衣替えっていつ?春と秋の習慣となった由来・意味・変遷・最適な時期とは?

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記事の情報は2018-11-21時点のものです。

衣替えの意味は、春と秋に夏服と冬服を入れ替える古くから伝わる習慣です。制服のある学校や官公庁で、ほぼ全国的に6月1日と10月1日に実施される衣替えの由来とは?地域によって最適な時期はいつなのか?長い期間を経て変遷してきた衣替えの歴史や、現代の衣替え事情、衣類整理時に注意すべき点などを紹介します。
衣替えっていつ?春と秋の習慣となった由来・意味・変遷・最適な時期とは?

衣替えの意味とは?春と秋の2回?

衣替えとは、季節の推移に合わせて衣服を替えることを意味し、衣更え、衣更(ころもがえ)とも表記されます。また、それに伴って衣服の収納場所を替えることも、衣替えを意味します。

衣替えは、四季ごとに気温が大きく変動する日本で、古くから行われている習慣です。現在でも、制服のある学校や官公庁では、春には冬服から夏服へ、秋には夏服から冬服へと、年に2回の衣替えが決められている場合があります。

しかし、衣替えの長い歴史のなかでは、必ずしも春と秋が衣替えの時期だったわけではないようです。

衣替えの由来と変遷

古来中国の宮廷では、陰暦4月1日(新暦4月下旬〜5月上旬)と10月1日(新暦10月下旬〜11月上旬)に、夏服と冬服を入れ替える習慣がありました。これが平安時代の日本に伝わったのが衣替えです。

平安時代に中国から伝わった衣替え

中国の習慣に倣い、平安時代の宮中行事として取り入れられた夏装束と冬装束の入れ替えは「衣更(こうい)」と呼ばれ、中国同様、陰暦の4月1日と10月1日に行われるようになりました。

一方、天皇に仕える女官も「衣更(こうい)」と呼ばれたため、民間の衣更は「衣替え」と呼ぶようになったようです。現在でも「衣更え・衣更(ころもがえ)」と表記されることがあるのは、このためでしょう。

江戸幕府が年に4回の衣替えを制度化

行事として取り入れられた衣替えは、着物の種類が増えた江戸時代になると、年に4回へと、江戸幕府によって制度化されました。幕府に仕える武家の制服が、以下のように定められたのです。

  • 袷(裏地付の着物:あわせ):陰暦4月1日〜5月4日
  • 帷子(裏地なしの着物:かたびら)陰暦5月5日〜8月末
  • 袷:陰暦9月1日〜8日
  • 綿入れ(生地の間に綿を入れた着物):陰暦9月9日〜翌3月末

武家以外に衣替えが制度化されることはなかったものの、一般庶民にも浸透し、習慣として広がっていきました。

洋装となった明治時代の衣替え

明治時代となり、洋装が一般化すると、警察官や役人、軍人などの制服も洋装となり、夏服・冬服も用意されるようになりました。その衣替えの時期も、新暦に切り替わると同時に、6月1日と10月1日に定められたのです。

これが学校や一般企業にも広がり、現代の衣替えの祖になったのです。

官公庁・学校での衣替えの時期

制服のある官公庁や学校では、明治時代に定められた衣替えに従い、ほぼ全国的に6月1日から夏服へ、10月1日から冬服へと一斉に衣替えされます。しかし、南北に距離のある日本では、一部地域の気候に合わせて衣替えが変更される場合もあります。

たとえば、北海道などの冬が長めの地域では、6月15日と9月15日が衣替えである場合が多く、夏服の期間が短くなります。逆に、温暖な沖縄や南西諸島などでは、5月1日と11月1日が衣替えの場合もあり、通常よりも夏服でいる期間が2か月も長くなります。

一般企業での衣替えの時期

一方、スーツやジャケットが基本となるものの、厳然とした制服のない一般企業の衣替えはいつなのでしょうか?

これも官公庁や学校と同様、6月1日と10月1日を基本に、地域による違いが若干あり、それぞれの企業で独自に時期を決めている場合もあるようです。しかし、近年では10月になっても気温が下がらない場合も多く、衣替えの時期をズラしている企業も多いようです。

衣替えに最適な時期とは?

学校や企業に属している人々は、衣替えの時期が決まっている場合が多く、普段の衣類もそれに合わせて衣替えを考えるかもしれません。しかし、地域によって気候の異なる日本では、必ずしも決められた衣替えの時期が最適であるとは限りません。では、実際に衣替えに適した時期とは、いつ頃なのでしょうか?

一説によると、日々の最低気温が20℃前後となった時期が、衣替えに最適だといわれています。たとえば、最低気温が20℃を超えるようになったら夏服へ、最低気温が20℃を下回るようになったら冬服へと衣替えするのです。

衣類の整理に最適な衣替え

衣服の収納場所を替えることも衣替えというように、衣替えの季節は衣類を整理するにも最適な時期だといえます。着なくなった服を処分し、次の衣替えまで着ない服を手入れしてしまうのです。

虫干し

しまう服に虫がついたり、カビたりしないように、空気の乾燥した天気のいい日に陰干しをするのが「虫干し」です。絵画や本などの保存にも効果的だとされ、夏や秋だけでなく、空気の乾燥した冬に「寒干し」といわれる虫干しをすることもあります。

洗濯

虫干しをするのは、主に洗えない衣類です。洗える衣類はきちんと洗濯してから、ドライクリーニングが必要な衣類はクリーニングに出してからしまいましょう。汗や食べ物のシミが残っていると、虫食いやカビの原因となってしまいます。

収納

衣類収納中の虫食いやカビを防ぐのに、新聞紙や炭シートを利用すると効果的です。あわせて防虫剤や湿気取りシートなども入れておくといいでしょう。シワや型くずれが心配であれば、ハンガーに防虫剤と一緒にかけておくのもよいでしょう。

衣替えのまとめ

クールビズが推奨されるようになった現代でも、ビジネスマンの基本はスーツやジャケット。衣替えの時期を知っておくことは、マナーのひとつといえるでしょう。

春と秋の衣替えは季節の変わり目でもあり、体調を崩しやすい時期でもあります。目に見える変化ではなくとも、衣替えをすることで気分一新し、元気に業務に取り組めるようになるかもしれません。季節に合わせた装いをできることは、ビジネスパーソンとして最低限必要なスキルなのですね。