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リモートワークとは
リモートワークとは、従業員が場所に囚われず自由なところで働ける働き方のことを指します。IT技術によって出社しなくてもパソコンさえあれば働ける仕事が増加しました。リモートワークは、育児や介護と仕事の両立や、地方でリモートワーカーとして暮らすことなど、多様な働き方や多様な人材の活躍につながるのではないかと注目を集める働き方です。
また、企業も人材確保難によって、決められた就業時間出社するだけではなく、優秀な人材ならば必ずしも出社という形に拘らないようになりました。
世界のビジネスマンの7割、週1日はリモートワーク
リージャス・グループが2018年1月に行った働き方に関する調査によると、世界中のビジネスマンの3分の2以上が少なくとも週1日はオフィス以外の場所でリモート勤務をしているといいます。さらに、週の半分以上リモート勤務をする人は世界のビジネスマンの半数以上、週5日、オフィス以外の場所で勤務している人は世界で10人に1人にのぼるといいます。
近年、このようにオフィス以外の場所で働く「リモートワーク」を導入する企業が増えてきています。
リモートワークの種類
一口にリモートワークと言っても、その中にはさまざまな働き方が含まれています。リモートワークを4種類に分類してみていきましょう。ハイブリット型、フルタイム型、アウトソース型、テンポラリー型、一口にリモートワークといっても、働き方は人それぞれです。
ハイブリット型リモートワーク
まず、リモートワークの中で一番導入しやすいのがハイブリッド型です。会社の規定によって、労働時間にオフィスで働く時間と、オフィス以外で働いても良い時間を設定する、リモートワークとオフィスワークのハイブリッド型の働き方です。フルタイム型リモートワーク
オフィスで勤務しなければならない勤務時間を設定せずに完全にリモートで仕事をするタイプの働き方をフルタイム型リモートワークと呼びます。出勤はしませんが、会社に正規雇用されています。アウトソース型リモートワーク
フルタイム型のように、業務を遠隔で行いますが、会社に正規雇用されていない人材が働く場合はアウトソース型リモートワークと呼びます。テンポラリー型リモートワーク
たとえば、育児中などが原因でオフィスでの勤務できない場合に一時的にリモートでの勤務を許可するのがテンポラリー型です。育児や介護で一時離脱している社員が職場復帰しやすくなる効果が期待できます。
リモートワークとテレワーク・在宅ワークとの違い
リモートワークと類似の概念としてテレワークや在宅ワークという言葉があります。どちらの言葉もほぼ同義ですが若干違ったニュアンスが含まれていることがあります。
総務省の定義するテレワークは雇用型やアウトソース型だけではなく、自営業者が遠隔で仕事をする自営型も含まれています。リモートワークはどちらかと言えば、社員の働き方を指し、自営業者がクライアントから遠隔で仕事をすることをリモートワークとは呼びません。これがリモートワークとテレワークの最も大きな違いです。
また、在宅ワークは働く場所が家となりますが、リモートワークは必ずしも家で働くわけではありません。サテライトオフィスやコワーキングスペース、カフェなどで勤務することも可能なリモートワークと在宅ワークとでは、主に働く場所について違います。
リモートワークのメリット
では、リモートワークを導入することによってどのようなメリットがあるのか、企業と労働者にわけてメリットを解説します。
企業側のメリット
まず、テレワークの社員が会社で働く場所を確保する必要があります。
固定の席を設けずフリーアドレスにすればテレワークの社員の分だけ、オフィスのフロア面積を圧縮することが可能になります。電気代など従業員が働くためにかかっている間接経費の削減が期待できます。
また、多様な働き方を容認することにより、優秀だけれども通常のオフィスワークで働けない人材を採用できることが期待できます。
従業員側のメリット
従業員はリモートワークにより、通勤に時間を取られませんし、満員電車に乗る必要もありません。従業員の可処分時間が多くなり、心身にかかる負荷が減る効果も期待できます。
あらかじめコミットする仕事量や内容などを決めておけば、仕事の合間に家事や育児などもできて、融通の利いた働き方ができるのです。
リモートワークのデメリット
一方でリモートワークを許可することによってデメリットが発生することも考えられます。
企業側のデメリット
企業側のデメリットとして挙げられるのが、コミュニケーションロスによる生産性の低下です。
オフィス内で働いていれば顔を合わせてコミュニケーションを取ることができます。ツールの進歩によって遠隔のコミュニケーションが容易になっていますが、それでもオフィスで勤務しているよりは不便でしょう。
セキュリティの問題もあります。データの共有や通信の過程で情報漏えいをしないようにセキュリティには注意する必要があります。オフィス外でのパソコンなどモバイル機器の取り扱いについても、従業員のリテラシーを向上させなければ、リモートワークの許可は厳しいでしょう。
リモートワークのパソコンの取り扱いやセキュリティ対策、有事の際のエスカレーションルール、遠隔からどこまでの情報にアクセスを許可するのかなどを事前に決めておくことは多岐に渡ります。
従業員側のデメリット
リモートワークにより、顔を合わせないのでどうしてもコミュニケーションの密度は薄くなりがちです。この孤独感に耐えられないという人もいるでしょう。
また、セルフコントロールができるのかという問題もあります。遠隔で監視もされていないということで、つい気が緩んで仕事の進捗が遅れたり、クオリティが下がったりしてしまう可能性もあります。逆に、十分に評価されていないのではないかという不安から、会社の預かり知らないところで過重労働に陥ってしまうケースも報告されています。
リモートワークをする働き手にもまた、オフィスと同様に仕事をする自制心や自律性が求められるのです。
リモートワークに役立つツール
リモートワークを実現するためには、どのように情報を共有するのか、コミュニケーションをとるのかなどさまざまな課題があります。
この課題を解決するのに役立つのがツールの導入です。リモートワークを実現するために役立つツールについてみていきましょう。
チャット
まず、常時のコミュニケーションとして役立つのがビジネスチャットです。ビジネス用のチャットを利用することにより遠隔者とメールよりも簡単に連絡できて、過去のコミュニケーション履歴も調べやすくなります。
オンライン会議
常時のコミュニケーションとは別に、会議のように顔を合わせたり、ホワイトボードなどで情報を共有したりしたいときに有効なのがオンライン会議ツールです。
「Zoom」「Skype」「Google Meet」などがあります。
ファイル共有
データ共有のときに役立つのがファイル共有サービスです。ファイル共有サービスを使えばいちいちメールに添付するよりもスムーズにデータを共有できます。
「グーグルドライブ」や「Dropbox」「kintone」などが有名です。
タスク管理
仕事の進捗管理や個々がどのようなタスクを抱えているのかの共有などタスクにまつわる管理問題についてはタスク管理サービスで解決できます。タスク管理ツールをつかえば、オフィスのホワイトボードに個人のタスクが書いてあるように、情報を共有できます。
「Trello」「Jooto」「Backlog」「Asana」などが有名です。
労務管理・勤怠管理
遠隔で働いている人の労務や勤怠をどのように管理するのかという問題が発生した時に使えるのが、労務管理や勤怠管理のツールです。オフィスに来てタイムカードを押したり、書類を提出たりしなくても、遠隔で労務や勤怠に関する手続きが行えるようになります。
「ジョブカン労務管理」や「Touch On Time」などが有名です。
バーチャルオフィス、サテライトオフィス
バーチャルオフィスサービスは会社の住所や電話番号を貸すサービスです。バーチャルオフィスで会社を作り、社員がリモートワークで働けば、会社運営のためにオフィスは必要ありません。
また、サテライトオフィスという簡易的なオフィスを利用することによって固定費を削減しながら従業員が働く場所を提供することも可能です。
リモートワークの今後
ITツールの進歩によってビジネスにおけるコミュニケーションコストは確実に削減されています。オフィスで顔を合わせながら働くということが必ずしも必要なくなってきています。
また、のんびり田舎暮らしをしたい、働きたいけれども育児があるから出社はしたくないなど多様な働き方がこのような技術の進歩によって容認されるようにもなってきています。
2016年から「働き方改革」というキーワードを元に、どのように多様な働き方を認めるのか、労働生産性を上げるのかが社会的な関心となっています。このような課題を解決するためにもリモートワークは今後も社会に浸透していくでしょう。