「SDGs」は単なる社会貢献ではない、課題解決型ビジネスとは?

7月25日、JICAは第1回「途上国の課題解決型ビジネス(SDGsビジネス)調査」で6件の採択を決定したことを発表した。帝人フロンティアの「デング熱対策のための防蚊衣類生産・販売ビジネス調査」、リモート・センシング 技術センターの「衛星データを活用した農作物生産性向上のための農業情報サービスビジネス調査」など、日本企業の技術やアイデアが世界に貢献することとなる。

「SDGs」は単なる社会貢献ではない、課題解決型ビジネスとは?

日本企業のテクノロジーとアイデアを活かす

JICAは7月25日、2018年度第1回「途上国の課題解決型ビジネス(SDGsビジネス)調査」で6件を採択したことを発表した。

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同調査は、2015年に国連本部で採択された「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」をうけ、民間企業との連携をはかるための施策として2017年より開始したものである。

採択された案件6つを紹介しよう。

デング熱対策のための防蚊衣類生産・販売(インドネシア)

【帝人フロンティア・アース製薬】
インドネシア都市部において、蚊を繊維に寄せ付けにくい特殊加工衣類を販売することで、蚊媒介感染症であるデング熱の予防を目指すもの。

デング熱には予防接種も予防薬もなく、蚊に刺されないようにすることが第一だという。

帝人フロンティアは、アース製薬と共同で開発した防虫素材「スコーロン」を用いて、JICAからの受託事業として調査を進めていく方針だ。現地の大学や研究機関と連携し、虫を寄せつけにくい特殊加工衣類の生産・販売の可能性について検討していくという。

小規模農家の収入向上のためのセンナ栽培・加工品販売(ミャンマー)

【アルプス薬品工業】
中央乾燥地域において、薬用作物センナを栽培し、日本向けに輸出販売することで、小規模農家の雇用機会創出・収入向上を目指すもの。

ミャンマーは非常に多くの固有種が存在する植物の宝庫だという。もともと、インド発祥の「アーユルヴェーダ」と中国からの「中医学」の影響を受け、薬用植物が多く栽培されている土壌がある。

こうした地域がもつ特性と、それを求める日本でのニーズをうまく掛け合わせ、雇用創出・収入向上の両立を目指す考えだ。アルプス薬品工業は、経産省が行っている「地域未来牽引企業」にも選定されている。

農村部の金融アクセス向上のための融資付帯保険商品開発・普及(ミャンマー)

【SOMPOリスケアマネジメント・損害保険ジャパン日本興亜】
ラカイン州・エーヤワディー地域において、サイクロンが通過した際に債務の一部を免除する保険を付帯した特約付きローンを、農村部の貧困層および中小企業へ向けて現地金融機関を通じて提供。農村部での金融サービスへのアクセスの向上と、気象災害の影響緩和を目指すもの。

昨年、大量虐殺事件がおこり「ロヒャンギ危機」として話題となったラカイン州。立地的に自然災害が発生しやすい地域としても知られている。同州ではサイクロンシェルターの設置を進めている。

しかしミャンマーでは財務・歳入省傘下の国営保険会社があり、ほぼ独占状態が続いているという。こうした中、日本ならではのきめ細かい保険サービスの提供で、地域の金融活性化に役立つことが期待される。

農家の収入向上のためのモリンガ生産・加工品販売(バングラデシュ)

【イチバンライフ・SunRise】
バングラデシュにおいて、モリンガの栽培・一次加工を行い、日本向けに高付加価値のモリンガ製品を販売することで、農家の収入向上を目指すもの。

イチバンライフは横浜市立大学発のベンチャー企業だ。アーユルヴェーダ製品の研究・開発・販売を手掛けており、バングラディシュにはすでに生産工場をもっている。

モリンガとは、次世代スーパーフードとして今注目されつつある植物だ。非常に栄養価が高く、熱帯地域の荒れた場所でも育つ生命力の強さから、貧困の途上国の新しい産業として期待されている。

フィリピンのほか、国内では沖縄県でも栽培がはじまっている。

衛星データを活用した農作物生産性向上のための農業情報サービス(南アフリカ)

【リモート・センシング技術センター】
南アフリカ全域において、毎年の気象環境を事前に予測し、主要作物の播種、施肥、水管理作業などの適期を農家に提供することで、収量を増大させ、農家の収入向上を目指すもの。

リモートセンシングとは、人工衛星などに搭載した観測機器(センサ)を使い、離れた位置から地球表面などを観測する技術だという。

出典:リモート・センシング技術センターHPより

栄養改善・女性の収入向上のための大豆食品バリューチェーン構築(ブルキナファソ)

【不二製油グループ本社】
ブルキナファソにおいて、大豆の調達および「大豆ミート」の開発・製造・販売を行うことで、栄養改善と女性農家の収入向上を目指すもの。

大豆ミートは、肉の代替品として需要が高まっている。肉の代替え品市場は、2020年には5,900億に成長するともいわれており、今後ヴィーガンベジタリアンのみならず、一般的な広がりを見せると見込まれている。

また、アフリカでは「大豆」はまだ認知度が低い食品ではあるというが、ここ10年で需要は高まっている。これまで中核グループはあったものの、バリューチェーンの構築は今後の課題であるという。

SDGsは新たなビジネスチャンス

途上国の課題解決には、従来の取り組みを越えるイノベーティブな取り組みが必要だ。単なる社会貢献としてではなく、利益を出し、事業として継続し続けるために、消費者や地域の本質をとらえたモデルの策定が必要だろう。

近年、多くのスタートアップが、課題解決型の新しいビジネスを生み出しているように、SDGsには新たなビジネスチャンスがある。