5Gとは - 4Gとの違いや特徴 | 第5世代の移動通信システム

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記事の情報は2020-05-21時点のものです。

5Gとは第5世代の移動通信システムをさします。高速で大容量のデータを通信できるうえに、遅延が少なく、同時接続数も多いのが特徴です。4Gとの違いや周波数帯、メリット・デメリット、できること、通信の仕組みなどを解説します。
5Gとは - 4Gとの違いや特徴 | 第5世代の移動通信システム

5Gとは

5Gとは、携帯端末で利用される第5世代移動通信システムの略称です。初代1Gの移動通信システムが開始されたのは1980年代で、5世代目の5Gが登場したのは1Gが誕生してから約40年が経ちました。ちなみに5Gの「G」はGenerationの略です。

5Gの概要は次の動画でも解説しています。

5Gの特徴

1. 高速大容量通信

5Gの特徴の1つ目は、高速かつ大容量の通信です。4Gは通信速度が最大1Gbpsであるのに対し、5Gは最大20Gbpsの速度が出るため、単純計算で4Gの20倍速いといえます。bpsとは通信速度の単位で、1秒間に送受信できるbit数を示します。

5Gは大容量の通信に適しており、4Gでダウンロードに30秒かかっていたデータを5Gなら数秒でダウンロードできます。例をあげると、動画を安定して視聴するには平均5〜20Mbps(※)の通信速度が必要です。5Gの通信速度は最大20Gbpsなので、ほとんどのコンテンツを快適に利用できるでしょう。

※ 1Mbpsは1Gbpsの1/1,000です。

2. 超低遅延

5Gは遅延が1/1,000秒以下に抑えられます。4Gは1/100秒程度の遅延が発生するため、タイムラグを感じるときもありました。

しかし5Gであれば人間の感じる遅れはなくなるとされています。そのため、遠隔治療や自動運転の発展に大きく貢献するのではないかと期待が高まっています。

3. 超多数同時接続

5Gは超多数同時接続という特徴も持っています。4Gのおよそ10倍の台数を同時に接続できます。4Gでは1平方キロメートルあたり10万台ほどを接続可能ですが、5Gは10倍の100万台を接続します。

これによりライブ会場や野外フェスといった人が集まる場所にて、デバイスの接続しにくくなる事態を解消できます。また、家電やカメラ、自動車などを同時にインターネットへ接続すればIoT化が実現されます。

5Gと4Gの違い

5Gと4Gの大きな違いは高速大容量通信、超低遅延、超多数同時接続の3点です。数値の違いを比較すると次表のようになります。

項目 5G 4G
通信容量 最大20Gbps 最大1Gbps
通信の遅延 1/1,000秒以下 1/100秒程度
同時接続数 100万台/平方キロメートル 10万台/平方キロメートル

5Gの通信速度や遅延時間、接続数は下の記事にて、4GおよびWi-Fi 6と比較しながら解説しています。

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5Gの周波数帯

5Gの周波数帯は、総務省によってNTTドコモとKDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4社に割り当てられました。割り当てられた周波数帯は次のとおりです。

企業 3.7GHz帯と4.5GHz帯 28GHz帯
NTTドコモ 3.6〜3.7GHz、4.5〜4.6GHz 27.4〜27.8GHz
KDDI 3.7〜3.8GHz、4.0〜4.1GHz 27.8〜28.2GHz
楽天モバイル 3.8〜3.9GHz 27.0〜27.4GHz
ソフトバンク 3.9〜4.0GHz 29.1〜29.5GHz

3.7GHz帯と4.5GHz帯は、NTTドコモとKDDIが2枠を付与されているのに対し、ソフトバンクおよび楽天モバイルは1枠のみ割り当てられています。5Gの設備へ投資している金額がNTTドコモ、KDDI,ソフトバンク、楽天モバイルの順で高く、5Gにへの取り組みを総務省が判断した結果、表のように割り当てられていると考えられます。

各キャリアの周波数帯割り当てや、周波数に関連した用語は下の記事にて解説しています。

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5Gの仕組み

5Gや4Gの通信技術はセルラー方式と呼ばれています。セルラー方式では、基地局がスマートフォンやタブレットとの通信を仲介しています。

数多くのデバイスをカバーするには相応の基地局が必要でしたが、5Gでは通信の内容をシンプルにすることで、基地局の数を変えずに取り扱うデータ量を増加させました。仕組みの変更によって多くのデータを扱えるようになったため、従来では考えられなかった速度にて通信が可能になりました。

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5Gでできること

5Gによってインターネットの環境は大きく変化し、いままで想像できなかった生活が実現されようとしています。通信環境の安定化と高速化により、自動運転の普及や高精度なVR/ARの作成が実現されるでしょう。

また、行政や企業がニーズに応じて利用できるローカル5Gが総務省によって推進されています。自治体や企業の特定の範囲において活用できる独自の5G回線として、一部の企業ではすでに導入が進んでいます。

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5Gのメリット

5Gを利用できるメリットとしては、次の点が挙げられます。

オンラインでの仕事がスムーズになる

通信が高速になったことや遅延が緩和されたことで、リモートワークをはじめとしたオンライン上での仕事が快適になるでしょう。以前までのオンライン会議はタイムラグによってコミュニケーションを取りづらいケースも散見されたものの、5Gが導入されれば遅延によるトラブルは減少します。

IoTが自宅や職場、学校で実現する

5GによってIoTの普及が進みます。家電や自動車をインターネットにつなげれば、画面やスイッチに依存しないシステムを構築できます。

離れた場所の状況把握や操作をインターネットにて実現できるため、家事の効率化やセキュリティの堅牢性が向上します。

動画やゲームがストレスフリーになる

5Gでは動画やオンラインゲームをほぼ遅延せずに利用できます。4Gは通信に時間がかかることで動作の重いケースがありました。他方、5Gでは遅延や低速度による問題は解消されストレスなく楽しめるといえます。

5Gのデメリット

5Gにはメリットが数多くある一方で、次の点がデメリットないし不安要素として指摘されています。

セキュリティリスクの高まり

5Gではより多くの機器がネットワークに接続されます。そのため、今まで以上にセキュリティを強化しなければ、サイバー攻撃によるリスクが拡大します。

仮に1つのデバイスに侵入されてしまった場合、通信の環境を介して他の媒体へも被害が波及します。多くのデバイスを危険にさらすためセキュリティの確保は重要な観点だといえます。

5Gに対応した機器・家電が必要

5Gの恩恵を受けるためには専用の機器を要するのが現状です。赤外線の通信で管理できるテレビやエアコンなら現在でも操作できますが、通信するシステムのない家電は買い替えが必要です。そのため、一般家庭へ5Gを伴ったIoTを普及させるにはまだ時間がかかるでしょう。

5Gに対応したスマートフォン機種はドコモau、ソフトバンクの各キャリアから発売されています。最新のモデルを次の記事でチェックしてはいかがでしょうか。

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5Gで生活を豊かに

5Gは5 Generationの略で、第5世代移動通信システムと呼ばれます。初代1Gから数えて5段階目の移動通信システムにあたります。

高速大容量通信、超多数同時接続、超低遅延の3つが主な特徴で、4Gにおける通信制限や遅延といった障害の抑制に期待されています。動画をスムーズに視聴したり、自動運転の乗用車に乗ったり、高精度なVR動画を閲覧したりするなどして多くの分野に影響を及ぼすと考えられます。