米マイクロソフトがHoloLens 2 発表、アニメで描かれてきた「xRの世界」とは?

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記事の情報は2019-02-25時点のものです。

2019年2月24日(中央ヨーロッパ時間)、米マイクロソフトがヘッドマウントディスプレイ(HMD)の新モデル「HoloLens 2(ホロレンズ 2)」を発表し開発者たちを賑わせている。AR(拡張現実)・VR(仮想現実)・MR(複合現実)いわゆるxRは、HoloLensなどデバイスの進化と5G実装で実証実験の段階から実用に向けて加速するだろう。本記事では、昨日発表された「HoloLens 2(ホロレンズ 2)」の性能概要と、xRが一般に普及した世界を描いた日本のアニメを紹介する。
米マイクロソフトがHoloLens 2 発表、アニメで描かれてきた「xRの世界」とは?

米マイクロソフトが「HoloLens 2(ホロレンズ 2)」を発表

HoloLens(ホロレンズ)とは、ワイヤレスで頭に装着するタイプのホログラフィックコンピューティングだ。マイクロソフトのOS Windows10 が搭載されており、単体でインターネット接続やアプリケーション操作ができる。

ジェスチャーや音声で操作を行う"ハンズフリー"の利便性と、読み込んだデータを従来のように画面に表示させるのではなく、現実空間にバーチャルなオブジェクトとして3D表示させることができる"複合現実"が特徴だ。

以前Beyond(ビヨンド)でも、マイクロソフト HoloLens(ホロレンズ)を活用し、建設業界の働き方改革を手がける小柳建設を取材した。しかし、初代 HoloLens は解像度や重量など利便性において改善余地が大きく、利用領域はデータ容量の比較的小さな橋や道路などの土木工事にとどまっていた。データ容量の多い建造物に適用するため、「HoloLens 2」の登場と5Gの実装を期待する小柳社長の様子が印象的だった。

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今回発表されたHoloLens 2 は、こうした現場からの改善要望に真摯に応えたクオリティに仕上がっているようだ。

VRと比べると非常に狭いと指摘が上がっていたオブジェクトの視野角は、初代比約2倍に。解像度も約2倍になり、小さい文字などの視認性は格段に向上しそうだ。またわずかながらだが軽量化も実現し、より安定的に装着しやすい形状へとリニューアル。デバイスの付け心地は、HoloLens 産みの親 アレックス・キップマン氏いわく「3倍」になったそうだ。

視線を検知してホログラムの描写位置を自動調整してくれるアイトラッキング機能も搭載し、利便性はより一層向上したといえる。また、指一本一本の細かな動きまで検知できるトラッキング機能も備わった。発表当日のデモではピアノを弾けるレベルで動きをしっかりトレースできており、ホログラムを指でつまんだり押したりといった直感的な操作が可能になった。

これまでHoloLens開発者を悩ませていたデバイスの重量、データの精度、処理速度などを大幅に改善するスペックの強化で、HoloLens 2 は xRの各産業への実装を強力に後押しするだろう。特に、製造現場や医療現場など、PCを導入できていなかった領域へのコンピューティング促進には注目だ。

価格は3,500ドル。日本でも発売される予定だが、革新的な発表内容に対して予約は電話受付というアナログな方法だったことは、Twitter上などで一部の関係者からツッコミを受けていた。それも愛情の裏返しか。ちなみにHoloLens 2 ではケースも、通称“湯たんぽ型”から四角に変わるそう。ケースに至るまで話題に上がるところは、HoloLens 2 への大きな期待の現れなのだろう。2019年内には発売されるとのことで、とにかく新たな導入事例が待ち遠しい。