年間632万トンの食料が廃棄されている︎
日本では年間約632万トンのまだ食べられる食料が廃棄されています。1人あたりに換算すると、毎日茶碗一杯分(136g)のご飯を捨てているとことになります。これは、世界の年間食糧援助量の2倍に相当します。
この「食品ロス(フードロス)」は世界的に大きな社会問題となっており、解消するためにさまざまな取り組みがなされています。

フードシェアで食品ロス減へ
食品ロスをへらす方法の一つとして近年メディアなど取り上げられているのが「フードシェア」です。さまざまな形のフードシェアサービスが登場しています。
フードシェアとは
フードシェアとは、家庭や飲食店などで“余っている”食品・食材を、食べたい人に寄付や割引で提供し、まだ食べられる食品を無駄にしないようにしようというもの。シェアリングエコノミーが盛り上がるなかで、とりわけ注目されてきています。
フードシェアを利用するメリット
フードシェアには食品を提供する側、提供される側、双方にメリットがあります。飲食店や小売店側と利用者側にわけて見てみましょう。
まず飲食店の場合、金銭的な利益はそれほどありませんが、店の知名度が向上し来店につながる可能性があります。また小売店では、食品の廃棄コストを抑えられる可能性が。そして両者にとって、社会的に意義のある活動に参加していることから、店・企業イメージの向上にもつながります。
フードシェアの利用者である消費者としては、いうまでもなく安く食品を手に入れられること、そして食品ロスの削減という社会貢献をしているという満足感が得られます。
3つの注目フードシェアリングサービス
日本国内でもいろいろとフードシェアリングサービスが行われていますが、主な3つのサービスについて解説します。
Reduce Go
SHIFFTが提供するReduce Goは、飲食店や小売店などで余ってしまった、または余りそうな食品・料理をテイクアウトできるサービスです。月額1,980円の定額制で、1日2回まで利用できます。記事執筆時点では東京23区内のみのサービス提供ですが、順次提供エリアは拡大される予定です。
Reduce Goでは、利用料金の2%は社会活動団体へ寄付されます。
TABETE(タベテ)
TABETEは日本のフードシェアリングサービスのパイオニア。コークッキングが提供しています。TABETEでは、飲食店が閉店の少し前に余りそうな食品量情報を出し、それを見た利用者が買いに行くというシステム。定額制でなく、単品で購入できます。そのため多少割高になる可能性はありますが、手軽にフードシェアサービスを利用できます。
なおTABETEは、2018年に入って複数企業から増資を受けています。
KURADASHI
KURADASHIはグラウクスが提供しているフードシェアサービス。趣旨に賛同した提携企業などから商品を提供してもらい、利用者が安く購入できる仕組みです。KURADASHIでは、食品や飲料以外にも、洗剤や化粧品といった日用品も扱っています。
商品価格には社会活動支援団体への支援金額が含まれており、商品の購入によって社会貢献ができるようになっています。また商品購入時にキズナポイントが付与され、社会貢献度を確認できます。
フードシェアだけで食品ロスはなくならない?
食品ロス問題を解決するために登場したフードシェアサービス。とはいえ、余った料理を提供するフードシェアだけで食品ロスを解決することはできません。
農林水産省が平成27年度に出した推計では食品ロス約646万トンのうち、家庭で発生するものも約289万トンもあるのです。飲食店、家庭ともに、コツコツと対策を積み重ねなければなりません。
飲食店ができる食品ロス対策
まずは飲食店でできる食品ロス対策について。余った・余りそうな料理を提供する以外に、何ができるのでしょうか。
廃棄した食料の記録をとる
まず大切なことは、日々廃棄した食料を記録することです。毎日どのくらいの食料を廃棄しているか「見える化」することで、客観的に食品ロスを認識できるとともに、食品ロス対策を行う意識づけにもつながります。
仕入量を再考する
廃棄した食料を記録することで、店舗でどの程度の食品が廃棄されているのかがわかります。この結果を踏まえて廃棄量を減らすために、仕入量をもう一度考え直すことは非常に大切です。
食べ残しを減らせるメニューに
もう一つ有効な対策として、注文を小分けにすることが挙げられます。「大盛り」「普通」「少なめ」「ハーフサイズ」などがそれです。お客は自分の食べられる量に合わせて注文できるので、食べ残し削減につながります。
消費者ができる食品ロス対策
では、料理を食べる・食品を買う側の消費者が、食品ロス削減のためにできることはあるのでしょうか。主に家庭でできる食品ロス対策を紹介します。
食料品を買いすぎない
まず大切なことは「買いすぎない」ことです。もし、フードシェアサービスなどを利用して食品ロスへの対策に貢献しようとしていても、買いすぎてしまっていては新たな食品ロスにつながり、元も子もありません。スーパーなどで食品を購入するときも、飲食店で食事をするときも、
消費期限と賞味期限に注意する
消費期限と賞味期限には違いがあり、消費期限は「その日までに食べなければならない」もの、賞味期限は「その日まではおいしく食べられる」ものです。買い物をするときには消費期限と賞味期限の違いに気をつけるようにしましょう。
フードシェア拡大で社会が変わる
世界中で社会問題化している食品ロス(フードロス)問題を解決しようと、日本でもさまざまなフードシェアの取り組みが行われています。たとえば飲食店で余りそうな料理を利用者へ割安で販売する「TABETE」など、ベンチャーを中心にいくつものフードシェアサービスが登場しました。
世界では年間約13億トン、実に世界の食品の3分の1が捨てられているといいます。日本の食品ロスは年間約621万トン。世界の国々の中でも多い数字なのです。
フードシェアはまだまだ発展中の取り組みであり、今後さらに拡大していくでしょう。「もったいない」の言葉を持つ日本に住んでいるからこそ食品ロス問題にしっかりと向き合い、意識を変える努力が必要です。