メタップスの「赤字決算」にみる、資本主義から価値主義へ移行する社会

先週はメタップスの決算報告がにわかに話題となった。営業利益が前年同期比でマイナス99.4%の赤字決算を公表したのだ。しかも仮想通貨の利益は評価しないという。 決算を好意的に見るもの、否定的に見るもの、斜めに見るものさまざまな思惑が入り乱れる。 話題の『お金2.0』の作者、佐藤航陽氏率いるメタップス。稀代のイノベーター佐藤社長は会社を、そして社会をどこへ導こうとしているのか。

メタップスの「赤字決算」にみる、資本主義から価値主義へ移行する社会

価値主義元年、2017年という記念すべき年を過ぎて

昨年、つまり2017年はいろいろと衝撃的な年だった。まず年始には考えられなかったビットコインが大幅上昇し、最高で1BTCが230万円をつけ、さらに翌年1月に大幅下落しておよそ半分に。

ブロックチェーン技術に注目する人、値上がりのボラティリティを期待する人、そして皮肉を言いながらチャンスを逃す人、さまざまな欲望と希望と憶測が入り乱れ、ビットコイン価格はいまも乱高下中だ。

さらにビットコインを使った、パーソナリティが株価のようにトレードされるサービスであるサービス「VALU」が登場し、多くの価値がトレードされた。そこでビットコインを調達した人も多いだろう。筆者も少ないながら、少しBTCを投げ銭して頂いた。

これらは次の時代の到来を予感させる。資本主義から価値主義へ。評価経済の到来だ。

評価経済における価値主義とは何か?

価値主義の時代、評価経済の時代という言葉がバズワードとなっている。メタップス佐藤航陽社長の新刊「お金2.0」でも価値主義への移行が語られており、こちらも決算報告と同じく世の注目が集まっている。

しかしそもそも、価値主義の価値とはなんだろうか。

18世紀啓蒙思想の哲学者デイビット・ヒュームは「宗教よりも共感こそ人間にとって大切である」と説き、友人であり熱心なキリスト教信者であったアダム・スミスに衝撃を与えた。近代経済学の基礎を築いたアダム・スミスは、「神の見えざる手」によって市場で価格が自動調節されるというロジックで資本主義の成り立ちを支えた人物だ。

価値主義の価値とは、その「共感」のことである。共感は資本主義においてはほとんど役に立たない。仕事の現場において共感力が高いことはそれほど価値を伴わないのだ。

しかし、評価経済の時代は違う。価値主義は共感をもとに、ゆるくつながったネットワーク上で、お金がやり取りされる。

現に、CAMPFIRE社による投げ銭のpolcaや、メタップス社の時間を売るTimebank、そしてキングコング西野率いるレターポットなど、ソーシャルネットワーク上を徐々にお金が流れつつある。

好例を紹介しよう。鉛筆画で迫力あるリアルな絵画を追求する24歳の大森浩平氏は、これ以上創作活動を続けるのが困難、というところまで陥ったものの、家族が作品をソーシャルに投稿し、また本人も情報発信を行うことで共感によって資金が集まり、活動を継続している。

つまり従来の資本主義においては価値がなかった共感や応援といったエモーショナルな部分が可視化され、さらに資本と化す。それによって、旧来型の資本主義では生きていけなかった人たちも、つながりによって生かされることができるのだ。

これは、いまさまざまな事情で経済的な苦境にある人達にとっても希望ではないだろうか。