小売業界向けRPAおすすめ比較！解決できる課題と事例

小売業界で活用できるRPAの機能

RPAとは「Robotic Process Automation」の略語で、主に定型業務（手順の決まっている業務）をソフトウェアロボットにより自動化・効率化できるシステムです。バックオフィス業務を担う人材の負担を軽減し、組織のパフォーマンスを向上させるために、業界・業種を問わず広く導入されています。

ユーザーが事前に操作手順をシステムに記録させ、ロボットに実行させることで、一連の作業を自動化できるのがRPAの特徴です。自動化の範囲や可動領域により、デスクトップ型・サーバー型・クラウド型（ブラウザ型）の3種類に分類されます。

DXの推進に前向きな小売業界では、在庫管理業務の効率化や社員の管理業務などに、RPAが広く活用されはじめています。RPAの機能について詳しく知りたい場合は、こちらの記事も確認してみましょう。

小売業界における業務効率に関する課題

小売業界では、在庫管理業務の効率化や社員の業務パフォーマンスの向上など、業務の進め方やプロセスに関する課題を多く抱えています。日常業務において、解決すべき課題はどれか確認してみましょう。

煩雑な在庫管理業務による現場の混乱

小売業界では社員の抱える業務が煩雑になりがちで、特に在庫管理業務が現場の混乱を招いているケースが少なくありません。

その背景には、消費者がインターネットで積極的に情報を収集するようになり、流行の移り変わりが速くなった結果、消費者の好みが多様化している点が挙げられます。ニーズの変化に柔軟に対応するため、企業が取り扱う商品も多様になり、結果的に在庫管理が煩雑化しているところが多くあります。

労働集約的な業務プロセスによる人材への負担増

業務プロセスの多くが労働集約型であり、社員の働きに結果が依存している企業が多いのも、小売業界の特徴です。他の業界に漏れず小売業界も人手不足の傾向にあり、社員の長時間労働によるパフォーマンスの低下が問題視されています。

社員の負担を減らしつつ生産性の向上を図るために、よりシステマチックで社員の技能に依存しすぎない、業務プロセスの確立が必要です。

複雑になりがちな労務・勤怠管理

小売業界は他の業界に比べて、アルバイトやパートを雇用する機会が多く、勤怠管理も複雑になりがちです。正社員とアルバイトでは勤務形態が異なるため、人数が多いと毎月のシフト作成も時間がかかってしまいます。

集計ミスや申告漏れも発生しがちなので、社員の正確な労働時間を把握しつつ、スピーディーに作業を進められる環境を構築しなければいけません。

データの活用による組織の機動性・生産性の向上も必要

小売業界はとりわけデータの活用が必要な業界であり、顧客の属性や購入頻度、行動履歴の情報など、さまざまな要素の分析が求められます。

分析作業には相応の時間がかかるので、基本的にはシステムを導入することで、データの分析・活用・フィードバックのサイクルをスムーズに回す必要があります。そのためには、組織全体の機動性を上げなければいけません。

収集すべきデータの量も膨大なため、積極的にデータの収集から活用のプロセスにおいて、自動化を図ることが重要です。

小売業界の課題をRPAで解決できる理由

小売業界では在庫管理や勤怠管理、データの活用に関して多くの課題を抱えていますが、RPAを使えば課題も解決できる可能性があります。その理由をRPAの機能とともに解説します。

ロボットによる自動化で在庫管理業務をスムーズに

RPAは、アプリケーションや各種システムの作業手順を自動化できるので、入出庫管理や在庫の報告作業などの効率化に役立ちます。これまで社員が担っていた業務の一部を、ソフトウェアロボットに任せれば、よりスピーディーな在庫管理が可能になるでしょう。

業務報告に関してもシステム上で完結できる仕組みにすれば、RPAによる自動化が可能です。仕入業者への連絡も効率化が可能なので、社員の手間を大きく削減できるでしょう。

業務プロセスの改善で属人的な業務プロセスから脱却

伝票のシステム入力や店舗の売上集計をはじめ、社員が手間と時間をとられる作業をRPAで代替すれば、作業の属人化を防ぎつつ、業務プロセス全体の最適化を図れます。

人手不足に悩む企業も、既存の労働力で完結できる仕事が増えるため、顧客へのサービス向上にリソースを充てられるでしょう。顧客対応の質を上げれば売上の向上につながり、社会的なイメージアップにもつながります。

シフトの作成や勤怠管理の負担を軽減

RPAを用いてシフトの作成業務や勤怠管理にかかる業務を自動化すれば、社員の負担を大幅に軽減できます。

たとえばシフトのパターンを事前にシステムに設定し、それに応じてRPAがシフトを作成できるようにしておけば、社員が手入力をする手間を最小限にできます。ほかにも工夫次第で、勤怠管理や労務管理の手間を削減可能です。

小売業界ではすでに多くの企業がRPAを導入し、一定の成果を上げているので、他社の事例も参考にしながら、自動化すべき業務を検討してみるとよいでしょう。

データの収集や分析を自動化し精度を向上

手順の決まっている分析作業をRPAに代替させることで、作業速度と正確性を担保できます。人間の手ではケアレスミスが発生しがちな作業でも、RPAならばミスなく成果を上げられるのに加えて、24時間365日稼働させ続けることも可能です。

さらにRPAの中には、スクレイピングが可能な製品・サービスも多いので、任意の情報をインターネット上や特定のデータベースから収集できます。市場の変化を的確に捉えた、質の高いマーケティングを実現できるでしょう。

小売業界におけるRPAの導入事例

小売業界におけるRPAの導入例を紹介します。他社がどういった課題を抱えており、RPAによってどのように解決できたか、具体的に確認してみましょう。

マックスバリュ西日本株式会社

マックスバリュ西日本株式会社では、2020年よりレジ待ち不要のセルフスキャンシステムを導入し、デジタル技術を活用した売り場の改善に取り組んできました。

その一環として、バックオフィスの業務効率の改善のためにRPAに注目し、知名度の高いRPAツール「BizRobo!」の導入を決めています。

非IT部門出身の部長から運用をスタートしたものの、使いやすさから利用が広まり、本格的にソフトウェアロボットの社内開発体制を確立しました。データの登録や、セルフスキャンシステムの利用状況の集計に活用し、年間で4,000時間相当の余力を創出できたようです。

※出典：RPAテクノロジーズ株式会社「【小売×RPA】レジ利用状況の集計や請求書処理などを社内開発で効率化。BizRobo!×AI-OCRで進むスーパーマーケットのDX」（2024年1月31日閲覧）

株式会社光洋

株式会社光洋では、店舗担当の部長からRPAの試用を打診され、導入を進めてきました。複数の製品を比較検討し、見た目のわかりやすさとメニューの充実度から、人気のRPAツール「Robo-Pat DX（RPAロボパットDX）」の導入を決めたようです。

発注予測の計算業務をはじめ、社員が作業する部分と、自動化する部分とを切り分けながら運用したところ、月間で420時間もの業務時間の削減に成功しました。今後は、さらに多くの分野でRPAを活用し、情報発信に関する業務の自動化を検討しているようです。

※出典：株式会社FCEプロセス&テクノロジー「株式会社光洋 - RPA - Robo-Pat DX（ロボパットDX）」（2024年1月31日閲覧）

株式会社そごう・西武

株式会社そごう・西武では、デパ地下グルメを宅配するサービスである「e.デパチカ」を2021年にスタートし、順調に注文数を増やしてきました。しかし、注文の増加でヒューマンエラーが目立つようになり、発注票の作成作業も複雑だったため、エラーが頻発していたようです。

そこで、他部署ですでに導入されていたRPAツール「WinActor」を導入し、特約店の協力のもとで発注票の自動化シナリオを作成しました。自動化の調整を重ねた結果、それまで5分必要だった作成作業が1分に短縮され、ヒューマンエラーの防止にもつながっています。

※出典：株式会社NTTデータ「株式会社そごう・西武 | コロナ禍のニーズに応える、デパ地下商品宅配サービス ブランドごとへの煩雑な発注票作成を、WinActorで効率化 ｜ WinActor NTTデータ」（2024年1月31日閲覧）

小売業界向けRPAの比較

BizRobo!は、独自の価格体系で導入が可能なRPAツールで、ソフトウェアロボットやユーザーを一元管理しやすいのが特徴です。ブラウザから簡単にロボットを作成できるほか、自動化処理が安定しており、事業規模にかかわらず導入できます。

初心者でも使いやすい仕様であり、さらに導入から運用拡大まで、ベンダーが専任体制でサポートしてくれます。デスクトップ版からサーバー版まで提供されており、管理機能も充実しているのも魅力です。小売業界をはじめ、金融業界や不動産業界など、さまざまな業界で活用されています。

RPAロボパットDXは、現場での利用に特化したサービスと、使いやすい画面設計が特徴のRPAツールです。1ライセンスで複数の端末を制御できるのに加えて、ノンプログラミングで簡単にロボットを作成できます。

すべてのユーザーに専任の担当者と、カスタマーサクセスチームがついてサポートしてくれるため、初めてRPAを導入する企業も安心です。多くのアプリケーションやシステムの自動化が可能で、業界・業種を問わず広く導入されています。小売業界での活用例も多いので、導入の参考にするとよいでしょう。

WinActorはNTTグループが研究・提供しているRPAで、Windows上で操作可能なアプリケーションならば、基本的に自動化が可能です。操作しやすいGUIが完備されており、ノンプログラミングでソフトウェアロボットの作成ができます。パソコン1台から、サーバーまで幅広く制御が可能です。

全国にあるNTTデータのパートナー企業から、充実したサポートを受けられることもあり、数多くの業界で導入されています。小売業界での導入例も少なくありません。

BizteX robopは各種SaaSとシームレス連携できる、デスクトップ型のRPAです。管理サーバーを無償提供してもらえるので、低コストでスムーズに運用を始められます。

システムへのデータ入力やシステム間の連携、データチェックやデータの抽出など、さまざまな状況で自動化プロセスを実行可能です。無料トライアル版もあるので、実際の画面を確認しながら、操作性をチェックしてみましょう。保険業界や医療業界に導入例があり、小売業界でも問題なく活用できます。

UiPath Platformは世界的に導入・利用されている、代表的なRPAシリーズの製品です。ドラッグ＆ドロップを中心に、ノーコードでソフトウェアロボットを作成できます。事前設計された豊富なテンプレートとシナリオで、スムーズに自動化プロセスを実行できるのが特徴です。

世界的に利用されているRPAツールであり、国内でも業界・業種を問わず広く導入が広まっています。海外に視点や支社がある小売業者にもおすすめです。無料トライアルが使えるので、まずは操作性を確認してみるとよいでしょう。

NEC Software Robot Solution - 日本電気株式会社

NEC Software Robot SolutionはNECの提供しているRPAで、小売業界をはじめ製造業界や医療業界、官公庁など幅広く導入されています。使いやすさを追求した機能構成で、画面設計も視認性にこだわっているのが特徴です。

多くのアプリケーションの自動化が可能であり、短時間でロボットを作成したい企業や、ロボットの内製化を目指す企業にもおすすめです。最短で1か月単位での導入もできるので、期間限定で利用するのもよいでしょう。お試しで導入して、徐々にスケールアップするのもおすすめです。

RoboTANGOは、繰り返し発生するPC上の作業を、簡単に自動化できるRPAです。1つのライセンスを複数の端末で利用可能で、離れた拠点間でも運用できるので、広く組織の業務効率化とコスト削減に役立ちます。

月額5万円から低コストで使えるのも魅力で、最低利用期間が1か月なので、繁忙期やプロジェクト期間中のみの利用といった導入も可能です。RoboTANGO専用のサポートサイトも利用できるほか、3週間まで無料で試せるトライアル版もあります。

EzAvater - 株式会社テリロジーサービスウェア

EzAvaterは、使いやすさを徹底的に追求した国産のRPAツールで、誰でも簡単に自動化シナリオを作成できます。目の動きをそのままRPAに覚えさせる感覚で、自動化を実行できるのが特徴です。

ソフトウェアロボットの動作も安定しており、エラー発生時も即座に通知してくれるので、常にシステムを監視している必要はありません。サービスベンダーはユーザーの声を積極的に拾い上げ、年間100以上の機能を追加しているようです。操作ガイドやサポートサイトも充実しています。

小売業界向けRPAで在庫管理や勤怠管理を効率化しよう

RPAは定型業務を自動化できるツールで、主にバックオフィス業務の効率化に役立ちます。業界・業種にかかわらず広く導入が広まっており、小売業界での導入例も増えています。

小売業界では在庫管理や労務・勤怠管理が複雑になりがちで、社員の業務負担が増大している企業が少なくありません。管理システムの活用方法を見直すとともに、RPAを導入して業務自動化を図ることで、社員の負担を大幅に軽減できるでしょう。

導入するRPAを選ぶ際には、導入費用と機能構成はもちろん、ソフトウェアロボットの作成のしやすさや、サービスベンダーのサポート体制にも注目が必要です。作業を効率化したい管理システムがあるならば、よりスムーズに自動化できるRPAを選択しましょう。

無料トライアルが利用できるRPAも多いので、まずは使い勝手を確かめることも大事です。環境やニーズに合った製品を導入し、社内の業務効率化と生産性の向上を目指しましょう。

なお、小売業界ではRPAに関連して、次のようなサービスも導入されています。こちらも利用を検討してみるとよいでしょう。

• 小売業界向けeラーニングシステム
• 小売業界向けMAツール