メンタルヘルス領域でも、AIの2045年問題はくるのか?
2045年、AIが人の知能を超えるという説がある。メンタルヘルス領域でもこれは起こりうるのだろうか。結城氏に聞いた。
「2045年かどうかはわかりませんが、未来には起こるでしょう。ただし、ストレスも減ることはないと思います。たとえば「Google Home」ですべてをまかなえる時代になったとき、ちょっとの故障でも、それがないことが大きなストレスとなります。技術の進化で肉体的なストレスはほぼ皆無になったとしても、その分メンタルの強さが重視される時代がくるのではないでしょうか。
実際、現在でも“最初から精神疾患にならない人を採用したい”という声は企業からもあります。労働人口が減っている中で、企業も人材確保に必死ですから。」(結城氏)
AIによる判定が進み、「メンタルスコア何点?」という会話が普通になる。スコア高得点者が就職や、婚活などを有利に進め、メンタルを強くするための「メンタルトレーナー」をつけるのが主流になる。メンタルスコアが人生を左右する、そんな未来がやってくるかもしれない。
また、AIに判定されること自体がストレスになる可能性もある。データ差別を生まないためには、欠点だけを洗い出すのではなく、ポジティブキーワードで具体的な対策を示すところまでを追求していかなければならないとも、結城氏は語っている。
今、企業ができることは何なのか
従業員の立場からすると、データを会社に握られ、データによって判断されることは正直怖いと感じる人が大半だろう。結城氏はどう考えるのか。
「こういった話だけ聞くと、経営側にとってのメリットしかないように聞こえ、従業員は戦々恐々とするでしょう。一番の課題は、本人たちがそれを望んでやるようにならない限り、幸せにはなれないということです。自分で自分を管理し、健康になるための意識を持たなくてはなりません。」(結城氏)
日本では健康保険があり、病気になればすぐに病院に行ける環境があるため、自己管理するという意識は低いという。まずは過度なストレスを抱えないために、自分でコントロールしていく力を鍛えていかなくてはならない。
そして会社としては、問題を抱えている社員に対し、フラットな視点でマネジメントを行い、適切な対策をしなくてはならない。目先のコストや成果にとらわれることなくストレスに強い組織づくりをすることが、結果として企業の成長につながるのである。
メンタルヘルス対策についても「データファースト」の時代が訪れることは間違いないだろう。従業員が自分のデータを開示するのを怖がるのではなく、データを使い、当たり前のように会社に健康維持を要求できるような環境を作っていかなければならない。まず企業にできることは、経営者が本気で従業員の方を向き、信頼関係を構築することだろう。
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