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アセスメントとは | 業界ごとの意味の違い・使用例

最終更新日:(記事の情報は現在から1616日前のものです)
アセスメントには、対象を評価・査定するという意味がありますが、人材マネジメントで使用される場合と看護で使用される場合では意味合いが異なってきます。ここでは業界によって違いのあるアセスメントとはどのようなものか、解説していきます。

アセスメントとは

日本では、1980年代中頃から様々な場面で「アセスメント」という言葉が使われるようになりましたが、業界によってそれぞれ意味合いに若干の違いが見られます。

では「アセスメント」という言葉には、本来どのような意味があるのでしょうか。
また、業界による使われ方の違いはどこにあるのでしょうか。

「アセスメント」の意味とは

アセスメント(assessment)という英語には、課税、査定、査定額、税額、そのための評価、判断などの意味があります。

つまり、税額を客観的に評価するという言葉本来の意味があり、日本ではそこから転じて、人物や環境などの対象物や事象を客観的に評価したり査定したりする、という「評価・査定」の意味で使用されることがほとんどです。

このため、評価する対象と組み合わせ、後述する「環境アセスメント」「製品アセスメント」などの熟語で使われることが多い、といえるでしょう。

人材マネジメントとしての「アセスメント」

たとえば、組織や企業において人材を適材適所で配置・登用し、育成を行うにあたって、客観的な人材評価を行うことを「人材アセスメント(Human Assassment)」といいますが、単純な人事評価・査定とは違った意味合いで使われています。

定量的な判断が加味される人事評価・査定とは異なり、客観的に設定された判断基準を満たしているかを判断するのが人材アセスメントであり、そのための評価手法である「アセスメント・ツール」が用意されている場合もあります。

アセスメント・ツールは下記の記事で紹介しています。本記事と合わせて閲覧ください。

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看護の情報収集としての「アセスメント」

これに対し、ソーシャル・ワークという看護の現場では、対象となるクライアントの情報を収集して問題を把握することを「看護アセスメント」といいますが、この場合は客観的情報の他に主観的情報を組み合わせた評価が行われます。

これは看護の対象となるクライアントを評価するにあたり、体温や血圧・脈拍など、定量化できる客観的情報の他に、クライアントが主観的に感じている苦痛や不安など、定量化できない主観的情報が必要になるためです。

「アセスメント」の具体的な使用例

「アセスメント」という言葉は、人材アセスメントや看護アセスメントの他にも、さまざまな使われ方がされています。その具体的な使用例をいくつかご紹介します。

環境アセスメント

世界的な環境破壊や資源枯渇が懸念される現代では、人間が健康的に生活のできる豊かな環境・自然を守るため、開発事業などの内容を事前に予測・評価し、環境に与える影響を最小限にとどめる代替え案などを検討する必要があり、これを「環境アセスメント」といいます。

羽田空港D滑走路建設時、滑走路の一部を桟橋構造とすることによって、多摩川河口部からの流れを極力変えないよう配慮したという例があり、単にアセスメントと呼ばれる場合は、環境アセスメントを指している場合が多いようです。

製品アセスメント

環境アセスメント同様、環境保全や資源保護の観点から、製品の有用性や利便性と同時に、製品廃棄時の処理の容易さや資源再利用を事前評価する「製品アセスメント」があります。

これは、1989年にクリーン・ジャパン・センターが開催した研究会による記述「製品アセスメントおよび再資源化技術に関する調査研究」を元にしており、狭義には、製品の処理・処分が容易になるようにするもの、再資源化が容易になるようにするものとなり、広義には、資源保全、地球環境保全に配慮したものとされています。

リスクアセスメント

施設や食品などが人間の健康に影響を与える危険度や安全度、労働環境における潜在的な危険度や有害度を事前に評価して除去、もしくは低減する手法を「リスクアセスメント」といいます。

労働安全衛生マネジメントシステムでは「危険性または有害性等の調査に関する指針」が明記されており、2006年に努力義務化されています。

これは、従来対処療法が中心であった職場でのリスクマネジメントを、的確な対策を事前に講じておくことによって、より高い安全性を確保することを目的としています。

テクノロジーアセスメント

1970年代に注目されつつも衰退し、近年再び注目されているものに、科学技術、すなわちテクノロジーが自然環境や社会に与える影響を事前に予測・評価する「テクノロジーアセスメント」があります。

テクノロジーアセスメント衰退にはさまざまな理由が考えられます。

近年、再度注目されている理由には、ヨーロッパにおける欧州議会テクノロジーアセスメントの設立があったこと、遺伝子組み換え技術やナノテクノロジーなど、安全性や倫理面での懸念を持つテクノロジーが発達し、改めて技術面での事前予測・評価が必要となってきたことが挙げられるでしょう。

アセスメントの意味にとらわれない正確な解釈を

日本において「アセスメント」という言葉が使用される場合、「評価・査定」の意味合いが色濃く、これまでご紹介してきた使用例を見ても、基本的には予測・評価・査定などの意味を持っているのが分かります。

しかし、それぞれの内容を見ると微妙なニュアンスの違いがあることも分かり、場面によっては認識の違いが生じてしまうことも考えられます。

アセスメントという言葉に限りませんが、私たちは耳慣れない言葉を前後の文脈で曖昧に解釈してしまうことも多く、その解釈の違いがディスコミュニケーションの原因となる場合があります。

特にビジネスの現場では、微妙な認識の違いが大きな結果の違いにつながることも考えられ、正確に言葉を解釈していくことが必須だといえるでしょう。

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