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契約書の書き方徹底解説!知らなかったルール - 甲乙ってどう使うの?

最終更新日:(記事の情報は現在から142日前のものです)
契約書の意味と必要性、書き方、条項、法的効力、作成のルールと注意点についてわかりやすく解説します。各種契約書の無料テンプレートや契約書作成に役立つサービスも紹介。契約書の書き方に困っている方や今後の契約に備えたい方は参考にしてください。

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契約書の書き方

契約書の具体的な書き方を解説します。誤った書き方だとトラブルを招く恐れがあり、正しい書き方を知っておく必要があります。

契約書の全体構成

一般的な契約書の構成は次のとおりです。

  • タイトル
  • 前文
  • 本文
  • 後文
  • 契約締結日
  • 署名捺印・記名押印

タイトル

契約書の最初に記載されるのがタイトルです。タイトルは契約の内容を一目で理解できるようにするためのもので、簡潔でわかりやすいものにします。「契約書」ではなく、「覚書」「合意書」と書く場合もありますが、法的効力は変わりません。

例:「業務委託契約書」「売買契約書」「雇用契約書」

前文

前文は、契約書の冒頭に置かれ、契約の目的や背景を簡潔に説明する部分です。前文には、契約の当事者である企業や個人の名前、住所、役職などの基本情報が記載されます。また、契約を締結するに至った経緯や目的についても触れ、契約の全体像を理解しやすくします。

例文
株式会社〇〇(以下「甲」という)と株式会社〇〇(以下「乙」という)の間で業務〇〇の委託に関して、次のとおり契約を締結する

甲乙の定義

例文にあるように、契約書では「甲」「乙」の仮称をつけることが一般的です。氏名や企業名を何度も書くと読みにくいため、このような仮称が採用されます。

また、三者以上が絡む場合には、「丙」→「丁」→「戊」の順に使用します。

本文

本文は契約書で最も重要な部分であり、具体的な条項が記載されます。支払い方法や契約期間、機密保持、契約解消条件、準拠法、紛争解決方法などの一般条項を含めましょう。各一般条項に関しては、後ほど詳細を解説します。

本文で意識すべきなのは次の2点です。

  • 契約書の中で最も重要な箇所である
  • 条→項→号の順に階層構造を作る
【例文】
第1条(〇〇)
1 第1項
(1)第1条第1号
(2)第1条第2号
ア 第1条第1項第2号ア
イ 第1条第1項第2号イ
2 第2項
(1)第2項第1号
ア 第2項第1号ア
イ 第2条第1号イ
(2)第2項第2号

このような形が本文の書式です。

後文

後文に記載すべき事項は次の4点です。

  • 契約書の作成数
  • 各契約当事者の契約書の所持数
  • 各契約当事者の所持する契約書が原本か写しかの記載
  • 署名者に契約締結権がある旨の宣誓
例文1
本契約の成立を証するため、この〇〇契約書の原本2通を作成し、本委託者及び本受託者は、それぞれ署名又は記名押印のうえ各自その1通を保有する。
例文2
本契約の成立を証するため、この〇〇契約書の原本1通を作成し、貸付人及び借入人がそれぞれ署名又は記名押印のうえ、貸付人がこれを保有する。借入人は、貸付人からその写しを受領する。

契約締結日

契約締結日は、契約が正式に成立した日を明記する部分です。契約締結日は次のような決め方があります。

  • 自社が押印する日
  • 後で押印する当事者(相手方)が押印しそうな日付
  • 事前に相手方と取り決めた日付

どの方法をとるべきか正確には定まっていません。そこで、先に押印する側が後に押印する側の押印日がいつになりそうか先に聞いておくのもよいでしょう。

署名捺印・記名押印

契約書作成には署名捺印か記名押印が必須です。署名と記名の違いは次のとおりです。

  • 署名:手書きした名前
  • 記名:署名以外の手段(ゴム印、印字)

日本では捺印を重要視する傾向があるため、署名でも記名でも捺印をするのが通例です。署名したあとに捺印することを署名捺印、記名したあとに捺印することを記名押印といいます。

契約書が数ページにわたる場合には、ページの見開き部分に契印(ちぎりいん、またはけいいん)を押します。製本された契約書の場合は、表紙か裏表紙のどちらか一方に、製本のテープと紙にまたがるように契印しましょう。

割印は、契約書を2部以上作成する場合には、それらが同一の内容であることを証明するため、複数の契約書にまたがった位置に割印(わりいん)を押します。

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収入印紙

契約書の種類や金額によっては、税法にもとづき収入印紙を貼付する必要があります。収入印紙の貼付が必要かどうかは契約書の内容や金額に応じて異なるため、事前に確認することが重要です。なお、電子契約ならば印紙税は不要です。

収入印紙が必要な契約書の種類と金額については、次の記事で詳しく解説しています。

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契約書の一般条項とは

契約書の一般条項とは、契約の当事者間で合意された基本的な条件や規則を示す部分です。契約の実施に関わる一般的な枠組みを設定し、契約全体にわたって適用されます。一般条項は契約の性質や目的によって異なることもありますが、一般的には次のような内容が含まれる傾向にあります。それぞれ詳しく解説します。

  • 定義条項
  • 契約期間
  • 契約の解除
  • 支払条件
  • 譲渡禁止
  • 機密保持
  • 損害賠償
  • 紛争解決
  • 反社会的勢力排除
  • 準拠法

定義条項

定義条項とは、契約書内で使用される専門用語や重要な言葉を明確に定義する条項です。定義条項により、用語の解釈に関する誤解を防ぎ、契約内容が一貫して理解されるようにします。たとえば、「サービス」や「製品」といった言葉がどのような範囲を指すのかを具体的に示します。定義条項は契約書の本文の冒頭部分に置くのが一般的です。

契約期間

契約の有効期間を定める条項も必要です。この条項では、契約の開始日と終了日、または契約の継続条件(更新や延長の方法)について記述します。期間を定めない「無期契約」とするのか、一定の契約期間を定める「有期契約」とするのかもここで規定します。

契約の解除

契約がどのような条件下で解除されるのかを定める条項です。契約違反があった場合の解除条件や、双方の合意による解除の条件が含まれます。契約終了後の処理や義務についても記載されることが一般的です。

支払条件

支払条件は、契約にもとづく支払いの方法や期限、金額などを詳細に定める条項です。請求書の提出方法や支払いの遅延が発生した場合の利息なども含まれます。支払条件を明確にすることで、金銭面での紛争を防ぐことにつながります。

譲渡禁止

譲渡禁止は、契約上の権利や義務を第三者に譲渡することを禁止する条項です。契約関係の安定性を確保し、責任の所在を明確にする役割があります。

機密保持

機密保持は、契約に関する情報や取引に関して知り得た情報を秘密にする義務を規定する条項です。機密保持の対象となる情報や機密保持の期間、違反した場合のペナルティについて記述します。

損害賠償

損害賠償は、契約違反が生じた場合の損害賠償責任について定める条項です。違約行為のリスクを明確にし、紛争解決を円滑化します。

紛争解決

紛争解決は、契約に関して紛争が生じた場合の解決方法を定める条項です。仲裁や調停、管轄裁判所の指定などが含まれます。

反社会的勢力排除

暴力団のような反社会的勢力との取引を禁止する条項です。企業の社会的責任を果たし、健全な契約関係を維持する役割があります。

準拠法

準拠法は、契約に適用される法律を定める条項です。国際取引の場合には、どの国の法律が適用されるかを明確に示します。

契約書の記載事項

各種契約書の書き方や記載事項については、それぞれの契約書の記事を参考にしてください。

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契約書作成のルールと注意点

契約書を作成する際には、次のポイントに注意しましょう。

  • 第三者にもわかりやすい内容にする
  • 解釈が曖昧な表現は避ける
  • 数値を使って具体的に記載する
  • 法律にもとづいて記載する
  • 当事者双方で契約内容を確認する
  • 郵送は正しい方法で

第三者にもわかりやすい内容にする

契約書は、裁判になった場合に重要な証拠として作成する書類です。そのため、第三者(裁判官)が見ても理解できるようわかりやすい内容にする必要があります。

契約書を作成していても、トラブルに発展して裁判になった際に機能しなければ意味がないため、だれにでもわかるように契約書に用いる言葉や表現を記載します。

たとえ、相手方が認識できる言葉でも、当事者間でしかわからない用語や業界用語を使用するのは避けましょう。裁判で契約書の意図が正しく伝わらない可能性もあるため、だれもが理解できるよう、一般的な言葉や表現で記載するようにしましょう。

解釈が曖昧な表現は避ける

契約書では、読む人によって複数の解釈ができてしまう曖昧な言葉や表現を用いないようにしましょう。

たとえ契約締結時に相手方と共通の理解があったとしても、訴訟となった際に、相手方が「このような解釈をしていなかった」と主張すれば、契約書が証拠としての役割を果たさなくなります。

そのため、「主語を明記する」とか「~の場合は」といった具体的な状況を記載して、明確な解釈が可能な表現になるようにしましょう。

数値を使って具体的に記載する

納品や報酬に関する契約書のように、数値を使って表現する箇所がある場合は「いつまでに・いくつ・いくら」など、具体的な書き方をするようにしましょう。

たとえば、代金の支払い日について「納入後、すぐに支払う」といった記載では相手方との認識にズレが生じかねません。「すぐに支払う」では具体的にどのくらいか期間が決まっておらず曖昧な表現となるため、「3日以内」「10日以内」のように具体的な記載が必要です。報酬についても同様に、「どの仕事内容に対して、いつまでにいくら支払う」といったように、明確に記載するようにしましょう。

法律にもとづいて記載する

法律はすべての契約において適用されるため、法律の定めに反しないように記載が必要です。

契約内容については当事者間で自由に取り決められ、当事者間の合意により有効になります。ただし、法律上の制限で、公序良俗に反する内容や強行法規に反する内容は定められません。「最低賃金を下回る雇用契約」「高額すぎる料金の請求」など、契約内容が公序良俗や強行法規に反する場合は無効になる可能性があります。

契約書を作成する場合には、弁護士や司法書士などの専門家によるリーガルチェックを行ってもらうと安心です。

当事者双方で契約内容を確認する

契約書は当事者双方の合意したことをまとめる文書のため、契約を締結する前には、必ず当事者間で契約内容の確認が必要です。

契約内容を書面に記して署名捺印すると契約が締結してしまい、後で異議を唱えられなくなります。そのため、契約書作成後、当事者間で齟齬がないよう内容の確認を徹底しましょう。

契約相手の目線から契約書を確認し納得できない箇所がないかをチェックし、トラブルになりそうな箇所があれば相手方に確認をとるといったように、必ず契約書は双方で確認し解釈にズレがないようにしましょう。

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郵送は正しい方法で

契約書の送付方法については、郵便法で定められています。契約書は信書に該当するため、送れるのは日本郵便株式会社(日本郵便)と国が許可した信書便事業者のみです。レターパックや書留郵便を利用し、配達証明を得ることで、契約書が確実に相手方に届いたことを証明できます。

また、郵送前に契約書のコピーをとっておくことも忘れないようにしましょう。これにより、紛失やトラブルが発生した場合に備えられます。

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法律に反した契約書の有効性

契約書に法律に反した内容が含まれる場合、その有効性がどうなるのか解説します。

強行規定

強行規定とは、当事者の意思にかかわらず強制的に適用される法律の規定です。労働基準法や消費者契約法などがこれに該当します。これらの法律は、弱い立場にある労働者や消費者を保護するために設けられており、これに反する契約内容は無効とされる場合がほとんどです。

たとえば、労働基準法に反して労働時間を延長する契約や、消費者契約法に反して消費者に一方的に不利な条項を設ける契約は無効となります。この場合、無効となる部分については法律の規定が適用されます。

任意規定

任意規定は、当事者間でとくに合意がない場合に適用される法律の規定です。これらの規定は、当事者が自由に契約内容を定めることを許容しており、契約書に明示的な定めがある場合には、その合意が優先されます。

民法における賃貸借契約の期間や解約予告期間などが任意規定に該当します。契約書においてこれらの任意規定と異なる条項が定められている場合でも、その内容が当事者間で合意されていれば有効です。ただし、任意規定に反する契約内容が社会秩序に反する場合や、当事者の一方に著しく不利となる場合には、その有効性が問題となることもあります。

取締規定

取締規定とは、主に行政法規にもとづき、業務の適正な運営や公共の利益を確保するために設けられる規定です。これらの規定に違反する契約は、行政的な罰則や制裁の対象となることもありますが、契約そのものは必ずしも無効とならない場合があります。

建築基準法や食品衛生法にもとづく規定が取締規定に該当します。これらの規定に違反する契約内容があった場合、当該業務の停止や罰金などの行政処分が科されることがありますが、契約の当事者間での合意が無効になるわけではありません。しかし、違法行為の結果として契約の履行が不可能となる場合や、社会的に重大な影響を及ぼす場合には、契約の無効が認められることもあります。

契約書作成に役立つサービス

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契約書が必要な理由

契約書は、明確な取り決めを文書化することで、誤解やトラブルを未然に防ぎ、スムーズな関係を築くための基盤となります。契約書がなぜ必要なのか、その理由についてわかりやすく解説します。

法的効力による保護

契約書は、契約当事者が互いに同意し署名した文書であり、その内容には法的効力があります。

万が一紛争が発生した場合でも、契約書にもとづいて法的な解決が可能です。裁判所での証拠としても有効であり、双方が合意した内容を確認するための確かな証拠となります。契約違反が発生した場合は、被害を受けた側は契約書を証拠として、法的手段により損害賠償や履行の強制が可能です。

誤解の防止

口頭での契約だと記憶違いや解釈の相違を引き起こす可能性があるため、契約書により具体的な内容が文書化されることで誤解を防止できます。

たとえば契約書には、業務の範囲や支払い条件、納期などの重要事項が明記されるため、思い込みや誤解によるトラブルを回避できます。

双方の責任と義務の明確化

契約書には、各当事者の責任と義務が具体的に記載されます。これにより、取引の過程でどのような行動が求められるかが明確になり、責任の所在がはっきりします。

もしも、取引がスムーズに進まない場合でも、契約書をもとに責任追及が可能です。

信頼関係の構築

契約書を取り交わすことにより、双方の信頼関係が強化されます。

文書化された合意は、相手方が真剣に取引を行う意思があることを示すものであり、信頼を築く基盤となるものです。とくに、ビジネスの初期段階や新しいパートナーとの取引において、契約書は重要な役割を果たします。

将来的なリスクの回避

契約書を作成することで、将来的なリスクを回避する手段となります。たとえば、納品物の品質や期限に関する詳細な取り決めがあることで、期待どおりの成果が得られない場合の対応策をあらかじめ決めておけます。

また、契約の解消条件や違約金についても明確にすることで、取引終了後のトラブルも防げるでしょう。

ビジネスの透明性の確保

契約書を使用することで、ビジネスの透明性が高まります。

契約書ですべての取り決めが文書化されることで、関係者全員が同じ情報を共有し、取引が公平かつ透明に行われることを保証します。これにより、ビジネスの信頼性が向上し、長期的な関係を築く土台が構築されるでしょう。

契約方法の種類

契約方法には次の3種類があります。

  • 口頭での契約
  • 書面での契約
  • 電子契約

口頭での契約

口頭の契約は、書面や電子文書を用いずに、当事者間の言葉のやり取りによって成立する契約です。主に日常的な取引や少額の取引において使用されます。

口頭の契約は証拠が残らないため、後日紛争が生じた場合にその内容を証明することが難しいこともデメリットです。このため、重要な取引や複雑な条件が関わる場合には、契約書による書面化を検討する必要があります。

書面での契約

書面での契約は、契約内容を契約書に書き記し、当事者が署名することで成立する契約です。最も一般的な契約方法であり、多くのビジネス取引や重要な取引において使用されます。紙で契約書を作成→押印で証明→郵送または持参して契約相手とやり取り→「キャビネット」に保管、といった流れがイメージしやすいかもしれません。

書面での契約の利点は、契約内容が明確に記録され、紛争が生じた際に証拠として使用できることです。また、各当事者の権利や義務が具体的に記載されるため、誤解やトラブルの発生を防止できます。契約内容を細かく定義することで、双方の期待や合意事項も明確にできます。

電子契約

電子契約は、インターネットを利用して電子的な形式で契約を締結する方法です。メールや電子署名を用いることで、紙の書面を用いずに契約を締結できます。PDFの電子文書で契約書を作成→電子署名→オンラインにて相手とやり取り→サーバーに保管する、といった流れです。

電子契約の利点は、迅速かつ効率的に契約を締結できる点です。印紙代や保管場所の確保にかかるコスト、事務的な手間が書面より少なく、電子契約サービスを採用する企業も増えてきています。

また、電子署名法によって電子契約の法的効力が確保されているため、安心して利用できます。さらに、契約書がデジタルデータとして保存されるため、管理や検索が容易であり、契約内容の追跡や確認が簡単です。ただし、電子帳簿保存法に沿ったシステムや体制の導入が必要です。

電子契約についてさらに知りたい方は次の記事を参照ください。

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契約書の書き方とルールを理解しよう

契約書の書き方や条項、ルールと注意点を理解しておきましょう。契約書の作成は相手側に任せるのではなく、自社でなるべく対応してノウハウを蓄積することをおすすめします。

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