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- サテライトオフィスとは
- サテライトオフィス導入の現状
- 誘致も活発
- 支社との違い
- サテライトオフィス3つの種類
- 都市型サテライトオフィス
- 郊外型サテライトオフィス
- 地方型サテライトオフィス
- サテライトオフィス設置のメリット
- 効率的な時間の活用
- BCP対策
- コストの削減
- 潜在的な人材へのアプローチ
- サテライトオフィス設置のデメリット
- コミュニケーションの不足
- 拠点間でのインプット機会格差
- オフィス設置に労力がかかる
- サテライトオフィスを導入した企業の事例を紹介
- 事例:日立グループ
- 事例:NTT
- 事例:徳島県
- 事例:おためしサテライトオフィス
- 事例:富士ゼロックスサテライトオフィス
- 鉄道各社や不動産もサテライトオフィス事業に参入
サテライトオフィスとは
サテライトオフィスとは、企業が本社から離れた場所に設置するオフィスのことを指します。「サテライト」とは英語の「satellite(衛星)」のことを指し、本社を中心として衛星のように存在するオフィスとしてその名前が付けられています。
現在企業の組織のありかたについてサ、テライトオフィスの導入が大きな注目を集めています。
郊外や地方に住む人でも混雑を避けて通勤できるとして年々注目度が高まっており、政府が推進している働き方改革の一環であるテレワークの一形態であるとして、総務省が民間企業での開設を促すなどの事業に積極的に取り組んでいます。
サテライトオフィス導入の現状
総務省が2017年に発表した、三大都市圏に所在する企業を対象に行ったアンケート調査「サテライトオフィス」設置に係る民間企業等のニーズ調査によると、7.8%の企業がすでにサテライトオフィスを導入しており、27.5%の企業がサテライトオフィスの導入に前向きだという調査結果が発表されています。
働き方改革に前向きな会社に限定すると、サテライトオフィスに前向きな企業は87.3%まで増加し、規模の大きな企業や広告・調査・情報サービス業では特に前向きにとらえられているという結果がでています。
誘致も活発
サテライトオフィス導入に前向きな企業が増えていることもあり、誘致も活発になっています。アンケート調査を行った総務省ではおためしサテライトオフィスというプロジェクトを実行し、地方への企業誘致に力を入れています。
支社との違い
サテライトオフィスと支社の言葉は少しニュアンスが違います。サテライトオフィスはどちらかと言えば、支社よりも規模の小さいマーケットに構えられている拠点や社員のライフスタイルを守るために設置されたオフィスのことを指します。
ある程度規模の大きいマーケットに拠点を置く支社とは形態が違うといえるでしょう。よって、支社や営業所という単位よりも少ない人員で運営されていることが多いようです。
サテライトオフィス3つの種類
一口にサテライトオフィスと言ってもその立地によって3つに分類できます。1つ目は「都市型サテライトオフィス」、2つ目は「郊外型サテライトオフィス」、3つ目は「地方型サテライトオフィス」です。それぞれの特徴について紹介します。
都市型サテライトオフィス
1つ目は本社とは別に都市部に設立される都市型サテライトオフィスです。これは営業や新規事業の拠点として本社機能とは別に役割を持った部署のために用意されることが多いです。
郊外型サテライトオフィス
2つ目に紹介するのは郊外に設立される郊外型サテライトオフィスです。郊外のベッドタウンにあえてオフィスを設置することによって社員の通勤時間を短縮し、育児や介護などと仕事を両立させやすいように設置されることが多いです。
地方型サテライトオフィス
3つ目に紹介するのが、あえて人口の少ない田舎に設立する地方型サテライトオフィスです。これは地方創生や自治体の誘致によって設立されることもありますし、都会と田舎というあえて対局の場所にオフィスを設置することによって、多様な社員の働き方を推進したり、災害発生といった事態へのリスクを分散させたりする狙いがあります。
サテライトオフィス設置のメリット
サテライトオフィスを設置することによるメリットは大きく分けて4つ挙げられます。
- 効率的な時間の活用
- BCP対策
- コストの削減
- 採用に有利に働く
ちなみに、サテライトオフィスの具体的な導入メリットについてはこちらの記事でも紹介しているので、興味のある方は下記の記事も合わせてご参照ください。
効率的な時間の活用
まずメリットとして挙げられるのが、社員が効率的に時間を活用できることです。郊外や地方にオフィスを設置すると周辺の住宅の家賃が安いため、社員はオフィスの近くに住めます。よって、通勤時間を大幅に削減可能なのが大きなメリットです。
また都市部に設置したとしても営業や打ち合わせ相手が都心部にいるのならば、仕事を終えて本社に戻るよりもサテライトオフィスをベースに行動した方が早く帰宅できる場合もあります。
移動時間を短縮し、ムダな移動を無くすることによって社員は効率的に時間を使えるようになるのも魅力です。
BCP対策
サテライトオフィスを導入することで有事の際のリスク回避に役立ちます。会社の拠点が特定の地域に集中していると、その地域に地震や大雨などの災害が発生した場合、会社の機能はマヒして、復旧までに時間がかかると考えられます。
しかし、離れた地域にサテライトオフィスを設置していれば災害によって機能を停止した本社に代わって一定の業務を行えて、事業も迅速に再開しやすくなります。
東日本大震災以降、経営機能のバックアップを持つということが企業の中で重要視されてきており、その役割を担うことにも期待されています。
コストの削減
コスト削減の効果を期待できるのもサテライトオフィスのメリットです。社員の移動距離が減るのでそれだけ交通費を抑えられます。
また、都心に大規模なオフィスを構えるよりも、郊外や地方を含めて分散的にオフィスを設置する方がトータルの賃料は下がりやすく、固定費を削減できると考えられます。
潜在的な人材へのアプローチ
最後に潜在的な人材へのアプローチにもつながります。優秀だが、育児や介護によって都心まで働きに行けない、自然に囲まれた生活をしたいので都心では働かないといった人材は都心部にオフィスを構える企業にはアプローチ困難ですが、サテライトオフィスを郊外や地方に構えることによってこれまで集まらなかった優秀な人材に巡り合えるかもしれません。
サテライトオフィス設置のデメリット
もちろんサテライトオフィス設置に伴うデメリットもあります。デメリットを3つ紹介します。
- コミュニケーションが難しくなる
- 拠点間におけるインプット機会の格差
- オフィス設置にかかるコスト
コミュニケーションの不足
まず考えられるのが本社の社員とのコミュニケーション不足です。ビジネスチャットやWEB会議システムといったテレワークの環境が発達したといっても、やはり直接対面した方が濃いコミュニケーションが可能です。
サテライトオフィスと本社の社員との間で充分なコミュニケーションが行われないことにより、会社としての一体感が無くなるかもしれません。
拠点間でのインプット機会格差
郊外や地方にオフィスを設置すると都心と比べて勉強、インプットの場は少なくなる可能性もあります。インターネットの発達によって情報格差は是正されつつありますが、それでもセミナーや交流会は人が集まる都心の方が充実しているので、インターネットに載っていない情報をインプットしようと思えば都心にいく必要があります。
そうした、組織間での格差を是正して組織力を向上させるために研修といった別のコストをかける必要があります。
オフィス設置に労力がかかる
また、オフィス設置には労力が必要となります。オフィスの物件を探し、無ければ建てる必要があります。また、電機やインターネット回線を接続したり、事務用品を揃えたりとオフィスの設置にはなにかと労力がかかります。
サテライトオフィスを導入した企業の事例を紹介
では、どのような企業がサテライトオフィスを導入しているのか、事例について説明します。
事例:日立グループ
まず紹介するのが日立グループです。日立グループでは2017年に東京の八重洲に@Terraceというグループの全従業員が利用可能なサテライトオフィスを導入しました。うえで説明したサテライトオフィスの機能に加えて、グループ内での会社の垣根を超えた協創的な活動を支援する目的でも設置されています。
日立は働き方改革に力をいれており、さらにサテライトオフィスを増やそうと計画しています。
事例:NTT
NTTもサテライトオフィスを使用しています。NTTでは働き方改革運動の一環として開催されている「テレワーク・デイズ」に参加し、2018年7月23日にグループ内の8,000人以上の従業員がテレワーク勤務しました。
当日は社員の働き方に合わせて、カラオケルームやザイマックスが運営している「ちょくちょく...」というサテライトオフィス、三井不動産の運営する「ワークスタイリング」というシェアオフィスなどを活用して従業員がテレワークで勤務していました。
事例:徳島県
人口減少に悩む徳島県はサテライトオフィスを切り口に企業誘致に取り組んでいます。徳島県は光ファイバー網が県内中に張り巡らされている割に利用者が少なく通信環境が良い地域です。この特性を活かして「とくしまサテライトオフィスプロジェクト」というプロジェクトを立ち上げて、県内の11市町村に56社のサテライトオフィスを誘致することによって若年層の流入に成功しています。
事例:おためしサテライトオフィス
ECサイトの構築をはじめ、さまざまなサービス展開を行っているベンチャー企業の株式会社アラタナでは、東京と宮崎での二地域就業という独自の制度をとっています。
優秀な人材が宮崎県から流出していることを危惧し、宮崎県での雇用創出を目的に始まった二地域就業は、サテライトオフィスが本社とのリモートワークも問題なく行われ、地方での雇用の創出に成功した例と言えるでしょう。
事例:富士ゼロックスサテライトオフィス
富士ゼロックスでは、郊外へサテライトオフィスを設置することにより、社員の通勤にかかる時間を大幅に削減することに成功しました。
また少人数での業務による社員の自律性が高まり、業務効率の向上にも大きな成果が得られたとしています。しかし本社におけるオフィススペースの削減までにはまだ至っておらず、今後の課題となっているようです。
鉄道各社や不動産もサテライトオフィス事業に参入
サテライトオフィスを実現するためのインフラは確実に整備されつつあります。東急のサテライトシェアオフィスサービス「NewWork」、東武電鉄の厚生労働省委託のサテライトオフィス、三井不動産の「WORKSTYLINGプロジェクト」など、サテライトオフィス事業に参入する企業は増加しており、企業もサテライトオフィスを導入しやすい環境が整備されています。
社員に多様な働き方を提供できる、サテライトオフィスの導入。副業・兼業の許可、テレワークの推進といった、他の施策と合わせて多様な働き方を推進すれば、人材獲得戦略によりいっそう高い効果を期待できる、これが今後の働き方改革のひとつのトレンドとなっていくのではないでしょうか。