5Gとは第5世代の移動通信システムを指します。2020年3月、大手キャリアからリリースが開始された5Gは、今後4Gに代わりさまざまな分野で活用されるでしょう。そんな5Gの特徴である、大容量高速通信や同時接続について、4GおよびWi-Fiと比べながら解説します。
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5Gの通信速度をキャリア間で比較
5Gはどれぐらいの速度で通信可能なのでしょうか。NTTドコモやKDDI、ソフトバンクが公表している通信速度を比較して紹介します。
キャリア各社が発表している5Gの最大通信速度をまとめると次表のようになります。いずれも5Gサービス開始時点における理論上の最大通信速度であり、今後数値が修正される可能性はあります。
キャリア | 下りの通信速度(最大) | 上りの通信速度(最大) |
---|---|---|
NTTドコモ | 3.4Gbps | 182Mbps |
KDDI | 2.8Gbps | 183Mbps |
ソフトバンク | 2Gbps | 103Mbps |
キャリアに割り当てられた周波数帯域が速さの違いを生み出していると考える方もいるかもしれません。しかし多くの場合において、キャリアが5Gをどのように開発し運用しているかによって通信速度が異なります。
5Gの通信速度
5Gと4G、Wi-Fiの通信速度を比較します。5Gは、4Gの10倍程度へ向上しているものの、Wi-Fi 6と大きな差はないと判断できます。
5Gと4Gの通信速度
5Gと4Gの通信速度は次表のように最大10倍程度、差があります。
通信環境 | 通信速度(最大) |
---|---|
4G | 1Gbps |
5G | 10Gbps |
総務省は、5Gの通信速度は最高10Gbpsであるとしつつ、理論上は20Gbpsに達すると発表しています。いずれにしても、5Gと4Gの通信速度に大きな差があるのは事実です。
アメリカの有名キャリア「ベライゾン」の広報担当者が公開した速度計測アプリによると、5Gの実測値は762MbpsであったとSNSで発表しました。NTTドコモは、総務省のガイドラインに基づいて4Gの実効速度を計測したところ、168~299Mbps程度だったと発表しています。
5Gと4Gの両者とも最高速度には達しないものの、5Gの方が速く通信できる点は確かなようです。
5GとWi-Fi 6の通信速度
5Gの通信速度をWi-Fiの最新規格、Wi-Fi 6と比較すると次表のようになります。以降、Wi-FiはWi-Fi 6であると仮定して解説します。
環境 | 通信速度(最大) |
---|---|
Wi-Fi 6 | 約9.6Gbps |
5G | 10Gbps |
理論上の数値だけを見れば、5Gの方がわずかに速いといえます。しかし、Wi-Fi 6は実効速度を重視した規格であるとされることから、5GとWi-Fi 6の速度はあまり変わらないと考えてよいでしょう。
5Gの同時接続数
つづいて5Gと4G、Wi-Fiの同時接続数を比較します。Wi-Fiと比べて5Gは、同時接続数の多さで優れており、狭い範囲で何台も接続する場合に役立つでしょう。
5Gと4Gの同時接続数
一定エリアに同時接続できる端末数を比較すると、次表のようになります。
通信環境 | 同時接続数 |
---|---|
4G | 10万台/平方キロメートル |
5G | 100万台/平方キロメートル |
4Gではスマートフォンやパソコン数台しか同時に接続できなかった環境でも、5Gなら数十個の端末やセンサーをインターネットへ同時に接続できます。また、人が集まる場所における通信障害は、大幅に軽減されるでしょう。
5GとWi-Fi 6の同時接続数
5GとWi-Fi 6の同時接続数を比較したのが次表です。5Gと4Gの比較時とは異なり、単位は100平方メートルである点に注意してください。
環境 | 同時接続数 |
---|---|
Wi-Fi 6 | 約8台/100平方メートル |
5G | 1万台/100平方メートル |
5Gの同時接続数は100万台/平方キロメートルであり、100平方メートルあたりに換算すると1万台です。一方、Wi-Fi 6の同時接続数は、MU-MIMO使用時で約8台と発表されており大きな違いがあります。
しかし、Wi-Fi 6は独自のネットワークとして設置するケースがほとんどで、5Gのように同時接続数を重視される状況はさほど多くないでしょう。ネットワークを屋内に構築できる利便性を考えると、Wi-Fi 6のほうが使いやすい場面はあります。
5Gの遅延時間
5Gの遅延する時間は4GとWi-Fi、いずれと比べても短く、遅延を発生させたくない場面では5Gの利用がおすすめです。5Gの遅延時間を比較して紹介します。
5Gと4Gの遅延時間
通信によって生じる遅延の時間は次表のように異なります。msは1,000分の1秒を表す単位です。
通信環境 | 通信の遅延 |
---|---|
4G | 10ms程度 |
5G | 1ms程度 |
4Gでは100分の1秒程度遅延が発生していたのに対し、5Gでは1,000分の1秒ほどしか遅延しません。よってWebサイトの読み込みをはじめとした通信にて利用者が遅れを感じることはほぼないでしょう。
遅延がなくなることで、遠隔地のロボットをリアルタイムに操作・制御でき、遠隔治療や自動運転といった分野が大きく発展するといわれています。動画を使った電話や会議もスムーズになるでしょう。
5GとWi-Fi 6の遅延時間
環境 | 遅延時間 |
---|---|
Wi-Fi 6 | 20~30ms程度 |
5G | 1ms程度 |
Wi-Fi 6使用時は、遠隔地との通信にタイムラグの発生する可能性が高いです。他方、5Gの遅延は、人間がほとんど感じない程度に抑えられます。リアルタイム性の求められる通信か、遅延してもかまわない通信かによっていずれかを選択する必要があるでしょう。
5Gは速い・軽い・つながりやすい
5Gの通信速度を、4GやWi-Fiと比較しました。5Gの速さは検証データが少なく未知数なのが現状です。各キャリアのサービスが普及すれば、実測値での比較も容易になるでしょう。5Gを4G、Wi-Fiと比較したときの特長は以下のとおりです。
4Gと比べたときは、次の点が5Gの強みです。
- 通信速度が10倍
- 同時接続台数が10倍
- 遅延時間が10分の1
Wi-Fi 6と比べたときは、以下の点が5Gの良いところだといえるでしょう。
- 同時接続台数が1,000倍以上
- 遅延時間が20〜30分の1
- 基地局のあるエリアにて広く利用可能