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5Gにおける周波数帯の割り当て
総務省は2019年4月に5Gの周波数をNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4社へ割り当てました。具体的には3.7GHz帯と4.5GHz帯のうち6枠と、28GHz帯のうち4枠を割り当てています。割り当てられた周波数帯は次のとおりです。
キャリア | 3.7GHz帯と4.5GHz帯 | 28GHz帯 |
---|---|---|
NTTドコモ | 3.6〜3.7GHz 4.5〜4.6GHz |
27.4〜27.8GHz |
KDDI | 3.7〜3.8GHz 4.0〜4.1GHz |
27.8〜28.2GHz |
ソフトバンク | 3.9〜4.0GHz | 29.1〜29.5GHz |
楽天モバイル | 3.8〜3.9GHz | 27.0〜27.4GHz |
NTTドコモの5Gの周波数帯
NTTドコモにおける周波数帯の割り当てと、基地局への投資額は次表のとおりです。
3.7GHz帯と4.5GHz帯 | 3.6〜3.7GHzと4.5〜4.6GHz |
---|---|
28GHz帯 | 27.4〜27.8GHz |
基地局への投資額 | 約7,950億円 |
NTTドコモは5Gの導入にいち早く舵を切っていたキャリアで、2024年度末までの設備投資額もキャリア4社で最高の約7,950億円を予定しています。
KDDIの5Gの周波数帯
KDDIにおける周波数帯の割り当てと、基地局への投資額は次表のとおりです。
3.7GHz帯と4.5GHz帯の割り当て | 3.7〜3.8GHzと4.0〜4.1GHz |
---|---|
28GHz帯の割り当て | 27.8〜28.2GHz |
基地局への投資額 | 約4,667億円 |
設備投資額はNTTドコモに次いで2番目に多い約4,667億円で、3.7GHz帯と4.5GHz帯に2つの枠を所持しています。
ソフトバンクの5Gの周波数帯
ソフトバンクにおける周波数帯の割り当てと、基地局への投資額は次表のとおりです。
3.7GHz帯と4.5GHz帯 | 3.9〜4.0GHz |
---|---|
28GHz帯 | 29.1〜29.5GHz |
基地局への投資額 | 約2,061億円 |
ソフトバンクは3.7G〜4.5GHz帯の周波数帯にて2枠を希望していましたが、5Gへの取り組みを総務省が判断した結果、1枠しか獲得できませんでした。ソフトバンクの設備投資額は約2,061億円です。
楽天モバイルの5Gの周波数帯
楽天モバイルにおける周波数帯の割り当てと、基地局への投資額は次表のとおりです。
3.7GHz帯と4.5GHz帯 | 3.8〜3.9GHz |
---|---|
28GHz帯 | 27.0〜27.4GHz |
基地局への投資額 | 約1,946億円 |
設備投資額は最少の約1,946億円で、5Gサービスの展開は6月以降で、他のキャリアの後を追う形になっています。
5G NR(New Radio)とは
5Gで新たに使われる無線技術を5G NR(New Radio)といいます。5G NRは、3GPP(移動通信システムの標準化プロジェクト)によって定められた携帯電話の通信規格標準です。3GPPは過去にUMTSやLTEの仕様を標準化しており、5G NRも3GPPによって規定されています。
Sub6とミリ波の周波数帯
5G で使用される周波数帯は「Sub6」と「ミリ波」に分かれます。Sub6は6GHz未満、ミリ波は30〜300GHz帯の周波数帯です。ただし、日本では5Gに使われる28GHz帯もミリ波と呼んでいます。
Sub6やミリ波をはじめ5Gで使用されている技術については、下の記事で解説しています。

Sub6(サブ6)
Sub6とは、6GHz未満の低い周波数帯のことで、4Gが使用している周波数に近い感覚で活用できます。そのため、4Gと同様に広い範囲の通信網をカバーできるのが特徴です。
Sub6は既存の通信技術を応用すれば比較的簡単に実用化できるため、各キャリアはSub6から5Gを展開しています。ただしSub6は、周波数帯域が狭く通信速度も大幅には上がりません。現在各キャリアが5Gとして提供している周波数はSub6です。
ミリ波
ミリ波の周波数は、現在使われている周波数より高いのが特徴です。ミリ波を活用することで広い範囲で通信できるほか、大容量で高速な通信も実現します。5Gは高速通信が可能だといわれていますが、これはミリ波による部分が大きいです。
ミリ波はより効率のよいアンテナを設計できるので、超多素子アンテナを使ったビームフォーミングに向いています。ビームフォーミングとは、通信電波をビーム上に送信することで、広い範囲に高速で電波を送信する技術です。
ただし、ミリ波のデメリットとして、建物や木材、人間などの障害物に弱い点が挙げられます。ミリ波の欠点を補うための技術改善が、今後5Gを普及させるうえで重要なポイントです。
4Gの周波数帯と比較
4GやLTEで利用されている周波数帯を紹介します。4GはBand1~32をFDD-LTE、Band34~44をTD-LTEと呼んでおり、日本では主に前者が用いられます。Bandのあとに続く数字は周波数帯ごとに割り振られた通し番号です。
たとえば、NTTドコモの場合、利用しているBandとその利用状況をあげると、次のようになります。
Band | 対応周波数 | 利用状況 |
---|---|---|
1 | 2.1GHz | 主に使用されている周波数で全国に対応 |
3 | 1.8GHz | 東京・大阪・名古屋など大都市がメイン |
19 | 800MHz | 郊外や山間部エリア |
21 | 1.5GHz | 地方都市で補助的に使われている |
28 | 700MHz | 一部の限られた地域で使用されている |
42 | 3.5GHz | 東京・大阪・名古屋の一部で利用でき「PREMIUM 4G」と呼ばれている |
周波数や周波数帯の仕組み
5Gの周波数について説明しましたが、基本となる周波数の仕組みについてあらためて解説しましょう。
周波数と情報量の関係
まず、周波数の単位はHz(ヘルツ)と呼ばれ、1Hzは1秒間に1回振動することを意味します。よく使われる単位はMHz(メガヘルツ)やGHz(ギガヘルツ)で、前者は100万Hz、後者は10億Hzに相当します。
周波数が高いと一度に多量の情報を運べる反面、直進性によって通信を阻まれやすい特徴を持ちます。他方、周波数が低いと障害物には干渉されないものの、一度に伝送できる情報量が小さくなることから、両者の性質は一長一短だといえるでしょう。
周波数と直進性の関係
周波数の大きさは電波の直進性に影響があります。直進性とは、他の影響を受けながらも直進を続けようとする力を指します。周波数が高いほど波長は短くなり直進性が増大します。つまり、情報量を増やすと直進性も増大するため扱いが難しくなります。
周波数の割り当てとは
周波数の割り当てとは、事業者が特定の周波数のみを使えるように制限する仕組みです。周波数の厳密な管理によって他の電波に通信を阻害されなくなります。総務省は公共の福祉を守るために電波法に基づいて周波数を管理しています。
周波数帯とは
周波数帯とは、電波の周波数の範囲を指し、もっとも低い周波数からもっとも高い周波数までの幅を表します。周波数帯が広いほど、一度に大量のデータを送信可能です。ちなみに、周波数帯によって利用されている無線通信システムは次のとおりです。
周波数 | 無線通信システムの例 |
---|---|
700MHz | 特定ラジオ、地上デジタルテレビ、ITS |
800MHz | 特定ラジオ、業務用デジタル無線 |
1.5GHz | 電波天文 |
1.7GHz | 気象援助 |
2GHz | PHS |
2.5GHz | 移動衛星通信 |
3.4GHz・3.5GHz | 固定衛星通信 |
5Gの周波数帯は今後も注目される
5Gの周波数帯は、総務省によって各キャリアへ割り当てられています。割り当てられた周波数帯には、Sub6とミリ波が存在し、これら2種類の周波数帯を使い分けることがキャリア各社に必要です。ミリ波の発展や各キャリアの対応には今後さらに期待が寄せられでしょう。