとつとして普及が期待されます。
このほかにも、利用されていない会議室や駐車場などをシェアリングするサービスも登場してきています。
シェアリングサービスを活用することによって、そのリソースの所有者も利用者も便益を受けられます。利用可能なシェアリングサービスを調べ、有効に活用してみましょう。