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人事評価システムとは?メリット・デメリット・機能・価格を解説

最終更新日:(記事の情報は現在から381日前のものです)
人事評価システムとは企業の人事評価業務を円滑に進めるツールで、目標・進捗管理機能、MBO評価機能、360度評価機能、ワークフロー管理機能などを搭載しています。人事評価システムとは何か、メリットやデメリット、機能や価格、導入のポイントなどを踏まえながら総合的に解説します。

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人事評価システムとは

人事評価システムとは、企業が従業員の業績や能力、態度などを評価し、結果を人事管理に活用するための仕組みおよびITシステムのことを指します。単なる評価のためのツールではなく、評価データを統合的に管理し、適切な処遇や育成につなげることで、組織全体のパフォーマンス向上を支援する総合的なシステムです。

従来の人事評価システムは、評価基準の設定、目標管理、評価の実施、フィードバックなど、一連の評価プロセスをデジタル化し、効率化することが主な目的でした。しかし、近年では人事評価機能だけにとどまらず、より広範な人事業務領域をカバーするツールも登場しています。

たとえば、人事情報システムと連携し、従業員の基本情報や職歴、スキルなどのデータを一元管理することで、評価の精度向上や人材配置の最適化に役立てられます。また、タレントマネジメントシステムと呼ばれるツールでは、人事評価に加え、キャリア開発、後継者育成、エンゲージメント調査などの機能を提供し、戦略的な人材マネジメントを支援可能です。

こうした統合型の人事評価システムを活用することで、単なる評価業務の効率化だけでなく、人材データの有効活用、人材育成の最適化、エンゲージメントの向上など、多面的な人事課題の解決を図れるでしょう。

人事評価システムの機能

人事評価システムには、評価業務を効率的に行うためのさまざまな機能が搭載されています。まずは、人事評価システムの主要な機能について紹介します。

人事情報管理

人事評価システムの基本的な機能の一つが、従業員の個人情報や職務経歴、スキルなどの人事情報を一元的に管理することです。従業員のプロフィールを詳細に登録し、必要な情報へすぐアクセスできるようにすることで、評価業務を円滑に進められます。

たとえば、評価者が被評価者のこれまでの職務経験やスキルを把握することで、より的確な評価が可能になります。また、人事情報の変更履歴を追跡することで、評価の根拠を明確にできるでしょう。

目標・進捗管理

目標管理・進捗管理機能とは、設定された目標にどの程度近づいているか、どのように進行しているかチェックするための機能です。

評価を行う上司が、部署や個人ごとの目標について一覧で確認できます。従業員側は、定期的に入力することで進捗管理や振り返りにも利用できるため、蓄積した評価と照らし合わせて自身の成長にもつなげられます。

また、人事評価システムにより直接業務に関わらない人事部でも評価の状況が把握でき、データの集計・分析も容易になるので管理業務が効率化されるでしょう。

評価の実施と分析

人事評価システムの中核となるのが、評価の実施と分析の機能です。評価基準に沿って、被評価者の業績や能力、行動などを多面的に評価します。評価の方法はMBO評価や360度評価など多岐にわたりますが、代表的なものは次のとおりです。

MBO評価

MBOとは、企業理念や会社としての目標を各部門や従業員ごとの目標に反映させて、個人が目標を達成することによりボトムアップで会社としての理念や目標を達成しようとする目標管理手法のことを指します。

近年多くの企業が採用している目標管理手法のため、MBOを円滑に進めるために多くの人事評価システムがMBO評価機能を搭載しています。

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360度評価

360度評価は評価手法の一種です。評価者が1人しかいないのであれば、主観に評価が大きく影響され、不合理な評価・待遇が発生しえます。このような評価制度の弊害を防ぐために、上司だけではなく部下や同僚など複数の関係者が評価を行うのが360度評価といった制度です。

360度評価も認知され始めている概念のため、人事評価システムに搭載されていることも多く、360度評価を重視したサービスや実施支援のツールも登場しています。

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OKR

OKR(Objectives and Key Results)は、目標管理フレームワークの一種で、組織目標と個人目標を連動させ、業績向上を図る手法です。「Objectives」は達成すべき目標を指し、「Key Results」は目標達成度を測る指標のことです。

OKRでは、組織全体の目標から部署目標、個人目標へとスライドさせていきます。個人目標は、組織目標に紐づいているため、従業員一人ひとりが会社の戦略に貢献していることを実感できるでしょう。

人事評価システムには、OKRの設定や進捗管理、評価の機能が搭載されているものもあります。システムを活用することで、目標の可視化や進捗状況の共有がスムーズになり、OKRの運用効率を高められるでしょう。

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コンピテンシー

コンピテンシーとは、高業績者に共通する行動特性や能力のことを指す用語です。コンピテンシー評価では、従業員のスキルや行動を、あらかじめ定義されたコンピテンシーモデルに照らして評価します。

たとえば、「顧客志向」「問題解決力」「コミュニケーション力」などのコンピテンシーを設定し、それぞれの発揮度合いを評価します。コンピテンシー評価を導入することで、組織が求める人材像を明確にし、従業員の行動変容を促せるでしょう。

人事評価システムには、コンピテンシーモデルの作成や、コンピテンシーにもとづく評価の機能が備わっているものもあります。システム上でコンピテンシーの定義や評価基準を管理することで、評価の一貫性と公平性を確保できるでしょう。

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1on1

1on1(ワンオンワン)とは、上司と部下が定期的に行う個別面談のことを指します。目標設定や進捗確認、フィードバックなどを行うことで、部下の成長を支援し、パフォーマンスの向上を図ります。

1on1では、業務の進捗だけでなく、部下の悩みや不安、キャリアプランなども話し合うのが一般的です。これは、上司と部下の信頼関係を築き、エンゲージメントを高めることも目的だからです。

人事評価システムには、1on1の予定管理やアジェンダの作成、議事録の保存などの機能が搭載されているものもあります。システムを活用することで、1on1の実施状況を可視化し、PDCAサイクルを回しやすくなります。また、過去の1on1の記録を参照することで、部下の成長プロセスを追跡しやすくなるでしょう。

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ワークフロー管理

ワークフロー管理機能とは、人事評価の手続きがどこまで進んでいるかを可視化する機能のことを指します。

人事評価には面談や評価作成、シートの集計などさまざまなステップがあるだけでなく、従業員の数だけ手続きがあります。そのため、きちんと手続きの進捗を管理していなければ、評価に時間がかかったり、うっかり誰かの評価が漏れていたりといった事態が発生するでしょう。

このようなミスを防ぐために、ほとんどの人事評価システム・サービスはワークフロー管理機能を搭載しています。

評価シートの作成・配布・集計

人事評価システムには、評価シートの作成や配布、回収、集計などを効率化する機能が備わっています。Excelのような表計算ソフトで評価シートを作成していた企業も、システムを導入することでより簡単に評価シートを作成できるようになるでしょう。

また、評価シートの配布や回収をオンラインで行うことで、評価者と被評価者の手間を大幅に削減できます。回収した評価シートのデータは自動的に集計され、評価結果の分析にも活用できます。

人事異動シミュレーション

人事評価の結果は、人事異動や昇進・昇格の判断材料としても重要です。人事評価システムには、評価結果をもとに、適切な人事異動をシミュレーションする機能があります。

たとえば、特定の部署の業績が芳しくない場合、該当部署の評価結果を分析し、適切な人材を配置し直すことで、パフォーマンスの改善を図れるでしょう。

組織図表示

人事評価システムには、組織図をビジュアルに表示する機能も搭載されています。組織図上に評価結果を表示することで、部署ごとの業績の偏りや、優秀人材の分布状況を一目で把握できます。

また、将来の組織体制をシミュレーションし、最適な人員配置の検討も可能です。

人事評価システムでできること

人事評価システムを導入・活用することで、人事評価に関連するさまざまな業務を効率的かつ効果的に行えます。次に、人事評価システムを用いてできることについて紹介します。

評価基準の設定と管理

人事評価システムを使えば、評価基準を明確に定義し、システム上で一元管理可能です。

評価項目や尺度、ウェイト付けなどを詳細に設定し、評価者全員が同じ基準で評価を行えるようにします。また、評価基準の変更や更新も簡単に行えるため、社内の制度変更や戦略の転換にも柔軟に対応可能です。

目標設定と進捗管理

人事評価システムでは、個人の目標設定から進捗管理まで一貫して行えます。

最初に上司と部下が面談を行い、システム上で目標を設定すれば、目標の進捗状況は随時システムに記録され、上司はいつでも部下の進捗を確認してフィードバックを与えられます。これにより、PDCAサイクルを効果的に回せるようになるでしょう。

評価の実施と集計

人事評価システムを活用すれば、評価の実施から集計まで、一連の業務を効率的に行えます。

被評価者の情報や評価項目が自動的に評価シートに反映され、評価者は簡単に評価を入力できます。また、評価結果の集計や分析もシステムが自動で行うため、手作業による集計ミスや時間のロスを防げるでしょう。

多面的な評価の実現

人事評価システムを用いることで、多面的な評価を実現できます。

上司による評価だけでなく、同僚や部下、顧客からの評価を取り入れた360度評価や、コンピテンシー評価、行動評価など、さまざまな評価手法を組み合わせられます。これにより、従業員の能力や実績を多角的に捉え、より公正で納得感の高い評価につなげられるでしょう。

フィードバックと育成施策の実行

人事評価システムでは、評価結果にもとづいて、従業員へのフィードバックや育成施策の実行がスムーズに行えます。

システム上で評価結果を分析し、個々の強みと弱みを明確にしたうえで、適切なフィードバックを行い、必要な研修の受講や異動、昇進・昇格などの育成施策を実行します。評価と育成が密接に連動することで、従業員の能力開発と組織力の強化が図れるでしょう。

人事評価システムのメリット

人事評価業務は組織の人材戦略に大きな与える業務である一方、評価面談を実施したり、評価シートを配布、回収して集計したり、さまざまな人材データを管理したりと何かと手間のかかる工程が存在します。

人事評価システムを活用すると、これらの業務にかかる手間を効率化できることによって、人事業務にまつわるコストの削減、評価スピードが向上できスピーディーな人材戦略における意思決定が可能となります。

人事評価システム導入の主要なメリットをまとめると次の4つです。それぞれについて詳しく説明します。

  • 人事評価手続きを効率化できる
  • 人事情報の一元管理を実現
  • 戦略的な人材配置の実現
  • 評価の公平性と透明性の確保

人事評価手続きを効率化できる

人事評価では、評価面談の実施や書類作成をしなければなく、データを集計・分析するのにも時間がかかります。一方で、システムを導入すれば、ワークフロー機能を使えば人事評価の進行状況がひと目で把握できるようになるでしょう。また、紙の書類を回収・集計・分析する手間もありません。

こうした人事評価の手続きに関する手間を解消することによって、人事評価に必要な人件費や時間を削減、他のクリエイティブな仕事に時間を割けます。

人事情報の一元管理を実現

人事情報を一元管理できることも、人事評価システム活用のメリットです。

人事には従業員の名前や所属だけではなく資格やスキル、経歴以外にも多くの情報が含まれており、これらの情報を管理することは強い組織作りにおいて重要なテーマです。

人事評価システムの中には人事評価だけでなく人事管理機能をもったシステムもあり、人事管理システムと連携できるものもあります。こういったシステムを活用することにより人事情報を管理して、必要に合わせて素早く情報を引き出せるようになります。

戦略的な人材配置の実現

戦略的な人材配置を実現し、会社として一丸となって業績をあげられることも人事評価システムのメリットです。

評価に手間がかかりすぎて現場の従業員が丁寧な評価作業を行ってくれなかったり、適当な評価をしていたりすれば、評価されるべき人間が評価されず、組織として最適な人材配置ができなくなります。

人事評価システムを活用することにより、評価に関わる手間やデータ分析にかかる手間を削減し、評価者が評価自体に集中することで正確な評価が実現するでしょう。評価の分析結果をもとに経営陣が人材配置の意思決定を下せば、組織の最適化も可能となります。

評価の公平性と透明性の確保

人事評価システムを導入することで、評価基準や評価プロセスが標準化され、すべての従業員に対して公平で透明性の高い評価を行えるようになる点も、人事評価システムのメリットといえるでしょう。

システム上で評価基準を明確に定義し、評価者全員が同じ基準で評価を行うことで、評価の偏りや不公平感を防げます。また、評価結果についても従業員に開示することで、評価の透明性を高め、納得感のある評価につなげられるでしょう。

人事評価システム導入のデメリット

人事評価システムの導入には大きなメリットがあります。しかし、同時にいくつかのデメリットがある点にも留意しておきましょう。次に、人事評価システム導入における5つの主なデメリットについて説明します。

  • 人事評価制度・手続きの見直しが必要
  • 評価シートといった帳票を直接移行できるとは限らない
  • コスト・他のシステムとの連携を考慮しなければならない
  • 従業員の抵抗感や不安への対応
  • セキュリティ面での配慮

人事評価制度・手続きの見直しが必要

人事評価システムの導入にあたっては、既存の人事評価制度や手続きの見直しを同時に行う必要があります。これは、人事評価システムが既存の評価制度に対応していないケースもあるためです。よって、システムと人事評価制度が適合するかの事前チェック、人事制度の見直しなどが必要です。

もっとも、これは人事制度を見直す良い機会にもなります。とくにテレワークやジョブ型雇用のように人事制度に関する新しいトレンドが発生している昨今においては、既存の人事評価制度が老朽化しており、従業員の働きを正しく評価できない、魅力的な人材を採用できないといったトラブルも発生しがちです。

人事評価システムの見直し、入れ替えをきっかけに人事評価制度のありかた自体を見直すことによって、より良い体制に移行できるかもしれません。

【関連記事】テレワークに活用できる人事評価システムは?

既存の評価シートを直接移行できるとは限らない

既存の評価シートのフォーマットを直接システムに移行できるとは限らないのも、人事評価システムを導入するデメリットの一つです。もちろん、人事評価システムの大半は導入時にヒアリングをし、シートや運用のカスタマイズを提案してくれるので、大きな心配は不要です。

ただし、複雑な人事評価制度や評価手法を採用している場合、完全に同じものはできない可能性も考えておく必要があります。

また、評価シートのデータを移行できるのかといった問題もあります。データの蓄積が一度途切れてしまうと、評価の推移が途中で検証できなくなる可能性もあるでしょう。

コストや他システムとの連携を考慮しなければならない

システム自体の機能や使いやすさとは別に、コストや他のシステムとの連携も重要な要素です。人事評価システムは導入費用、運用費用ともに一定以上のコストが必要になるので、小規模事業者の場合はコストパフォーマンスが悪いと感じるかもしれません。

また、人事評価機能だけをもつシステム単体で使用することは想定しがたく、人事管理やタレントマネジメントシステムといった他のシステムと連携して使用するのが一般です。このときにシステム間の連携ができていないと、人の手を介す必要があるので入力ミスや人件費が発生することも想定されます。

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従業員の抵抗感や不安への対応

人事評価システムの導入に際して、従業員の中には新しいシステムへの抵抗感や不安を抱く人がいるかもしれません。とくに、これまで紙ベースで行われてきた評価プロセスがシステム上で行われるようになることで、評価の方法や基準が変わるのではないかといった懸念をもつ従業員もいるでしょう。

こうした従業員の抵抗感や不安に適切に対応することも、人事評価システムの導入においては重要です。たとえば、システム導入の目的や期待される効果について十分に説明を行ったり、システムの使い方についての研修を実施したりすることで、従業員の理解と協力を得ることが必要です。また、従業員からの質問や懸念に真摯に耳を傾け、適切にフォローすることも大切でしょう。

セキュリティ面での配慮

人事評価システムには、従業員の個人情報や評価情報など、機密性の高いデータが含まれます。そのため、システムのセキュリティ面での配慮も欠かせません。

たとえば、アクセス権限の設定や、データの暗号化、定期的なバックアップなど、適切なセキュリティ対策を講じることが重要です。また、システムを利用する従業員に対しても、情報セキュリティに関する教育を行い、機密情報の取り扱いについて注意喚起することが必要でしょう。

セキュリティ面での問題が発生した場合、従業員の信頼を失うだけでなく、法的な問題に発展する可能性もあります。人事評価システムの導入においては、セキュリティ対策にも十分な注意を払う必要があります。

人事評価システムの導入事例

多くの企業が人事評価システムを導入していますが、「ベアーズ」「トリドールホールディングス」「生活クラブ」の3社の事例から人事評価システムを導入することの意義について考察します。

アースサポート株式会社

一般・産業廃棄物の収集運搬処理やリサイクル事業を行うアースサポート株式会社は、コロナ禍でスタートしたテレワークにおける人事評価を課題としていました。

システム導入により目標が個人評価シートに落とし込まれたことで、個人がやらなくてはならないことが見える化。作業の効率化はもちろん、残業時間の削減にもつながりました。

導入前は人事評価データをExcelで管理していたとのことですが、システム導入後データ管理や分析をクラウドで閲覧できるように。人事評価の工数削減ができ、管理者側の負担も減らせたようです。

出典:あしたのチーム「テレワークで抱えた評価の課題解決に貢献! | あしたのチーム事例サイト | あしたのチーム事例サイト」(2024年3月13日閲覧)

生活クラブ

高齢者向け社会福祉事業、保育事業、障害児支援事業などを行っている生活クラブでは職員1,700人の人事評価を円滑にミスなく実施するために人事評価ナビゲーターと呼ばれるシステムを導入しました。

同システムはパソコンに慣れていない職員でも使いやすいシステムで、遠隔で本部と職員が一緒の画面を見ながら操作できる機能が盛り込まれており、現場へ浸透しやすかったとのことです。

同システムが浸透した結果、シートの郵送だけで数日かかっていた作業がほぼリアルタイムで完了するようになり、紙の作業も減って人事評価業務が効率化できました。

人事評価システムによる最大のメリットを最大限享受できるのは、やはり人事評価システムを導入する意義として大きなものがあるでしょう。

出典:日本経営「簡単な操作で導入もスムーズ。 業務スピードが向上しました。 | 業界トップの低価格人事評価システム|株式会社日本経営」(2024年3月13日参照)

人事評価システムの選び方

人事評価システム導入のポイントは次の6つです。人事評価は組織作りの根幹となりえる業務なので、導入前の丁寧な準備が重要です。

  • 導入目的・時期を明確にする
  • 導入形態を選ぶ
  • 人事評価制度も合わせて見直しを行う
  • 評価プロセス・運用ルールを決めておく
  • 評価結果の活用方法について決定する
  • 従業員に使い方を周知する

導入目的・時期を明確にする

人事評価システムを導入する際は、まず導入の目的と時期を明確にしましょう。現行の評価制度の問題点を洗い出し、改善するために必要な機能を整理することが重要です。

たとえば、現在の評価制度では評価基準が曖昧で、評価者によってばらつきが生じているといった課題があるとします。この場合、評価基準の明確化や評価者教育の機能が必要だといえます。また、紙ベースでの評価業務に時間がかかりすぎているといった問題があれば、評価プロセスの自動化や電子化が求められるでしょう。

このように、導入目的を明確にすることで、数多くのシステムの中から最適なものを選定する基準ができ、スムーズなシステム選定が可能になります。

また、人事評価制度の改定は全社に影響を及ぼす重要な変更です。したがって、プロジェクトの計画を立て、いつから変更を開始し、いつまでに従業員に告知するのかといったスケジュールも明確にしておく必要があります。

十分な準備期間を設けることで、従業員の理解を得やすくなり、円滑なシステム導入につながりるでしょう。

導入形態を選ぶ

人事評価システムの導入形態には、オンプレミス型とクラウド型の2種類があります。オンプレミス型は、自社のサーバーにシステムを設置し、自社で管理・運用するタイプです。一方、クラウド型は、インターネット経由でシステムを利用するタイプで、サーバーの管理・運用はベンダーが行います。

それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、適した導入形態を選ぶ必要があります。たとえば、セキュリティ面での要件が高い場合はオンプレミス型を、コスト削減や速やかな導入を重視する場合はクラウド型を選択するなど、状況に合わせた判断が求められるでしょう。

人事評価制度も合わせて見直しを行う

人事評価システムを刷新する際は、人事評価制度自体の見直しも行うべきです。変則的な人事評価制度だとシステム上で再現できない可能性があったり、近年のリモートワークが求められる労働環境においては、既存の人事評価制度では対応できなくなったりしていることも多いです。

人事評価制度も合わせて見直して、人事評価制度とシステムのバランスについて見直し会社組織の在り方について検討した方が、より効果的なシステムの導入が可能になるでしょう。

評価プロセス・運用ルールを決めておく

良いコンセプトの人事評価制度と、それを実現できるシステムであったとしても、評価プロセス・運用ルールが不明確であると、うまく制度が機能しない可能性もあります。

評価制度の見直し、システムの選定、導入準備と並行してどのような評価プロセスや運用ルールにするのかについては時間をかけて考えておいた方が、スムーズに人事評価制度を現場に導入できるでしょう。

評価結果の活用方法について決定する

せっかくの評価制度でも従業員に調査結果が還元されないのであれば、ほとんど意味はありません。そのため、評価結果を何に活用するのかについては明確にする必要があります。

人事評価の結果が従業員に与える大きな影響としては、昇給や昇進があります。しかしそれだけではなく、評価の結果および理由、改善すべき点についてもきちんと各従業員にフィードバックしましょう。

評価結果をどのように分析、活用して組織や個々の能力改善に取り組むのか、一定の方針を考えることが大切です。

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従業員に使い方を周知する

人事評価は、従業員にとって本業とは別の業務であるため、評価者によっては負担に感じるかもしれません。とくに新しいシステムを導入する際は、慣れないことからつい億劫になり、評価がおろそかになる可能性があります。

このような事態を防ぐためには、新システムや評価制度に関する従業員への周知徹底が不可欠です。まず、具体的なシステムの使い方について、研修を実施し、マニュアルを作成して配布するといった対策が考えられます。操作方法に加えて、評価基準や評価プロセスについても説明し、評価者が適切に評価を行えるようにサポートすることも大切です。

また、なぜこの評価制度が必要なのか、評価者が人事評価に取り組むことにどのような意義があるのかについても、しっかりと説明する必要があります。人事評価が組織の成長や個人の能力開発につながることを理解してもらい、評価者のモチベーションを高めることが大切です。

人事評価の歴史

人事評価の考えは突然誕生したわけでなく、組織が団結し成果をあげるための制度として長年悪戦苦闘してきた成果です。

また、人事評価システムも人事評価業務をサポートするためのツールとして、さまざまな改良が日々行われています。最後に、人事評価制度の歴史から現在の人事評価システムが抱える問題点まで、人事評価にまつわるトピックを総ざらいして紹介します。

バブル崩壊まで:評価制度の見直しの必要性

日本において人事評価といった概念にとくに注目が集まり始めたのはバブル崩壊以降です。日本では戦後、多くの企業が終身雇用、年功序列の人事制度を構築しており、従業員一人ひとりの働きを明確に評価しなければならないといった考え方は多くありませんでした。

しかし、バブル崩壊以降、日本経済の右肩上がりの成長神話は終わりを告げ、社員の出した成果に応じて昇給、昇進をすべきだといった成果主義の考え方が徐々に海外から輸入されてきます。こうした背景から、あらためて成果をどのように評価すべきなのかといった問題が発生するようになりました。

ただし、純粋に成果だけで評価をしようとすると、従業員各自が自身の成果のみに固執して部下を育成しない、結果として年功序列のときより組織力が弱くなるといった事態も発生していました。

2000年代以降:アメリカの人事評価を輸入

加えて、2000年代以降は少子高齢化により優秀な人材を確保することも難しくなってきたので、日本企業では人材をどのように評価すべきかといった問題が深刻化します。

日本企業の多くはアメリカ企業の人事評価制度を参考にしつつ、自社の制度をブラッシュアップすることによってこの局面を乗り切ろうとしました。

たとえば、現在でもよく人事評価制度において採用されている「コンピテンシー評価」「MBO制度」「360度評価」のような概念は、この時期にアメリカから輸入されてきた制度で、今でも多くの企業が採用しています。

2010年代:IT技術の進歩と人事評価システム導入

2000年代にアメリカの人事制度の輸入と同時に、多くの日本企業が人事評価のシステム化を実行しました。

人事評価の概念だけならばセミナーへの参加や書籍を読めば理解できますが、実際に会社に導入しようとすると、システム化した方が現場に浸透しやすく、人事担当者の業務負荷も削減できます。

また、2010年代には通信技術の進歩によって、今まで各社がサーバーを保有してシステムを管理していたのが、クラウドによるサーバー不要のシステム導入が可能となりました。結果として、人事評価システムを導入するコストや手間は以前と比べると格段に低くなり、現在では、中小企業を含めて多くの企業に浸透しつつあります。

人事評価システムの今後と課題

中小企業を含めて多くの企業に浸透しつつある人事評価システムですが、近年はさらなる進化を遂げようとしています。

以前からテレワークを推進する風潮はあったものの、コロナウイルス騒動以降、在宅勤務を奨励する風潮が急速に高まってきました。そこで、クラウド型の人事評価システムに期待される役割がますます重要になっています。

また、人事評価システムだけに限らず、HRとテクノロジーを組み合わせたHRTechと呼ばれる技術が無数に開発されており、世界の人事業務システムは進化を続けています。

人事評価システムについても、AIが人間の下した人事評価のブレを補正したり、従業員の最適な人材配置や離職の兆候を人間に提示してくれたりするなど、今後さらなる進化が期待されるでしょう。

人事評価システムで人事評価業務を効率的に正確に

人事評価システムとは、企業が行う人事評価業務をサポートするツールであり、人事評価制度の発展とともに進化するシステムです。

現代のシステムにおいては目標・進捗管理機能、MBO評価機能、360度評価機能、ワークフロー管理機能などを搭載していますが、今後HRTechの進化とともにさらに便利なシステムが出現することも考えられます。

人事評価システムの導入を検討している場合は、人事評価制度自体の改善も並行して考えられると、より効果的な人事評価が可能になるでしょう。

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