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天皇誕生日の意味や由来
2月になると祝日の1つとしてカレンダーで目にする「天皇誕生日」。そもそも天皇誕生日はどのような意味のある日で、どのような由来があるのでしょうか。令和への改元・皇位継承による変化もあわせて解説します。
天皇誕生日の由来
歴史上、初めて天皇の誕生日が祝われたのは、宝亀6年(西暦775年)の光仁天皇といわれています。このころは天皇誕生日ではなく、「天長節」と呼んでいました。
明治元年になると再び天長節を行事として祝うようになりました。戦前、天長節は、天皇が五穀豊穣・天下泰平を祈る「四方拝」、神武天皇の即位の日とされる「紀元節」、明治天皇の誕生日である「明治節」とあわせた四大節のひとつとされ、第二次世界大戦が終わるまで広く祝われていました。
平成の天皇誕生日は12月23日
平成の天皇陛下は1933年12月23日に皇居の産殿で誕生されました。1989年1月、昭和天皇の崩御を受けて即位され、平成の時代に。12月23日が天皇誕生日として祝われるようになりました。国民の祝日に関する法律(祝日法)により、1989年から12月23日が祝日とされています。
1988年までは昭和天皇の誕生日にあたる4月29日が天皇誕生日でしたが、昭和天皇崩御の後、4月29日は「みどりの日」となりました。2007年、祝日法改正に伴いみどりの日は5月4日に変更され、4月29日は「昭和の日」となりました。

皇位継承で天皇誕生日が変わる
平成天皇・明仁さまは2019年4月30日で退位され、5月1日に皇太子徳仁(なるひと)さまが新天皇として即位、「令和」の時代が始まりました。

徳仁さまの誕生日は1960年2月23日。よって、12月23日が天皇誕生日として祝日になるのは、2018年が最後でした。
天皇の退位等に関する皇室典範特例法(2017年6月公布)では、天皇誕生日について次のように定めており、令和の天皇誕生日は2月23日に、平成の天皇誕生日だった12月23日は平日となります。
国民の祝日である天皇誕生日を「12月23日」から「2月23日」に改めるものとする(出典:天皇の退位等に関する皇室典範特例法について)
歴代の天皇誕生日は?
ただし、今後12月23日が別の祝日となる可能性はあります。明治と昭和の天皇誕生日が、その後別名の祝日に制定されているためです。明治以降の天皇誕生日について見てみましょう。
明治天皇の誕生日は「文化の日」に
まず明治天皇の誕生日は11月3日ですが、この日は「文化の日」として祝日に定められています。ただし、明治天皇が崩御された直後は祝日として祝われてはいませんでした。
しかし昭和2年(1927年)に「休日ニ関スル件」という勅令が出され、「明治節」という名称で11月3日が祝日に。昭和22年(1947年)にはGHQの命令で明治節が廃止されるものの、昭和23年(1948年)、「文化の日」として祝日に加わったのです。
昭和天皇の誕生日は「昭和の日」に
昭和天皇の誕生日である4月29日は、当初「みどりの日」でしたが、その後の法改正で「昭和の日」となりました。みどりの日は5月4日に変更されたものの、ともに祝日とされています。

このように、明治と昭和の天皇誕生日は別の祝日へと改められました。一方で、大正の天皇誕生日のように祝日にしようとする動きがないまま今日に至る場合もあります。平成の天皇誕生日をどうするかはまだ定まっていませんが、当面は平日だろうという見方が強いようです。
2020年以降の天皇誕生日は?
2018年12月23日が平成最後の天皇誕生日でした。では、2020年以降の天皇誕生日はどうなるのでしょうか。
2020年〜天皇誕生日は2月23日
2019年5月1日に即位された徳仁さまの誕生日は2月23日なので、令和の天皇誕生日は2月23日となります。つまり、2020年2月23日に令和最初の天皇誕生日を迎えることとなります。
2月23日は、静岡県では「富士山の日」として親しまれています。富士山の日は県内の一部の学校が休みになることもあり、当日は富士山に親しむイベントが多数開催されています。
なお、2月11日は「建国記念日」と定められた祝日なので、2020年以降、2月は祝日が2日存在する月となります。
12月23日は検討中
平成の天皇誕生日である12月23日は、明仁さまの退位以降どのようになるのでしょうか。菅官房長官は2017年12月の記者会見で「どのような日を祝日にするかは多様な論点があり、皇位継承後の12月23日を平日とするのか、あるいは新たな国民の祝日とするかは国民各層の幅広い議論が必要だと思っている」と述べています。
退位後、天皇陛下は「上皇」となられたため、12月23日を「上皇誕生日」とするという案も出ています。しかし新旧天皇の誕生日があるのは問題であるという指摘もあり、当面は平日になるのではないかといわれています。
これまでも明治天皇や昭和天皇の誕生日は、崩御の後さまざまな動きがあって祝日となりました。12月23日も世論の動きを受けて、「平成の日」といった祝日となるかもしれません。
2019年の天皇誕生日と祝日
2019年の天皇誕生日の動向について次で詳しく解説します。
2019年は天皇誕生日なし
令和の天皇として即位された徳仁さまの誕生日は2月23日です。ところが、2019年2月23日はまだ平成だったため、天皇誕生日には該当しませんでした。2020年になってはじめて2月23日が新たな天皇誕生日となるのです。
このような例は祝日法制定以来初めてであり、2019年は天皇誕生日がない1年となりました。
改元の5月1日が祝日に
2019年は天皇誕生日がありませんでしたが、改元の5月1日が特例で祝日とされました。
祝日法の規定では、祝日に挟まれた平日は休日となるため、5月1日の前後4月30日と5月2日も休日に。これにより、4月27日から5月6日にかけて過去に例を見ない10連休が実現しました。
なお2019年はカレンダー上シルバーウィークがないため、GW10連休は2019年の貴重な大型連休となりました。

天皇誕生日のまとめ
2019年4月30日をもって明仁さまが退位し平成が終わり、5月1日から令和の時代が始まりました。
皇位継承に伴い、12月23日が天皇誕生日となるのは2018年が最後でした。新天皇陛下・徳仁さまの誕生日は2月23日であり、2019年は祝日法の施行後初めて天皇誕生日がない1年となりました。
令和の天皇誕生日は2020年2月23日に初めて訪れます。また平成の天皇誕生日だった12月23日は当面平日だとされていますが、世論の動きによっては祝日になる可能性もあります。今後の動きに注目したいところです。
※2020年5月20日:2月23日の天皇誕生日を迎えたため表記および形式を調整しました
※2019年4月25日:新元号「令和」に関する加筆修正を行いました
※2019年5月1日:令和元年の始まりにあわせ文言を修正しました