ハラールとは?禁止されている食べ物・認証・対応事例、インバウンド増加で注目

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インバウンドの増加にともなって訪日ムスリムも増えている昨今、イスラムの慣習にまつわるハラール(フード)が注目されています。本記事では、ハラールで禁止されている食べ物などの基本的な知識から、ハラールに対応していることを証明するハラール認証について解説するとともに、対応事例も紹介します。
ハラールとは?禁止されている食べ物・認証・対応事例、インバウンド増加で注目

訪日ムスリム増加で「ハラール」重要度増す

JNTO(日本政府観光局)は2017年、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシアの東南アジア4か国からの1年間の訪日外国人の人数が過去最高を記録したと発表しました。それにともなって、イスラム教を信仰する外国人の訪日が増加しており、ムスリム向けのPRも盛んに行われています。

この背景には、2013年7月から訪日外国人が日本入国の際に取得する必要のあるビザの要件が緩和されたことがあり、特にタイとマレーシアからの短期滞在者はビザが免除されるなど、東南アジアのムスリムが日本へ訪れる機会が増えているのです。

そんななか、イスラムの法にのっとった「ハラール」への対応が注目されています。ハラールとはもともとイスラム教において「合法なもの」のことをいい、それが転じて、イスラム法上で食べることを許されている食材や料理のことを意味するようになりました。

国内では訪日ムスリムの増加を受けて、ハラールフードを提供している大学や機内食に取り入れる航空会社なども出てきました。ムスリムの訪日客をもてなすためには、どんな食事がハラールに合致するのかを理解しておく必要があるでしょう。

ハラールについて最低限知っておくべき3つのこと

そもそも、ハラールについて最低限知っておくべきことは何でしょうか?

禁止されている食べ物

知っている人も多いと思われますが、イスラム教では豚肉やアルコールが禁止されています。

単に肉として口にしてはいけないだけではなく、豚肉でとったエキスなども口にできないので、豚骨スープやゼラチンを使ったお菓子など、豚に由来するものはすべてNGとなります。

また、牛肉や鶏肉など他の動物の肉に関しても、ハラールの飼料で飼育され、イスラム法に準拠して加工されたものでなければなりません。家畜の育て方にも厳格なルールがあるのです。

アルコール「使用」も禁止

豚と同様、アルコールも厳格に禁止されています。

お酒として飲むだけではなく、食事にアルコールが混入してものもNGとなります。たとえば、料理酒やみりんを使って調理したものや、発酵食品でアルコールを含んだものも、ムスリムは食べられません。

また、消毒などアルコールが使用されているものは全面的に禁止されていてる場合もあるため、注意が必要です。ただし、地域などによってどこまでのアルコールが許容されるかは異なります。

調理器具に注意

調理器具にも配慮が必要です。豚肉を調理したまな板や包丁を使って調理したものはNGとなるケースがあることに加え、豚の脂が使われているゼラチン、発酵の過程でアルコールが発生する醤油など、日本では一般的なものなかに意外な落とし穴が多いので注意しましょう。

日本食を楽しみにしているムスリムは多いですが、日本人の多くが知らない細かいルールが存在しているので、ハラールかどうかわからない場合は相手にしっかりと確認することが重要です。

対応を証明する「ハラールマーク」とは

ハラールであること、あるいはハラールフードを提供している店舗にハラールマークが表示されている場合があります。

ハラールマークを取得するには

ハラールマークはハラール認証を証明するもので、イスラム教の専門家が、その食品や店舗で提供している料理がハラールであることを保証していることを示しています。

ハラール認証を受けるためには、その食品が製造過程からハラールに準拠していること、調理設備がイスラム法において禁止されている(ハラームという)ものでないことが厳しく調べられ、その審査を通過したものだけにハラールマークを付けることが許されます。

このマークがあれば安心して食事ができるため、国内でもさまざまな食品や店舗がハラール認証を受けるために申請を出しています。

承認機関は複数ある

ハラールフードであることを承認し、ハラールマークを提供できる機関は全世界に存在します。

ハラールの認証期間は世界で200以上存在するといわれ、日本国内でもジャパン・ハラール・ファンデーションなど15以上の団体がハラール認証機関として活動しています。ただし、それぞれの機関によって承認する基準が異なる場合があるので、その点は注意しましょう。

ハラール認証がなければムスリムに食事を提供してはいけないというわけではなく、たとえ認証がなくてもムスリムが安心して食べられるレストランもたくさんあります。それでも確実にハラールに対応した食材だけで提供される料理であることがわかるため、訪日ムスリムにとっては安心して食事のできる場であることは間違いありません。

ハラールフードの対応事例

ハラールについて概要を説明したところで、ハラールフードに対応している企業や団体を紹介しましょう。

全国の大学

訪日ムスリムのなかでも、特に増えているのがイスラム圏からの留学生です。そのため、ハラールフードに対応する大学が増えています。

たとえば東京大学や近畿大学、北海道大学など大学生協が食事を提供している大学の多くはハラールフードを提供しており、全国で45以上の大学でムスリム留学生がハラールな食事を食べられる体制が整えられています。

今後もムスリム留学生の増加とともに、大学生協を中心にハラールフードを食べられる学生食堂が広まることが予想されます。

ANA機内食

機内食でハラールフードを提供していることで知られているのがANAです。

同社は、世界的な航空サービスリサーチを手がけるSKYTRAXから最高評価の5つ星を3年連続で認定されており、そのサービスの質の高さには定評がありますが、増えるイスラム圏の乗客に機内食の面でも素早く対応しているようです。

2014年に機内食におけるハラールフードの世界最大手ブラヒムと業務提携し、ケータリングサービスの国内工場でも上述のハラール認証を受けています。2020年の東京オリンピックに向けて、さらにハラールフードの機内食が充実するかもしれません。

ハラールを知って楽しく食事を

ここ数年、訪日外国人の数が右肩上がりに増えていることに加え、東京オリンピックの開催でさらに多くのムスリムの訪日が予想されます。それにともなってハラールに対応した食事の需要も増し、ハラール認証を受けたレストランや食品などの重要性が増すでしょう。

対応が必須ではないものの、他国の文化や慣習を理解することは国際交流のなかで欠かせません。ぜひ、この機会にハラールについて理解し、楽しい食シーンについて考えましょう。