新人教育マニュアルとは？育成内容・作成のポイントを解説

新人教育マニュアルのメリット

新入社員は、入社してからしばらくの間はどうしても自分の仕事を覚えることに精一杯になってしまいます。一方、仕事を教える側の人事担当や研修担当にとっても、新人教育は重要度が高く責任のある仕事でもあります。

そんなときに必要になるのが新人教育マニュアルです。企業の目的に添った実践的な教育マニュアルを作成できれば教育を効率化し、新入社員の仕事への理解が早まり早く業務を覚えて事業に貢献してもらいやすくなるでしょう。

社内の基本知識やスキルが共有できる

社内で必要になる知識やスキルは、企業や職種によって異なります。最初にマニュアルでまとめておけば、新入社員に導入しやすくなることはもちろん、部署を越えて応用しやすくなります。

新人教育のNG例として、「まずは上司を真似てやってみよう」というものがあります。しかし未経験の新入社員からすると不安を抱えて業務自体に臆病になってしまうこともあります。マニュアルがあることで安心してナレッジの共有や指導が行えます。

指導側の負担が減らせる

把握しておくべき内容がまとまっていると、人事や上司の新人教育の負担が減ります。マニュアルを作成する手間はかかりますが、それ以上のメリットがあるといえるでしょう。

新人教育マニュアルの内容

それでは、新人教育マニュアルに盛り込むべき内容について説明します。一般的には、次の内容が教育マニュアルにテーマとして盛り込まれます。

基本的なビジネスマナー

新卒入社や社会人経験のない新入社員のために、基本的なビジネスマナーを教える必要があります。

いわゆる「報告」「連絡」「相談」といった上司や同僚間でのコミュニケーション方法やチームでの仕事の進め方についてなど基本を教えることも重要です。

企業理念

会社の経営方針や目指すべきことを理解してもらうため、企業理念（ミッション）やビジョンについても教育マニュアルに盛り込むことが多いです。

それを実現するために一人ひとりが社員としてどういう行動を求められているかについても説明しておくとよいでしょう。

業務の全体像

はじめから業務の細かい部分を部分的に説明しても、新入社員はなかなか理解できないことがあります。まずはマニュアルで業務の全体像を把握してもらう必要があります。

自社のビジネスモデルから各々の部署の全体に対する役割、またその部署の大まかな担当業務を理解してもらってから、それぞれの業務について説明するとわかりやすいです。

目標の設定と主体性の保持

日々の仕事で目標を設定することの重要性や、目標達成のために主体的に行動することの必要性について説明するのも重要です。

一人ひとりの夢や目標を再確認してもらい、これからどういうキャリアを歩んでいきたいのかを自己確認してもらうことが大事です。

仕事へのやる気・モチベーションの維持

業務に不慣れなうちは、思うように成果が上がらないといった、さまざまな要因でストレスをためてしまう社員もいます。

困難な状況を乗り越えて、いかに日々のモチベーションを維持していくのか教えることも重要でしょう。

新入社員が離職してしまう原因の多くは、業務へのモチベーションが維持できなくなることだといわれています。一人ひとりが自分の向かっている方向をしっかり捉え、日々成長を感じながら働ける習慣や考え方もマニュアルに入れるとよいでしょう。

ITスキル

いまやどんな仕事でもIT技術の利用が一般的になっています。

スタートの時点ですべての新入社員に基本的なITスキルを身に着けておいてもらう必要があるでしょう。

特に近年はスマートフォンの普及によりパソコンの操作に不慣れな人もいます。パソコンはだれでも使えるものだと思わずに、基本操作から不明点はないか確認しておくとよいでしょう。

新人教育マニュアルの作り方

ここで新人教育マニュアルの作成手順について簡単に説明しておきましょう。主に次の流れで教育マニュアルを作成していきます。

目標を設定する

まず、新人育成の目的や目標を明確にすることが必要です。

企業ビジョンとの整合性や向こう数年間の経営目標から逆算し、それを実現するためにどういう教育プログラムが必要となるかという視点からマニュアルを構成します。

マニュアル対象者（新人）のスキル整理

新入社員に必要となる業務の概要を洗い出します。そして現在の新人のスキルを把握し、身に着けてもらいたい知識やスキルについて具体的に整理していきます。

特に論理的思考力や段取り、ITリテラシー、セルフマネジメント（自己管理）についてなど、具体的な要素をピックアップし、どういうカリキュラムにするかを考えましょう。

カリキュラムを作成する

これまでの育成目標と対象者の現状を踏まえて、実際にカリキュラムを作成していきます。

特に身に着けてもらいたい知識やスキルのうち、もっとも重要視するものから優先的に教育できるカリキュラムにすることがポイントです。また、マニュアルは図表やイラストでわかりやすいフォーマットにすると理解が深まりやすくなります。

実施後のフィードバック

実際に立案したカリキュラムを実行し、至らない部分や改善すべき点について、研修担当やそれを統括する上司からフィードバックを受けて修正をしていきます。

研修を受けた新入社員からのフィードバックを受けることも重要であり、そのための手段もきちんと確立しておきましょう。

新人教育マニュアル作成のポイント

最後に、新人教育マニュアルを作成する際のポイントについて解説しておきます。

だれにでも理解できる内容にする

マニュアル全体の流れを意識しながら、一つひとつをだれにでも理解できる内容にしておく必要があります。

迂遠な言い回しや曖昧な表現を避け、簡易な文章でだれが読んでもわかりやすい内容にすることを意識しましょう。重要な箇所を強調したりポイントをまとめたりすると、さらに理解されやすくなります。

目的や流れを意識する

全体的な流れを意識しながら、目的に添った構成にする必要があります。

全体を大きなカテゴリと小さなカテゴリに分け、それぞれ「まとめ」を設けてポイントを説明していくような構成にすると、全体の内容が俯瞰できるようになります。

座学とOJTを使い分ける

マニュアル作成時にあらかじめどの程度まで座学形式の研修にして、どこからOJTにするのかを明確にしておきましょう。

概説的な内容は座学で、より実践的で細かい部分はOJTで直接学ぶプロセスは理解されやすいといえます。

OJTについて詳しく知りたい方は次の記事もご覧ください。

定期的にアップデートする

マニュアルの内容は定期的にアップデートする必要があります。
作成手順の項でも説明したように、実際にマニュアルを利用した新入社員からのフィードバックは貴重な情報となります。

彼らの意見に耳を傾けながら、常によりよいものにアップデートするようにしましょう。コストの点から同じマニュアルを使い回す場合でも、年に1度は構成を見直すようにしてください。

マニュアル作成サービスの選び方

マニュアル作成をスムーズに進めたい方は、マニュアル作成サービスの導入も検討してみましょう。テンプレートに解説文や写真を挿入していくだけで、わかりやすく見栄えのよいマニュアルができあがります。

マニュアル作成サービスの選び方について解説します。

無料か有料か

最近は無料でも十分な機能を備えたマニュアル作成サービスが利用できます。さほどマニュアル作成の頻度が高くなければ、無料サービスから試してみるとよいでしょう。

業種に合ったテンプレートが揃っているか

サービスによっては、テンプレートを公開しているので、自社のマニュアルに適切なテンプレートが揃っているか確認しましょう。作業方法や対応方法を解説する場合、写真や動画を活用したテンプレートが豊富かは重要なポイントです。

出力方法

Excelやパワーポイントなど、日常的に使っているソフトに出力できるか確認しましょう。作成したマニュアルは多くの人が目を通すことになるので、なるべく多くのソフトに対応している方がよいでしょう。

新人教育マニュアル作成を効率化できるサービス

それでは、新人教育に使えるマニュアルを効率よく作成できるサービスを紹介します。サービスをまとめて比較したい方は「まとめて請求」をご利用ください。

• 動画の分割、説明文の要約などに対応するAIを搭載
• 画像や動画ベースのマニュアルの作成、共有、管理が可能
• 閲覧状況のデータ化や閲覧のタスク化で「伝わる」

Teachme Bizは、画像および動画ベースでマニュアルを作成、共有が可能なクラウド型のマニュアル作成ツールです。AIでマニュアル作成を簡単にする「Teachme AI」機能では、AIがマニュアルの原案を生成するだけでなく、作業を撮影した動画を手順ごとに分割するなど、作成にかかる時間を大幅に削減します。

オンラインであればパソコンでなくてもWeb環境さえあればマニュアルを共有可能です。マニュアルごとのレビュー数やコメント数を自動で集計したり、マニュアルをタスクとして配信したりすることで、マニュアルの有効な運用にまでフォーカスします。

• 誰でも簡単に動画作成できる操作性
• 自動翻訳機能で外国人スタッフへの教育にも
• 紙のマニュアルからクラウドへ

tebikiは、スマートフォンで撮影した動画で簡単に見本となるマニュアルを作成、共有できる“現場向け”動画マニュアル作成システムです。音声認識で字幕を自動生成したり、○×矢印などの図形を追加したり、わかりやすいマニュアル動画が簡単に作成できます。

100か国語以上^※の言語に自動翻訳でき、外国人スタッフへも手間なく教育可能。またクラウド型サービスのため、場所を問わず端末でマニュアルを利用できます。閲覧管理やアクセス分析機能といった管理機能も充実しています。製造業の現場である工場や、スーパーや飲食店などあらゆる業界で活用されています。

※出典：Tebiki「かんたん動画マニュアル作成ソフト tebiki（テビキ） | 作り方のポイントがすぐわかるクラウド作業標準書ツールで社内新人研修を効率化」（2024年6月24日閲覧）

• パソコンやタブレットからタイムリーに情報共有
• 動画やPDFなどさまざまなマニュアルでわかりやすい
• 人材教育やナレッジ共有をスムーズに

ココミテは、オンライン上でマニュアルの作成や閲覧、管理ができるクラウドサービスです。基本レイアウトに沿って入力するだけで、わかりやすいマニュアルを簡単に作成できます。

マルチデバイスに対応し、時間や場所にとらわれずにマニュアルの作成や管理、閲覧、印刷が可能です。画像や動画、PDF、Wordなど、さまざまなタイプのマニュアルを作成・更新できるので、内容をわかりやすく伝えられ、情報共有をスムーズに行えます。

オンラインマニュアルでさまざまな方のノウハウを蓄積し、リアルタイムにマニュアル化。従業員は常に新しい情報を閲覧でき、業務効率化や生産性向上につながります。

• いつでもどこでも動画で学習可能
• 同一基準の評価でスキルを平準化
• 分析機能で現場のトレーニング状況を可視化

shouin＋は、動画を主としたマニュアルによって新人スタッフの業務習得を効率化し、即戦力化をサポートするクラウドサービスです。個人のスマートフォンでいつでも繰り返し動画を見てトレーニングできるので、新人の戦力化を加速できます。

チェックリストを使って全従業員を同じ基準で評価することで、スキルの平準化やエンゲージメントの上昇も見込めます。また、さまざまなデータを分析して現場の人材育成の課題を可視化でき、コンテンツの改善サイクルを回すことでトレーニング効率の向上が可能です。

• 社内ナレッジを一元管理できる
• 高機能エディタやテンプレートで簡単にドキュメント作成
• マニュアル作成や社内FAQ、取引先情報などの用途に対応

NotePM（ノートピーエム）は、社内マニュアルや業務ノウハウ、議事録など、さまざまな社内ナレッジの一元管理できるナレッジ共有ツールです。わかりやすい高機能エディタにより、ITツールに慣れていない人でもWeb上にドキュメントを簡単に作成できます。

テンプレート機能もあるので、一度フォーマットを作成しておけば都度作成する手間と時間を省けます。ファイルの中まで検索できる全文検索や、スマートフォンやタブレットでも操作でき、ほしい情報をスムーズに見つけられます。また、ページ作成や更新に伴う「タイムライン」がホーム画面に表示されるほか、お知らせ通知や閲覧履歴の管理もでき、必要な情報を見逃しません。

• 研修やノウハウの共有として活用可能
• 簡単にスキルチェックを実施、管理者の負担を削減
• 月額1ID198円、1名から利用可能

ひかりクラウドスマートスタディは、研修や社内の情報配信に使えるeラーニングシステムです。すでにある資料をそのままアップロードして共有可能。研修教材や社内マニュアルとしても活用できるので、全社で研修内容やノウハウの統一化を図れます。

管理者は、研修の受講状況や情報の確認履歴を把握し、進捗や受講者のレベルに応じたフォロー対応が可能です。研修内容に合わせたスキルチェック用の問題作成も簡単にでき、問題の正誤判定も自動で行います。

• 作成・更新がしやすく最新情報をいつでも共有可能
• 変更履歴を残し新旧マニュアルを比較
• チェックリストの設定で作業の進捗を可視化

KnowledgeSh@reは、本格的なマニュアルを簡単に作成し、共有できるサービスです。編集画面に文字や動画を挿入するだけでマニュアルが完成するため、作成者による品質のばらつきを防ぎます。

マニュアル利用者が現場での気づきや質問などのコメントをメモとして記録し共有することで、マニュアルの改善を図ります。利用者は疑問点を検索で調べて自律的な学習を進められるため、教育担当者の負担を軽減しながら、人材の早期育成を実現します。

• タブレットで手軽にスタッフ教育を実現
• 本社や店舗間のコミュニケーション活性化も
• 良質なノウハウや情報を共有し“底上げ”

ABILI Clipは、多店舗展開しているサービス企業向けの、動画を活用した技術習得支援プラットフォームです。新人教育といった従業員育成のマニュアルを動画化し蓄積。担当者不在でもセルフトレーニングを行えるので、育成にかかる時間やコストの削減につながります。

好成績をあげる店舗や従業員のノウハウ共有にも活用可能。オペレーション改善が見込め、売り上げ向上を目指せます。大手ファストフード企業をはじめとする飲食業のほか、医療、介護、小売、美容、金融業界への導入実績も持つサービスです。介護職やリハビリのなどの現場でも導入実績があります。

• 簡単操作でマニュアル作成の工数削減
• 3段階の多言語翻訳・マルチデバイスに対応
• 業務マニュアル以外も幅広く対応

i-Shareは、専門知識なしで簡単に本格的なマニュアル作成ができるソフトです。

業務マニュアル、取扱説明書の作成歴30年以上のクイックスがノウハウを凝縮したUIは、簡単操作で工数をかけずにマニュアル作成を可能にします。3段階の多言語翻訳やマルチデバイスにも対応しているので、マニュアルの共有・管理もスムーズに行えます。業務マニュアルだけでなく、ISO文書といった社内規定、情報に階層のある文章、エンドユーザー向けの取扱説明書など幅広く対応しています。

• 知識やスキルがなくても習得可
• 豊富なテンプレートできれい＆統一
• 導入後のサポートが充実

Dojo（ドージョー）は、優れた自動作成機能をもつ革新的マニュアル＆コンテンツ作成ツールです。eラーニングをはじめ幅広く活用でき、だれでも使える手軽さで高品質な紙媒体やデジタルのマニュアルが作成できます。用意されたテンプレートや動画は豊富で、個々でプリントスクリーンの大きさやコメントが異なるといった問題を解消します。ユーザーサポートサイトとコールセンターによりユーザーの疑問に対応可能です。

• これまで数時間かかったマニュアルの作成を1時間程度に短縮できる
• オフィス系ソフトのようなわかりやすいインターフェース
• Excelやパワーポイントなどの操作をそのまま動画として出力できる

iTutorは、マニュアル作成を劇的に効率化させるツールです。これまで数時間かかっていたマニュアルの作成をわずか1時間程度に短縮できますます。

また、ワードやExcel、パワーポイントといったマニュアルとして示すことの多いアプリケーションの一連の操作を動画として簡単に出力が可能です。操作マニュアルの作成にはうってつけのソフトといえます。

• Wordのような編集画面で、誰でもマニュアルを作成できる
• マウス操作で動画や画像を埋め込める
• コンテンツの配置や段落を手軽に整理できる

WikiWorksは、Wordのような編集画面のWeb上のプラットフォームから、誰でもマニュアルを作成できるマニュアル作成・公開プラットフォームです。

マニュアルには、マウス操作で動画や画像を埋め込めるので、テキストでは伝えづらい内容も、わかりやすく伝えられるマニュアルを作成できます。コンテンツの配置や段落もマウス操作で手軽に変更できるので、常に情報の整理された見やすいマニュアルの作成が可能です。

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その他のマニュアル作成が可能なサービスについては次の記事で解説してます。ぜひご覧ください。

実践的な新人教育マニュアルを作成しよう

新人教育マニュアルについて、企業の一般的な教育マニュアルの目的と具体的な内容について説明してきました。

マニュアルの作成には、どうしてもそれなりの時間がかかってしまうものです。
ですが、一度基本となるマニュアルを作成しておけば、それをブラッシュアップしていくだけで何年も使えます。研修内容に抜けや漏れがないようにするためにも、研修担当者や人事担当者は、ぜひ新人教育マニュアルを作成しておきましょう。

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