医療業界向けRPAおすすめ比較！解決できる課題と事例

医療業界で活用できるRPAの機能

RPAは「Robotic Process Automation」の略語で、パソコン上の一定の操作を記録し、ソフトウェアロボットに忠実に再現させることで、定型業務の自動化を実現できるのがRPAです。さらにスケジュール機能やスクレイピング機能、複数のデータベース間の同一性を確認できる機能なども有しています。

医療業界ではスタッフの業務負担が大きく、長時間労働の慢性化も問題視されています。RPAの導入で定型業務を自動化できれば、スタッフの業務生産性の大幅な改善が可能になるでしょう。

RPAシステムの機能をさらに詳しく知りたい場合は、こちらの記事を参考にしてください。

医療業界における業務効率に関する課題

医療業界では、人手不足やスタッフの長時間労働などの課題を抱えています。日常業務において解決すべき業務効率に関する課題は何か、ここで確認してみましょう。

人手不足の加速による生産性の低下

医療業界は人手不足が深刻であり、医師不足や看護師不足に加えて、バックオフィスを支える人材も必要です。

業界全体として高齢化が進んでいる側面もあり、将来的にリタイアする人材が増える点を考慮すれば、さらなる生産性の低下が懸念されます。医療機関では限られた労働力で業務をこなす必要があるため、早急に既存スタッフの業務負担を減らす施策が求められています。

既存スタッフの業務負担が大きい

業界全体の労働力の不足に伴い、既存スタッフの業務負担が大きいのも、医療業界が抱える大きな課題のひとつです。とりわけ医師や看護師の業務は複雑なものが多く、非効率なところがあると、どうしても労働時間が長くなります。

事実、日常的な残業や休日出勤を含め、スタッフの長時間労働に悩む医療機関は珍しくありません。単純な人材不足の場合もありますが、業務プロセスの見直しが必要なところも多くあります。

医療書類の作成や転記作業に手間がかかる

医療業界では、書類の作成や電子カルテへの転記作業などに、余計な時間がかかっているところが少なくありません。患者との情報共有に難儀している医療機関も多く、上記の長時間労働や非効率な業務によるスタッフの負荷の増大につながっています。

アナログな処理を踏襲しているところも多いので、積極的にデジタル技術を導入し、DXを推進する必要があるでしょう。いまや医療DXは組織の規模にかかわらず、医療業界では必須の取り組みといえます。

医療業界の課題をRPAで解決できる理由

医療業界では、人手不足や非効率な業務による負担の増大といった課題がありますが、RPAシステムを使えば課題を解決できる可能性があります。その理由をRPAの機能とともに説明します。

定型業務の効率化でスタッフの生産性がアップ

RPAは定型業務の自動化ができるので、主に事務作業の効率化によって、スタッフの労働時間の短縮が可能です。医療機関は取り扱う書類の種類が多く、事務作業も複雑になりがちですが、RPAで手順の決まっている業務を自動化できれば、大幅な業務効率化を実現できます。

さらに既存の労働力で生産性を向上できるのに加えて、一部の作業を完全に自動化できれば、スタッフの時間をより重要な仕事に充てられます。結果として、人手不足の問題の解決につながるでしょう。

スタッフの負担の軽減とインセンティブの向上

労働力が限られている医療機関ではスタッフの負担が大きく、パフォーマンスの低下をきっかけに、離職を選択する人材も珍しくありません。そこでRPAの導入で定型業務を自動化できれば、既存のスタッフの負担が軽減されるので、組織に対するインセンティブも向上します。

業務プロセスの改善によって仕事がしやすい環境になれば、早期離職の防止につながるとともに、優秀な人材が活躍できる機会も増えるでしょう。組織全体の生産性も改善します。

医療DXの推進による働き方改革の実践

医療業界でもDXの必要性が指摘されており、デジタル技術を積極的に導入する医療機関が増えています。電子カルテや診療予約システム、Web問診票などの運用は医療DXの代表例ですが、さらにRPAを導入すれば、システムの導入効果を大きく高められるでしょう。

データの入力や転記作業をRPAで自動化することで、業務プロセスの大幅な改善が可能になります。これまでデジタル技術の導入に懐疑的だった医師でも、RPAの利便性をきっかけとして、働き方改革の実現に前向きになる可能性もあります。

医療業界におけるRPAの導入事例

医療業界におけるRPAの導入例を、業務改善例とともに紹介します。どのような課題をRPAで解決するに至ったか、具体的にみていきましょう。

名古屋大学医学部附属病院

名古屋大学医学部附属病院では、医師や看護師の過重労働から脱却し、働き方改革を推進するためにRPAの導入を検討しはじめました。院内すべての事務部門でRPAツール「BizRobo!」を導入し、定型業務の自動化を推し進めています。

会議案内メールの自動送信や、医師の勤務時間の計算などから自動化を始めており、現在では約9,800時間の業務時間の削減が見込まれています。RPAに関するプロジェクトチームの増強により、ソフトウェアロボットのさらなる高度化も図っているようです。

※出典：RPAテクノロジーズ株式会社「【医療 RPA事例】すべての事務部門にRPAを導入約9,800時間の効率化を目指す | RPA テクノロジーズ株式会社」（2024年1月29日閲覧）

済生会熊本病院

済生会熊本病院では、働き方改革の推進のため2020年にRPAを導入しましたが、機能性が高く現場で使いこなせない状態でした。スタッフが忙しい時間の合間を縫って、ソフトウェアロボットを作成するのも困難だったようです。

そこで使い勝手のよいRPAツールを求めて、複数のサービスを比較検討した結果、パナソニック・インフォメーションシステムズ社の「ロボオペレータ」を導入した経緯があります。

新たなRPAを運用し始めたことで、ソフトウェアロボットのローコード開発が可能になり、約1,800名分の労働時間を合計で46時間ほど削減できました。今後は病院内のさまざまな部門に、RPAを普及する予定のようです。

※出典：PRTIMES「済生会熊本病院様へのRPAロボオペレータ導入事例を公開 | パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社のプレスリリース」（2023年12月26日閲覧）

倉敷中央病院

倉敷中央病院では、いわゆる2024年問題が注目される以前から、医師や看護師・その他の職員を含む全体で、働き方改革に注力してきました。事務書類の扱いやデータ入力に関して、タスクの分担を工夫しており、事務作業の受け皿となる人材の負担を軽減するため、RPAの導入に至ったようです。

複数の製品を検討した結果、ノンプログラミングでソフトウェアロボットを開発できる「NEC Software Robot Solution」を選択しました。同ベンダーの電子カルテシステムと連携しつつ、業務の自動化を進めた結果、煩雑な転記作業が自動化され、年間で960時間の業務時間の削減に成功しています。

※出典：日本電気株式会社「倉敷中央病院様: 導入事例 | NEC」（2023年12月26日閲覧）

医療業界向けRPAの比較

RPAロボパットDXは、1ライセンスで複数のPC端末を利用できるRPAツールで、充実したサポートが無料で受けられます。専任の担当者とカスタマーサクセスチームが、すべてのユーザーを丁寧にフォローしてくれるのが特徴です。

専門知識やプログラミングが不要で、現場で簡単にソフトウェアロボットを作成できるのに加えて、多くのソフトウェアやブラウザの自動化が可能です。1か月単位の契約もできるので、繁忙期のみの導入や、特定のプロジェクトの期間中のみ利用するといった運用もできます。

不動産業界や保険業界を中心に、多くの企業が導入しており、医療機関での運用も問題ありません。

BizRobo!は、業界トップクラスの知名度を誇る国産のRPAツールです。使いやすい操作画面と、ノンプログラミングでソフトウェアロボットを作成できます。転記作業やスクレイピング、データの収集・出力などにも柔軟に対応できるのが特徴です。

デスクトップ型・サーバー型・クラウド型のいずれの形態でも導入でき、カスタマイズ性も高いので、複雑な業務の多い医療業界でも問題なく運用できます。飲食・金融・物流・小売など、さまざまな業界で導入が進んでおり、官公庁や自治体への導入例も少なくありません。

WinActorは、NTTデータグループが研究・開発している国産のRPAです。Windows上で操作可能なシステムやアプリケーションならば、ワークフローとして学習し自動化できるのが特徴で、業界・業種問わず広く導入されています。

連携できるツールやシステムが非常に多く、Office製品はもちろん、ERPやOCRにも対応しています。決済システム上の作業も自動化できるので、スタッフの業務負担を大幅に軽減できるでしょう。すぐに始められるコンパクトさも魅力で、無料トライアル版も用意されています。

UiPathは、世界的に有名なRPAシステムで、多くの組織の業務自動化に貢献しています。ドラッグ&ドロップを中心とした操作と、事前に設計された豊富なテンプレートにより、簡単にソフトウェアロボットを作成可能です。

Microsoft OfficeとGoogle Workspaceとの統合サポートもあり、ロボットの実行やスケジューリングはUiPath Assistant で簡単に管理できます。さらにAPIの活用で、幅広いシステムを自動化の対象にできるのも特徴です。医療業界での導入事例もあります。

ロボオペレータ - パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社

ロボオペレータは、業務担当者の使いやすさにこだわって開発され、導入時には充実したサポートを受けられる純国産RPAツールです。パナソニックのグループ会社が開発しており、プログラミング知識がなくても、業務担当者がスムーズに導入・運用できます。

スクリプトや画像のコピーや検索などのアクションが設定しやすく、コマンドオプションでさまざまな設定・操作が可能です。

30日間の無料トライアルが利用でき、運用時と同様のサポートを受けられるので、まずは使い勝手を確認してみましょう。医療業界をはじめ、IT業界や大学などにも導入されています。

NEC Software Robot Solution - 日本電気株式会社

NEC Software Robot Solutionは、NECが開発・提供しているRPAツールで、マウスやキーボードを使用した操作により、簡単に自動化処理が可能です。

プログラミングの経験がなくてもソフトウェアロボットを作成でき、豊富な事例をベースに、ベンダーが運用のサポートをしてくれます。病院への導入事例が多く、市役所や銀行での運用事例もあります。環境に合わせて、柔軟にRPAを運用したい医療機関におすすめです。

Rabit - ラディックス株式会社

Rabitは、専用のRPAを低コストで導入・運用できるRPAツールです。勤怠管理や会計業務にかかる作業の自動化におすすめで、人事部門や経理部門の業務スピードを大幅に改善できます。運用コストは月額1万円程度なので、小規模な医療機関でも気軽に導入できるでしょう。

専門知識がなくても、オーダーメイドでソフトウェアロボットの作成・設定まで可能であり、人的コストの削減にも寄与します。今なら導入費用が約半額（※2023年12月時点）で導入でき、運用に至るまで丁寧なサポートを受けられるのも魅力です。

医療業界向けRPAでスタッフの業務負担を軽減

RPAは、組織のバックオフィス業務にありがちな定型業務を自動化できるツールです。

医療業界では人手不足の深刻化により、スタッフの業務生産性の低下や、離職率の増加などが問題視されています。そこでRPAの導入で業務を自動化すれば、スタッフの業務負担が軽減され、組織へのエンゲージメントを高められるでしょう。

導入するRPAを選択する際には、導入コストや基本機能はもちろん、既存のシステムとの連携性にも注目する必要があります。ITリテラシーが低めのスタッフもいるため、誰にでも使いやすい製品・サービスを選択することが大事です。

環境に合ったRPAを慎重に選んで、スタッフの負担を減らしましょう。なお、医療業界ではRPAに関連して、次のようなサービスも導入されています。こちらも検討してみましょう。

• 医療業界向け採用管理システム
• 医療業界向けERP