フードデリバリーはスマホで新時代へ 食の新しい楽しみ方が広がる

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記事の情報は2018-09-16時点のものです。

UberEatsをはじめLINEデリマ、出前館など、主にスマホを利用したフードデリバリーサービスが広まっています。出前文化の根付く日本で、フードデリバリーサービスは今後どうなっていくのでしょうか。近年登場したデリバリーサービスを紹介するとともに、配達機能を共有するシェアリングデリバリーなど、さまざまな角度からフードデリバリー市場を展望します。

フードデリバリーが地域の架け橋に

このように、スマートフォンをはじめとしたインターネット関連デバイスを利用することで再び盛り上がりをみせているフードデリバリー。今後どういった展開をみせるのでしょうか。キーワードは「地域」にありそうです。

飲食店と家庭をつなぐ“出前代行”

UberEatsに代表される「出前代行」ともいえるデリバリーサービスは、料理を提供する店舗側も配達員へコストをかける必要がないため、比較的容易に導入でき、売上アップが見込めます。また配送側の事業者からしても、信頼のおける店舗に委託することでサービスの質(料理の味)を担保できます。どちらの立場にもメリットがあるのです。

現状の課題としては、配送にかかるコストや時間を短縮しつつ、いかにユーザーに高い満足度でサービスを提供できるかでしょう。店舗側も多くのライバル店舗のデリバリー市場への進出が予想されるため、味の洗練や差別化といったレストランとしての努力が求められます。

シェアリングデリバリーの取り組み

大手出前ポータル「出前館」を運営する夢の街創造委員会も、コロワイドグループの「かっぱ寿司」などを中心に配達代行システムを基本としたデリバリーサービスを全国で順次展開しはじめています。

「シェアリングデリバリー」と名づけた同サービスでは、これまで出前機能がなかった店舗でも、出前館のシステムや配送網をシェアすることでデリバリーサービスへの参入が可能になります。これは配送する側の"シェアリング”も含んでおり、2016年には朝日新聞の販売店ASAと連携。配達のプロともいえる新聞配達員が出前の配送をし担っています。

デリバリーにおいて配達員の質は顧客の印象を左右する重要な要素です。この取り組みが効いているのか夢の街創造委員会の業績は堅調に推移しており、今後の展開が期待されます。

宅配が高齢者を支える

少子高齢化が進む日本では、自炊や外食が難しい高齢者世帯が急速に増加しています。そのため、料理の宅配サービスは今後必ず需要が高まると予想されており、すでにセブンイレブン、ベネッセ、ワタミなどの大手企業が高齢者向けの配色サービス事業に乗り出しています。

現状は冷凍弁当や惣菜セットなどのデリバリーが主流ですが、今後さらに栄養、味、価格などが最適化されるとも思われ、事業主はどこに焦点を当てて事業展開をするのか考える必要が出てくるでしょう。宅配フード事業が本格的に介護分野にも貢献する日はそう遠くないはずです。

フードデリバリーはその特性から、地域と大きく結びつくサービスです。地域の飲食店と住人を綿密につなぎ、地域全体を盛り上げる可能性をも持っているかもしれません。

デリバリーが日本の食事を支える

日本には古くから質の高い出前文化が根付いていました。ここへUberEats(ウーバーイーツ)やLINEデリマをといった新たなフードデリバリーサービスが登場し、盛り上がりをみせています。

スマホアプリから簡単にデリバリーを頼めるサービスは、ユーザーの利便性を高めるとともに店舗の参入障壁を下げ、都心を中心に拡大しています。また配達機能をもシェアすることで、配送事業主のメリットにもつながっています。今後その地域にこだわらず広がり続けるでしょう。

Uber(ウーバー)がコンセプトとしているハイヤーシステムを利用した小規模飲食店のデリバリーサービスが広まっていくのか。それとも大手企業がその資本力を使って新たなデリバリーサービスを展開するのか。まだあらゆる可能性を含んでいるといえそうです。

共働き世帯の増加、高齢化など、社会の情勢が変化するなかで、地域の力を生かすフードデリバリーは、日本の食事を支える存在であり続けることに変わりはないでしょう。