地方自治体が導入すべき人事評価システムとは?おすすめ6サービスを比較
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地方自治体向けの人事評価システムは必要?
2016年の地方公務員法の改正によって、地方公共団体への人事評価制度導入が義務付けられました。結果、多くの地方自治体は人事評価制度、システムの導入を実施していますが、評価方法は実はさまざまです。
2020年に人事評価サービスを提供するあしたのチームが地方自治体職員向けに行った調査によると、自治体職員の72.0%は勤務先の人事評価制度に満足しておらず、次のような不満があがっています。
「評価と報酬の関連性が持てていない」
「人事評価の尺度が定められていない」
「評価者の好き嫌いによって評価されてしまう」
地方自治体に人事評価制度の導入が義務付けられてから数年経過していますが、人事評価システムも2016年と比較しても進化を遂げているので、いま一度人事評価システムを見直し職員の人事評価制度への納得感を高めることを目指した方が良いかもしれません。
地方自治体が人事評価システムを導入するメリット
地方自治体が人事評価システムを導入するメリットは次の3つです。もちろん、導入済みのシステムにもこのような効果はあると考えられるかもしれませんが、技術の進化によって毎年のようにバージョンアップが繰り返され、便利なシステムが誕生しています。
人事評価に関するコストを削減できる
人事評価システムを活用すれば、紙の評価シートで人事評価をするのと比較して人事評価に関わるコストを削減できます。
総務省の調査で、2020年の時点では市区町村による人事評価結果を昇給、昇進などに活用している自治体は6割程度(※)にとどまっています。人事評価に関わるコストを削減し、スピーディーに結果を反映することや、他の人事管理システムと連携させることによって、コスト削減をしながら無理なく人事評価の結果を組織の人材配置最適化に活用可能です。
出典:総務省「地方公共団体における人事評価結果の活用状況等調査結果の概要」
デジタルデータとして情報の管理、編集が容易になる
デジタルデータとして情報の管理、編集が容易になるのも人事評価システム導入のメリットです。Excelにて管理する自治体も多いと考えられますが、Excelでは複雑な要素は扱えないので評価管理に限界があります。
そして、近年はデータを用いてAIが退職率を予測したり、人材の配置を提案したりするシステムも提供されはじめてきています。データ化されていることにより、さらなる活用と人事戦略の効率化が期待できるでしょう。
職員のモチベーションアップが図れる
人事評価の目的は、正しく職員の働きを評価して適正な待遇・職位を見定めることにありますが、職員のモチベーションアップも重要な効果です。
冒頭の調査結果にもあったように、地方自治体は人事評価制度に対する職員の納得感が低いので、評価制度を理由にしたモチベーションダウンが発生している可能性も考えられます。
近年の人事系のシステムの中には人事評価をサポートするのではなく評価のブレを補正したり、職員ごとのモチベーションを推測してくれたりする機能が搭載されているシステムもあります。
自治体の人事評価システムの選び方
自治体で人事評価システムの導入を検討する際、どのようにして情報を集め、何を基準に選ぶべきか迷う方がいるかもしれません。多くの選択肢があっても、それぞれの重要な特徴を理解するのは難しい場合があります。
このような状況を解消するために、自治体向け人事評価システムの選び方や比較するポイントを解説します。
- LGWANやISMAPの取得状況の確認
- セキュリティ面の確認
- 機能と法律への対応
- 操作のしやすさ
- 導入スケジュールへの対応
- 操作のしやすさ
- コストとカスタマイズ費用
LGWANやISMAPの取得状況の確認
自治体向け人事評価システムを選ぶ際、LGWANやISMAPといった政府が定めるセキュリティ基準を満たしているかを確認することが重要です。これにより、行政としての信頼性を保証できます。
セキュリティ面の確認
LGWANやISMAPに準拠しているかどうかに加え、システムが強固なセキュリティ対策を備えているかも重要な判断基準です。とくに自治体では、情報漏えいのリスクが非常に大きく、住民の信頼を損ねる原因になります。第三者機関によるセキュリティ審査の合格状況や、他の公共機関での導入実績も確認しましょう。
機能と法律への対応
候補の人事評価システムが自治体に適した機能を有しているか、法律に準拠し、法改正への対応ができているかをチェックしましょう。自治体ごとの運用イメージに合わせた機能や効率化の程度を検討することも大切です。
操作のしやすさ
直感的で簡単な操作性のある人事評価システムを選ぶことが望ましいです。複雑なシステムは限られたユーザーしか使いこなせず、導入しても十分活用されない可能性があります。
導入スケジュールへの対応
自治体では予算や運用開始時期が決まっていることが多いため、導入スケジュールに合わせたサポートが提供されるかを確認することが重要です。
コストとカスタマイズ費用
予算内で抑えることが求められる自治体では、導入コストやカスタマイズ費用を検討する必要があります。クラウド型は初期費用が低い一方で、カスタマイズが必要な場合にはオンプレミス型が適していますが、その場合はコストが高くなることを留意しましょう。
サポートの範囲
とくに初めて人事評価システムを導入する自治体では、サポートの範囲が重要です。構築から運用までのサポート範囲、サポートの無料・有料区分、サポートサイトの充実度などの確認をおすすめします。
地方自治体における人事評価システム導入の4つのポイント
地方自治体でも民間企業でも人事評価システムを導入する際に気を付けるべきなのは次の4つのポイントです。
- 目指すべき人事評価制度を明確にする
- 人事評価制度のために必要な機能を明確にする
- 導入前後で大幅な評価変更が行われていないかを確認する
- システムの運用方法について事前に想定する
人事評価システムを導入しただけでは恩恵を得られないので、きちんと評価が行われ、それが職員の昇給や昇進に活用できる仕組みづくりが必要です。
目指すべき人事評価制度を明確にする
人事評価システムはそもそも人事評価制度がないと導入できません。よって人事評価制度の目的やルールを明確にすることが最低限必要です。
既存の人事評価制度が存在する場合はそれを適用してもよいですし、存在しない、あっても形骸化している場合は一から人事制度を設計しなおすのもいいでしょう。地方自治体に人事評価制度の導入が義務付けられてからさまざまな事例が蓄積していると考えられるので、こういった事例をヒントにして人事評価制度を見直してください。
人事評価制度のために必要な機能を明確にする
人事評価制度には目標設定・管理機能や手続きのワークフロー機能だけではなく、MBO機能、360度評価機能などが、評価の手法に合わせてさまざまな機能が用意されています。
システム選定のためには機能を明確にする必要がありますし、逆にいろいろな人事評価システムのカタログや資料を見て次世代の人事評価制度の構想が固まることもあると考えられます。人事評価システムの各製品に搭載されている機能を吟味してください。
人事評価システムの機能については、こちらの記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
導入前後で大幅な評価変更が行われていないかを確認する
人事評価システムの導入前後で職員に対する大幅な評価変更が発生し、給与・昇進などの待遇が著しく変化してしまう場合は、職員からの反発やモチベーションダウンが発生してしまうかもしれません。
こういった事態を防ぐために、評価システム導入前後の評価の変化について事前にテストが必要です。大幅な評価変更が発生する職員がいる場合は、何年か移行期間を設けて徐々に新体制に移行するといった、ソフトランディングするための対策を考えなければなりません。
システムの運用方法について事前に想定する
システムの運用方法についても事前に想定するのが必要です。人事評価システムは、きちんと社内で評価面談が実施され、その情報が共有されてこそ効果を発揮します。
よって、システムの運用が現場レベルまで浸透していないと人事評価のPDCAは回らないことが考えられます。
導入の準備段階で、実際のオペレーションを想定したマニュアルの作成や研修などを行って現場に根付くように準備してください。もちろん、選定したシステムによっては各種研修をサポートしてくれることもあります。
トライアルやデモがあるサービスについてはこちらの記事で紹介しています。事前に使用感をチェックし、実運用に適用できるサービスなのか選定しましょう。
地方自治体向けおすすめ人事評価システム
地方自治体でも民間が使用している人事評価システムを活用できますし、自治体に特化して提供している人事評価システムも存在します。代表的なサービスを6種類紹介します。
- 政府機関・地方自治体向けの専用プランあり
- 人事評価だけではなくタレントマネジメントも可能
- 人材情報を一元化、見える化できる
カオナビは人事評価、タレントマネジメントを組み合わせたシステムで、人事情報を一元化できます。人事評価業務を効率化できるだけではなく、人材配置のシミュレーションやモチベーション分析も可能です。地方自治体への導入実績はまだほとんどありませんが、2020年にはじめて魚沼市が導入しました。そして、2021年より「カオナビ Government Cloud」といった政府・地方自治体に特化したプランも用意しています。
- 豊富な公的機関の実績
- 制度改定や運用変更にも柔軟に対応できる
- わかりやすい画面デザインで操作しやすい
One人事は、公務員の人事評価マニュアルに完全準拠した人事評価システムです。職員の能力を高め高い業績をあげるため、目標の設定や進捗管理、被評価者・評価者間のやり取りから実績の評価、集計や調整などの事務処理まで各プロセスをシステム化しています。個人の目標をそれぞれのデータやスキル、所属している組織と紐づけて管理でき、進捗や過去の履歴を細かく確認可能です。各種分析機能が充実しており、人材の傾向を把握したうえで育成計画や採用計画を立てられます。評価の可視化により、全職員が納得しやすい制度の運用を実現できるだけでなく、人事制度運用に関する事務処理を軽減できるシステムです。
ススムくん - 株式会社ケー・デー・シー
- 公務員向けの人事評価システム
- 人事部門の業務負担を大幅に削減
- 公正な人材評価と効果的な人材育成を実現
ススムくんは公務員向けの人事評価システムです。導入することにより人事部門の業務負担を大幅に削減し、公正な人材評価と効果的な人材育成を実現する効果があります。関連システムとして、「ススムくん評語管理」、「ススムくん多面評価」があります。
ADWORLD 人事評価システム - 株式会社日立システムズ
- 自治体向けのADWORLDシリーズの人事評価システム
- 自治体特有の運用ルールにも対応可能
- 目標設定から結果活用までトータル支援
ADWORLD 人事評価システムは、さまざまな自治体向けのシステムを開発・提供している日立システムズのADWORLDシリーズの人事評価に特化システムです。ADWORLD 人事給与システムといった、他のシステムとも連携可能です。自治体向けシステム開発に定評があり、自治体特有の運用ルールも踏まえたうえで、目標設定から結果の活用まで人事評価業務をトータルサポートしてくれます。
TopicsNEO人事評価システム - 株式会社ケーケーシー情報システム
- 一般職員から人事担当者まで、全職員が利用可能
- 2014年地方公務員法および地方独立行政法人法の一部を改正する法律に対応
- 制度構築からシステム導入まで包括支援
全国の地方公共団体に特化した人事評価システムで50人~3,000人規模の団体での導入実績があります。ただシステムを導入するだけではなく、自治体の人事評価制度に関する知識豊富なコンサルタントが制度設計からシステム導入、現場に根付くまでの運用サポートを一貫して行ってくれます。同社が提供している人事給与システムなどもあるので、これらと組み合わせることによってさらなる人事業務の効率化の推進が可能です。
SALT/ES 人事評価システム
- 他のSALT/ESシリーズと連携して人事・給与情報を一貫管理可能
- 人事評価業務のペーパーレス化が可能
- 総務省人事評価制度に準拠したシステム
SALT/ES 人事評価システムは、総務省人事評価制度に準拠しています。京都電子計算が提供している自治体向けのシステム「SALT/ES」シリーズの人事評価のためのツールで、SALT/ESシリーズの給与計算や基本システムなどと連益させることによって自治体の人事給与情報を統合的に管理できます。紙の人事評価業務に対応したC/S版の他にペーパーレスが可能なWeb版があり、自治体のオペレーションに合わせて選べます。
その他、どの業種・業態や規模にもおすすめな人事評価システムについては、こちらの記事で紹介しています。
地方自治体も人事評価で職員のモチベーションアップを図る時代に
地方公務員法の改正により地方自治体にも人事評価制度が導入されましたが、結果を待遇とうに活用できていない自治体もありますし、活用していても職員からの納得度が高い評価制度システムだけではありません。
HRTechの発達により人事めぐるIT技術は急速に進化しており、それにしたがって人事評価システムにもさまざまな機能が搭載されています。人事評価システムの導入・入れ替えを検討している自治体は、ぜひさまざまなシステムをチェックしておくと良いでしょう。
注目の人事評価システム、サービス資料まとめ
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