テレワーク導入に緊急助成金 - 厚労省100万、東京都は250万、新型コロナ対策で
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テレワークにはツール導入が必須
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症(COVID-19)の広まりを抑える対策として、学校の休業やイベント開催の自粛などが呼びかけられた。企業に対しても、テレワークや時差通勤が推奨されている。これを受け、オフィスへの出勤を至上命令と考える職場のなかにも、在宅勤務やリモートワークの検討を始めたところがあるだろう。
3月から4月にかけては、入社式や新人教育といった会合の機会が増えるものの、状況によっては見送ることになりそうだ。また、就職や転職、転勤、転属などで生活が変わって移動する人も増えるため、対面で打ち合わせるタイミングを確保しにくい。そのような場面ではテレワークとテレビ会議を活用したい。
ところが、本格的なサービスやツールの導入にはコストがかかってしまう。ある程度の試行期間を経た後であれば予算確保はしやすいが、今回のような緊急対応だと難しいだろう。
厚労省、最大100万円を支給する緊急助成金を創設
厚生労働省は、COVID-19関連の緊急助成金「時間外労働等改善助成金(テレワークコース)」を創設した。COVID-19対策に取り組む中小企業を支援するため「時間外労働等改善助成金」(2020年4月1日以降は「働き方改革推進支援助成金」に名称変更予定)に期間限定で設けられる、新たな特例コースである。
このコースでは、COVID-19対策としてテレワークを新規導入する中小企業に対し、必要な資金を最大100万円まで助成する。完全な新規導入に限定されず、試験導入中でも対象になる。
助成対象の取り組み、期間
助成対象の取り組みには、テレワーク用通信機器の導入や運用、就業規則と労使協定などの作成と変更、労務管理担当者に対する研修、労働者に対する研修、外部専門家によるコンサルティングなどが含まれる。4月28日には助成対象の見直しが行われ、PCやルーターなどにかかるレンタル・リースの費用も対象となった。
2020年2月17日から5月31日に実施されるテレワーク向けの取り組みだけが対象となる。申請書の提出締切は5月29日、支給申請は7月15日。
対象事業者
なお、ここでの中小企業とは労働者災害補償保険の適用中小企業で、具体的には業種ごとに定義されている。
資本または出資額 | 常時雇用する労働者 | |
---|---|---|
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
東京都の助成金はPC購入費も対象、上限250万円
東京都も「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」を出す。テレワーク環境を整備する都内の中小企業に対し、必要な機器やソフトウェアなどの経費を支援するという。
助成対象
厚労省の助成金と異なり、PCやタブレットの購入費も対象に含まれているうえ、上限額が250万円と高い。機器設置や保守業務の費用、リース料、クラウドサービスなどの料金も対象となり、使い勝手が良さそうだ。
ただし、助成対象は「支給決定通知日以降、令和2年6月30日までに完了する取組」となる。厚労省とは異なり実施時期をさかのぼっての申請ができないため、注意が必要だ。
申請の受付期間は、2020年5月12日まで。対象企業は、常時雇用する労働者が2名以上999名以下で、都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業など。
テレワークに必要なツールは?
テレワーク導入コストの負担を助成金で軽減するとしても、未経験だとどこから手を付ければ良いのかすら分からない。その場合は、日本テレワーク協会や厚労省の公開している情報が役立つ。
テレワーク用5種のツール
テレワークを実施するにあたって使うツールについては、厚労省の「テレワーク用ツール」が分かりやすい。必要なツールを(1)リモートアクセスツール、(2)コミュニケーションツール(Web会議システム)、(3)労務管理システム、(4)ペーパーレス化ツール、(5)安全なモバイルテレワークツールに分類し、それぞれの概要を解説している。
この分類にしたがって、ボクシルSaaS掲載サービスを記載した。
(1)リモートアクセスツール
(2)コミュニケーションツール(Web会議システム)
(3)労務管理システム
(4)ペーパーレス化ツール
(5)安全なモバイルテレワークツール
ビジネスチャット LINC biz(株式会社AIoTクラウド)
Web面接システム インタビューメーカー(株式会社スタジアム)
マニュアル作成ツール アニー(株式会社関通)
オンラインストレージ DirectCloud(株式会社ダイレクトクラウド)
厚生省のサイトは効果、導入事例を網羅
厚労省の「テレワーク総合ポータルサイト」に一通り目を通そう。導入の効果、導入事例、関連イベントといった情報が整理されていて、基本的な知識を得るのによい。何か悩み事があるのなら、厚労省の委託事業である「テレワーク相談センター」に問い合わせられる。
また、BCP(事業継続計画)を前面に出しているが、日本テレワーク協会の「BCP対策としてのテレワーク」には多くの具体的な導入事例が紹介されていて、参考になるだろう。
サービスを無償提供する取り組みも
働き方改革の面からも、現在の日本ではテレワークや在宅勤務に対する関心が高まっている。しかも、COVID-19対策の必要な期間が長引くと、テレワークに対する必要性も高くなり、導入を迫られる企業が増えるだろう。そうなれば、テレワークを対象とする新たな助成制度が追加されるかもしれない。
そうした情報を得るなら、日本テレワーク協会の「テレワークに関する助成、補助」ページが有用だ。テレワークに限らず、経済産業省のIT導入補助金といった制度も紹介されているので、まめにチェックしよう。
SaaSベンダー各社はサービス無償提供などCOVID-19対策支援施策を展開している。より具体的な情報は、日本テレワーク協会のサイトにも随時掲載される。
※2020年3月13日編集部追記:東京都の助成金について、助成対象事業の実施時期を追記しました
※2020年3月19日編集部追記:緊急テレワーク導入を支援しているサービスについて、情報を追記しました
※2020年3月25日編集部追記:緊急テレワーク導入を支援しているサービスについて、情報を追記しました
※2020年5月11日編集部追記:厚生労働省の助成金について、助成対象の見直しに対応した内容へ更新しました