Sansanが最重視する、カスタマーサクセス機能「3つの役割・4つのアクション」

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記事の情報は2017-10-30時点のものです。

Sansanプロダクトアライアンスマネジャー山田尚孝氏による本連載。最終回となる第3回は、「強い法人向けクラウドサービス」事業収益安定の鍵となるカスタマサクセス部門の果たすべき役割とアクションについて語っていただきました。

カスタマージャーニーの次なる一手「Tech Driven」

カスタマージャーニーはカスタマーサクセスをドリブンする上で有効な手法ですが、一方でそれに伴う活動はヒューマンリソースを大量に消費します。自社サービスのLTVを高めるために行っている活動がジワジワと自分たちの首を締めていくという皮肉な状況を生み出し始めるのです。これはその提供サービスに価値があればあるほど顕著になっていき、そう長くない間に臨界点を迎えることになります。カスタマーサクセス部門はこのレベルに達する前に手を打つ必要があります。それは面対応と自動化です。

面対応

それまで個社ごと(点対応)していた行為は顧客の増加に伴い、いつかは面で対応する必要に迫られます。具体的には顧客のセグメント分けと、そのセグメントに応じた割り切りです。つまり顧客を自分たちの扱いやすいグループ・単位に分割し、ユーザー数、利用度等に応じて濃淡を付けた対応を行うやり方です。

これは効率面を考えた場合当然のことのように思えますが、それまで、点対応していた身からすると非常に決断を要することです。点→面になることで個社毎にかけるエネルギーはどうしても薄まりますし、早くから贔屓にしていただいていたお客様に対し、ある意味一線を引くのですから躊躇してしまうのも無理からぬことです。しかしこれはいつかはやらなければなりません。

定型化・自動化

上述の躊躇を打破するのが自動化です。点→面対応への変化によって失われる手厚いフォローをテクノロジーの力によってなるべく失われないようにする方法です。例えばAI+チャットbotの活用によって顧客が陥りやすい問題を簡便に解消できるようにしたり、サービス導入~設定までの手順したわかりやすい説明動画を作ったりすることなどが考えられます。この時陥りやすいのは、自動化を自社のエンジニアリソースで実現しようとすることです。

「自社でやれるならやればいいのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、本サービス以外にエンジニアリングリソースを投入すると間違いなくそのツールの進化は停滞します。自社のエンジニアリングリソースは自社サービスに投入されるべきもので、社内にはそのような暗黙のコンセンサスがあります。誰もが自分たちのサービスが進化することを望んでいるのです。そこに、「すぐできそうだから」などの理由で自社リソースを投入したとしても、最初は良いのですが、そのツール自体も運用しなければなりませんし進化も必要です。自社のエンジニアの稼働が切迫してくると「こんなのもうお世話してられない」となり、たちまちそのツールはメンテンナスされなくなり、半年も経たないうちに使えなくなるでしょう。このような経験はTech系の会社であれば一度は経験していると思います。

これを回避するには、外部のサービスを上手く活用することです。最近はサービスを強化・補完するためのサービスも多く出ていますし、顧客も本サービス以外で他社のサービスが使われていたとしてもそこまで気にしません。餅は餅屋の精神で、すっぱりお金で解決してしまうことをお勧めします。

面対応、自動化のいずれにしても、カスタマーサクセス活動の特徴として「極めて一般化しにくい」という特徴があるため、その活動を表層的に見るととてもシステム化できないように感じます。しかしながら強いクラウドサービスを持つ企業のカスタマーサクセスは、いずれも自社のカスタマーサクセス企画活動をシステム化していて、彼らの強さの源泉はそこにあるといっても過言ではありません。自社のサービスに最適化した、顧客をジャーニーさせる方法論を見出し、それをシステム化して自社で使用するということがカスタマーサクセス部門の最終ゴールだと私は考えています。

※2017年現在で、本記事で私が語ったカスタマーサクセスのメソッドをドンピシャで実現してくれるサービスは世の中に存在していませんでした。CRMやMAがセールスやマーケ活動そのものを変えたように、そのようなサービスの出現がカスタマーサクセスをより一般的な職種に昇華(コモディティ化?)してくれるのかもしれません

まとめ

最終回では、クラウドサービスのカスタマーサクセスについて考察しました。これまでの記事とは異なり、強い法人向けクラウドサービスはカスタマーサクセスの機能を必須で有している前提に基づいて、以下のようなカスタマーサクセスの本質を掘り下げてみました。

• サブスクリプションモデルの一般化により、カスタマーサクセスが重要なポジションになりつつある

• カスタマーサクセスが果たすべき役割は、1. 継続利用によるChurnの削減、2. Negative Churnの発生、3. 2nd Order Revenueの仕込みに集約される

• カスタマーサクセスが行う具体的なアクションはImplement(導入支援)、Optimize(活用支援)、Training(トレーニング)、Engage(ファン化)である

• カスタマーサクセスには、上記の4つを組み合わせてユーザーを育てるための方法論とフレームワークが必要

• 昨今注目を集めつつあるカスタマージャーニーはそのフレームワークの一つである

• カスタマーサクセスは、自身の取り組みが成功すればするほどTech Drivenにならざるを得ない

• カスタマーサクセスが強い企業は自社のフレームワークをシステム化しており、それが強さの源泉でもある

今回で、「強い法人向けクラウドサービスの正体に迫る」というテーマでお届けしてきた本連載は完結となります。私自身がSansanという成長期のクラウドサービスを提供している会社に所属しているメリットを活用して、今回の連載を書かせて頂きました。なるだけ、中にいるからこそわかる話を盛り込み興味深い内容にしてみたつもりですが、本連載が皆さんのビジネスの一助となれば嬉しい限りです。読者の皆様のビジネスの成功をお祈りして結びの言葉とさせて頂きます。

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