目次を閉じる
5G普及後もWi-Fiは不要にならない
5Gは遅延が少なかったり多くの機器と同時に接続できたりします。しかし直近では使用地域を限定されているほか、対応機器を要するといった点がデメリットです。一方、Wi-Fiは同時に接続できる台数が少ない半面、特定の範囲内に通信設備を設定できます。
5GとWi-Fiにはそれぞれ強み弱みがあるため、すぐにWi-Fiが不要になるとは考えづらいです。現在、多くの方が4GとWi-Fiの両方を利用しているように、5Gが普及したあともWi-Fiは併用されると予測できます。
5Gとは
5Gとは第5世代の移動通信システムをさします。5Gは4Gと比べると次のような特徴があります。
- 通信速度が約20倍
- デバイスの同時接続数が約10倍
- 人間が感じる遅延を解消
大容量のデータを高速かつ安定的に送受信できるため、リモートワークの促進や車の自動運転において活用を期待されます。
5Gの概要については次の記事で紹介しています。

Wi-Fiとは
Wi-Fiとは端末同士を無線で接続するための方式です。無線LAN規格の一種で、ケーブルを接続せずに端末同士をネットワークへつなげられる利便性から、スマートフォンやパソコン、家電などの電子機器で広く活用されています。
Wi-Fiの5GHzと2.4GHz
Wi-Fiは5GHzと2.4GHzの周波数帯をもちますが、5GとWi-Fiの5GHz帯は意味が異なります。5GHz帯のWi-Fiは、混雑しがちな2.4GHz帯を避けて通信するためのシステムです。一方、5Gは「5 Generation」の略称であり、周波数帯を指す言葉ではありません。
5GとポケットWi-Fi
5Gが普及するには時間がかかるため、ポケットWi-Fiもすぐには不要になりません。むしろ、ポケットWi-Fiは携帯回線を使うため5Gの恩恵を受けられます。Wi-Fiを使用するデバイスにおいて、今後も重宝されるでしょう。
5GとWi-Fi 6
5Gが1980年代の1Gから改良を続けられてきたのと同様、Wi-Fiも世代を重ねるごとに進化を遂げてきました。Wi-Fi 6は第6世代のWi-Fi規格で、通信の速さや通信容量が改善されています。
Wi-Fi 6について押さえておくべき情報を5Gとの関係を交えながら紹介します。
ちなみに、5GとWi-Fi 6における通信速度や遅延時間の違いは、次の記事で解説しています。合わせてチェックするとよいでしょう。

Wi-Fi 6は第6世代のWi-Fi規格
最新である第6世代の規格Wi-Fi 6は、以前の世代と比べて通信速度が次表のように速くなっています。
名称 | 通信速度(最大) | 周波数 |
---|---|---|
Wi-Fi 4(2009年9月~) | 600Mbps | 2.4GHz帯・5GHz帯 |
Wi-Fi 5(2013年12月~) | 6.9Gbps | 5GHz帯 |
Wi-Fi 6(2020年1月~) | 9.6Gbps | 2.4GHz帯・5GHz帯 |
Wi-Fi 6の最大通信速度は、Wi-Fi 5と比べて約1.4倍、Wi-Fi 4と比べて約16倍です。またWi-Fi 5は5GHz帯しか利用できなかったのに対し、Wi-Fi 6は2.4GHz帯も使えるため通信の混雑解消に役立っています。
5GとWi-Fi 6は補完の関係
5GとWi-Fi 6は異なる規格であり、それぞれの特性によって使い分ける必要があります。5Gは4Gまでの通信技術と同様に広範囲の通信へ利用され、Wi-Fi 6は限定されたエリアでの通信に利用されます。
オフィス、観光施設といった多くの人が集まるエリアではWi-Fi 6の活躍する機会が多く、他方、屋外や長距離における通信は5Gが便利です。屋内のネットワークはWi-Fi 6、屋外のネットワークは5Gが中心になると理解しましょう。
5GとWi-Fi 6でIoT化へ
5GとWi-Fi 6はどちらも多くの端末と高速で通信できます。両者をうまく活用すれば本格的なIoT化へ大きく近づけるでしょう。
たとえば、工場設備の自動化や医療分野での遠隔治療、車の自動運転といった技術が発展します。さらに、AR/VRに必須の、広帯域で安定したワイヤレス接続の要件に合致します。5GとWi-Fi 6を導入することでより強固で安定した接続を確立できるため、データ通信を利用したさまざまなサービスが登場するでしょう。

5G対応のWi-Fiルーター
5Gに対応したWi-Fiルーターがドコモやauから順次発売されています。
ドコモのWi-Fiルーター
「Wi-Fi STATION SH-52A」は、ドコモ初の5G対応Wi-Fiルーターで、2020年5月下旬以降に発売されます。主に次の特徴があります。
- 受診時は最大4.1Gbps
- 送信時は最大480Mbps
- 有線LANにも対応
- Wi-Fi 6対応
- USB3.0の高速テザリング
- ルーティングやフィルタリング設定
auのWi-Fiルーター
「Speed Wi-Fi 5G X01」は、シャープ製モバイルWi-Fiルーターで2020年3月末から主に法人向けに販売されています。
- 受信時は最大1.2Gbps
- 4Gと5Gのハイブリッドネットワークにて高速通信を実現
- 2.5GBASE-Tの有線LANポートを内蔵
利用シーンや接続する端末に応じて通信方法を調整し、高速な通信を実現します。
5Gと4GやLTE、光回線の違い
5GとWi-Fi 6同様に、4Gや光回線といった関連する通信規格を比較して解説します。
LTEは4Gの前世代
4Gは5G以前の移動通信システムで、2020年現在で広く使用されている通信規格です。一方、LTEは3.9Gとも呼ばれることがあるように、3Gから4Gへ進化するまでの橋渡しとしてその役割を担っていました。そのため4GとLTEは中身が違えど規格は似ています。
光回線とモバイルWi-Fiの違い
光回線は光ファイバーによってLANを利用するシステムです。インターネットへ接続するため、回線業者から光ファイバーを通じてルーターに接続し、LANケーブルや無線LANにてデバイスと通信します。
他方、モバイルWi-Fiは、基地局から電波でモバイルWi-Fiルーターに接続し、無線LANを利用してデバイスをインターネットへ接続します。
モバイルWi-Fiの詳細は次に記事で解説しています。

5Gと6Gの違い
6Gは5Gをさらに進化させた第6世代の移動通信システムで、構想はすでに練られています。6Gでは5Gの機能をさらに高め、空や海、そして宇宙へ通信エリアを拡大しようと検討されています。
6Gは、遠隔ホログラフィックプレゼンスや人間の味覚や触覚、嗅覚を使った感覚通信、自動運転の本格導入、工場の自動化促進が例としてあげられます。現段階では青写真に過ぎないものの、5Gの導入が進むにつれて現実味を帯びてくるでしょう。
5GとWi-Fi 6を上手く活用しよう
5Gの概要とWi-Fi 6との違い、関係性について解説しました。5Gが導入されることにより屋外では5G、屋内ではWi-Fi 6というように用途に応じて双方の規格は使い分けられるでしょう。IoT社会に近づくことをはじめメリットが多いものの、セキュリティ面のように注意すべき点もあります。正しく理解して利用しましょう。