AIを活用した人事評価システム7選!人事に及ぼす影響は?

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- 人事業務へのHR Techの活用
- AIによる人事業務へのメリット
- モチベーションを可視化できる
- 客観的なデータから公正な評価を実現できる
- ハイパフォーマンス社員の共通点を分析できる
- AIを活用した人事評価システム7選
- あしたのクラウドHR
- Qasee
- POSITIVE
- NEC HR Tech クラウド
- SUZAKU
- HR君haichi
- AI人事4.0
- 人事業務におけるAIの活用事例
- IBM
- 防衛省
- 人事の仕事はAIによって将来的になくなる?
- AI活用で新たに浮かび上がる課題
- 人間にしかできない人事領域の仕事も
- AIと人間の協働が人事領域においても求められる
- AIを人事評価に上手に活用するために
- 注目の人事評価システム、サービス資料まとめ
- BOXILとは
人事業務へのHR Techの活用
人事業務にITを活用して業務を効率化し、発展させるHR Techが注目を集めています。HR Techを支える技術にはさまざまな種類がありますが、特に注目されているのがAIに関する技術です。
AIとは人工知能(Artificial Intelligence)のことを指し、人間が行ってきた知的作業を代替することが期待されています。すでに一部の人事評価システムにおいてもAIを導入したサービスがリリースされており、今後も人事業務におけるさまざまな場面で活用が進んでいくと考えられます。
AIによる人事業務へのメリット
現在予想されている、AIを人事領域へ導入した際の活用方法としては次の3つが想定できます。
- モチベーションを可視化できる
- 客観的なデータから公正な評価を実現できる
- ハイパフォーマンス社員の共通点などを分析できる
それぞれについて詳しく説明します。
モチベーションを可視化できる
スキルや業務経験は一定程度可視化できますが、それらと同じくらい重要でも測定が困難なのが従業員のモチベーションです。モチベーションの高い従業員の方が高い成果を出す可能性が高いですし、低い従業員はパフォーマンスが悪くなりがちで、最悪の場合はそのまま離職してしまう可能性もあります。
AIにモチベーションを計測・管理する技術は「Attuned」と呼ばれ、すでに研究・実用化が始まっています。
この技術が進歩すれば、いずれはモチベーションを客観的に計測してモチベーション可視化による人事施策に活かせる仕組みが構築できるかもしれません。
客観的なデータから公正な評価を実現できる
AIには人事評価のブレをなくす効果も期待されます。人間が行う人事評価の最大の欠点が、評価者によって評価基準が異なる点です。もちろん、このブレが大きくなればなるほど実際の能力や会社への貢献と制度上の評価は乖離してしまうので、会社としても正しい意思決定ができなくなります。
こうしたブレを排除するためにさまざまな手法が開発・提唱されていますが、その有力な解決策の1つがAIを活用した人事評価のブレ補正です。
AIが大量の人事評価データを分析して、評価者ごとの癖を見抜き、バイアスを計測することによって人事評価のブレを少なくする効果が期待できます。
ハイパフォーマンス社員の共通点を分析できる
ハイパフォーマーの行動特性を分析して、そういった人材になることを促すように構築された評価制度はコンピテンシー評価と呼ばれ、現在では多くの企業で導入されています。コンピテンシー評価を構築するための前提となる、ハイパフォーマーの発見・分析の工程においてもAIの活用が期待されます。
人間がさまざまな情報を見ながらハイパフィーマーの特徴を発見しようとすると、書類のチェックだけでも膨大な時間がかかりますし、判断する人間のバイアスによって分析結果が変化する可能性があります。
一方で、AIを活用したシステムの方が大量のデータを効率的に処理できますし、人間のようにバイアスがかかる心配も少なく、思わぬ行動特性を発見できる可能性があります。

AIを活用した人事評価システム7選
AIを活用した人事評価システムの開発は進んでおり、すでにいくつかのシステムではAIが搭載されています。AIが搭載された人事評価システムの紹介および、どのような機能でAIが活用されているのかについて解説します。
あしたのクラウドHR - 株式会社あしたのチーム
- 評価者モニタリング機能などにAIを搭載
- さまざまな評価制度・シートに柔軟に対応
- 評価制度構築、運用支援もサポート
あしたのクラウドHRは評価者モニタリング機能や、目標添削機能などにAIを活用した人事評価システムです。評価者モニタリング機能とは、目標設定や評価が正しく行えているのかを5つの項目から判断する機能。目標添削機能はより具体的な目標をするために、自動で添削してくれる機能です。
その他にも、1on1支援、甘辛分析、目標設定・管理機能、360度評価などさまざまな機能が搭載されておりタレントマネジメントにも対応しています。
- 人事評価に必要な指標を見える化
- AIが業務状況をレコメンド
- 5,000ユーザー以上(※)が利用
Qaseeは人事評価の前提となる各自の業務上状況を可視化、各従業員のストレスチェック、業務負荷チェック、個人レポートなどを行うツールです。AIが業務状況をレコメンドしれくれるのでシステムを通じて業務改善にも取り組めます。
個人だけではなくチームの生産性の管理にも活用でき、人事評価、生産性向上の両方の観点から役に立ちます。
POSITIVE
- グローバル・グループ経営企業の経営に役立つ人事システム
- AIが最適な人材配置を提案してくれる
- 人事情報、タレントマネジメント機能あり
POSITIVE人事は人事管理、給与管理、就業管理、タレントマネジメントの機能など搭載されている統合型の人事システムです。人事評価やタレントマネジメントのデータをもとにAIが最適な人材配置を提案してくれます。
特にグループ企業やグローバルで事業を行っている企業向けの人事システムで、会社や部署、国をまたいでの人事管理を行う際に導入を検討したいシステムの1つです。
NEC HR Tech クラウド
- 人事システムのデータを元に8種類の人事領域をAIが判断
- 社員の人事管理データを学習させるだけ
- 要望にしたがって学習モデルを作成
NEC HR Tech クラウドは、人事データベースから必要なデータを入力すると、新卒採用マッチング、適正配置、評価・報酬自動判断、研修提案・効果判断、組織最適化、リテンション支援、レコメンデーション、中途採用マッチングの8つのテーマについてAIが判断をしてくれます。
自社の要望に沿って学習モデルを作成してくれるので、自社の課題に合わせた柔軟な運用が可能です。
SUZAKU
- 組織心理学×AIが人事に関する問題を可視化
- 人事領域の4分野をAIがサポート
- 実績のあるアセスメント・サーベイを搭載
SUZAKUは、組織心理学×AIが人事関する問題を可視化することをコンセプトにした人事評価システムです。入力されたデータをもとに適材配置、育成支援、リテンションマネジメント、採用マッチングの4つのテーマに関してAIが提案してくれます。約3,000社、 10万ユーザー以上※に導入されているアセスメント・サーベイを搭載しているので、提案の精度についても一定程度は担保されていると考えられます。
※出典:エスユーエス「SUZAKU」(2022年1月28日閲覧)
HR君haichi
- AIをフル活用したクラウド型人事支援サービス
- 働き手一人ひとりの生産性向上にもフォーカス
- 直感的に使用できるインターフェース
HR君はAIをフル活用したクラウド型人事支援サービスです。AIが人材発掘・育成サポートをするHR君DIA、人材の最適配置を提案するHR君haichi、従業員一人ひとりについて健康状態や業務効率向上、エンゲージメント向上などをAIがサポートするHRパーソナルアシスタント、採用の合否予測やハイパフォーマー、退職者の予測分析などを行うHR君アナリティクスの4つの機能があります。
AIを使ったシステムですが、簡単に使用できるようにインターフェースは工夫されています。
AI人事4.0
- 成果主義人事制度導入をサポートするためのシステム
- AI×クラウドにより運用の手間を削減
- 能力のプロファイルとeラーニングコンテンツが連動
AI人事4.0は成果主義人事制度の導入・運用サポートに特化した人事評価システムです。仕事で使う能力を37の能力要素に細分化し、各要素を評価することにより簡単に自己評価・他者評価を行えます。
また、それをもとにキャリア目標を設定し、その目標との差分を可視化。必要な能力・スキルを身につけるために必要なeラーニングコンテンツも提供してくれます。
その他の人事評価システムはこちらの記事をご覧ください。

人事業務におけるAIの活用事例
人事業務のさまざまな場面ですでにAIは活用されはじめています。「IBM」「なかやま牧場」「明治安田生命」「防衛省」の4つの事例を通じて、AIはどのように人事業務に利用されはじめているのか解説します。
IBM
IBMは人工知能に関わる研究に力を入れており、IBMの人工知能「Watson」はAIの中でも最も有名なものの一つです。このIBMは、人工知能を全世界に先駆けて人事に活用した企業としても知られています。
IBMでは求職者の募集や採用、学習、報酬、キャリア管理、人事問い合わせ業務など、ほぼすべての人事業務にAIを適用して業務の効率化を図りました。人事評価においてもいくつかの領域にAIを活用しています。
たとえば、IBMではマネージャーが従業員の人事評価・報酬を決定する際にAIによるレコメンデーションを元に意思決定を行います。
AIは米国労働省労働統計局から得られる外部情報と、配置転換に要するコストなどの社内データなど、いくつものデータをもとにマネージャーが意思決定をするための資料を作成。それをもとにマネージャーが決定を行います。そして、マネージャーの決定をもとにAIはさらに人事評価の方法について学習して、よりそのマネージャーの判断に近い正確な意思決定ができるように進化していきます。
この他にも従業員の保有しているスキルを推測したり、採用の際の人事評価に活用したりとさまざまな場面でAIが活躍しています。
出典:THINK Business「AIを人事業務に活用し、『ダイヤの原石』を見つける」
防衛省
保守的だと思われがちな公官庁でもAIを活用した人事評価、異動に挑戦しようとする動きがあります。防衛庁では2020年に人工知能を活用した人事評価、異動に関するシステムを導入するために2億7000万円の予算を計上、2022年までの開発完了を目指してプロジェクトが進行しています。
AIのレコメンドをもとに最終的な判断は人間が行うことになりますが、全自衛官の6分の1にあたる約4万人の幹部自衛官が対象になるとのことです。
他国ではすでにAIを軍隊の人事に取り入れている事例があり、たとえば韓国軍では2019年からAIを活用した面接を導入することを発表、志願者の表情や音声、心拍数などのデータをもとに人材の評価に取り組んでいます。
人事の仕事はAIによって将来的になくなる?
AIの進歩や業務への活用によって危惧されるのが、人事業務の将来性です。AIは人間の脳が処理するよりも大量のデータを短期間で処理して答えを出すので、人事としての経験やノウハウが陳腐化されることが予想されます。
ただし、AIが進歩し、さまざまな意思決定に活用できるようになったとしても人事の仕事は一定程度残ると考えられます。
AI活用で新たに浮かび上がる課題
AI技術により、将来的には多くの人事業務がAIで行われる未来が予想されるとしても、少なくとも現段階ではそこまで技術は進歩していません。
たとえば、通販大手のAmazonでは人材採用に活用したAIシステムが女性差別を助長しているとして運用停止に追い込まれました。
世界に先駆けてAIによる人事評価や賃金決定を行い始めたIBMでも、日本においては人事評価の過程がブラックボックス化していることを理由に、労働組合から反発され東京都労働委員会が介入する自体となりました。
AIが人間にとって必ずしも納得性の高い評価をしてくれるとは限りませんし、判断過程を透明化しなければ被評価者からの反発も強いことが予想されます。
人間にしかできない人事領域の仕事も
「ハイパフォーマンス」「離職しそう」などの一定のテーマにしたがって人材の共通点を探したり、大量の人事データを瞬時に処理したりするのは人間よりもAIの方が得意で、今後も差は大きく開いていくと考えられます。
一方で、AIだけで人事評価を行うと評価がブラックボックス化して納得性がなくなります。
よって、人事領域においても多くの作業がAIによって効率化が進むと予想されているものの、人事に納得性を持たせるために被評価者と評価者の間を取り持ったり、必要な研修やオリエンテーションを遂行したりする必要があります。
このようにAIがどれだけ進化したとしても、人間だからこそ効果の高い人事業務も一定程度残り続けるため、人間の人事部社員は必要だと考えられています。
AIと人間の協働が人事領域においても求められる
「AIか人間か」という対立構造で今後の人事業務を考えるのではなく、AIと人間が協働して組織力の強化や人材発掘、育成に取り組むことが今後の人事業務においては必要です。
人事評価の分析、管理はAIの得意領域でハイパフォーマンス人材を発掘したり、退職しそうな人材のアラートをしたりといったことはAIが行ってくれますが、実際にハイパフォーマンス人材になるような施策をうったり、退職しそうな人材を引き留めたりするのは人間でないとできません。
AIを活用することによって得られるさまざまなメリットを駆使して、強い組織をつくることが今後の人事部には求められるでしょう。
AIを人事評価に上手に活用するために
技術の進歩により人事評価の場面においてもAIを活用しなければならない日が到来すると考えられます。すでに多くの人事評価システムでAIの活用が始まっており、ハイパフォーマンス人材の発掘や社員のモチベーションの推測、評価者ごとの評価のブレの補正など、さまざまな場面での活用が期待されます。
また、AIがさまざまな人事業務を効率化するといっても、まだまだ人間にしか対応できない人事業務も存在し続けるでしょう。人事とAIが協働して組織力強化に取り組むことで、AIを最大限に活用した人事評価が可能になるはずです。
注目の人事評価システム、サービス資料まとめ

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