リクルート「働き方改革」取り組みを経て、グーグルの「個別最適化」マネジメントから学んだこと

公開日:

記事公開時点での情報です。

リクルートで働き方変革プロジェクトに携わったのち、生き方・働き方を再定義するために家族で世界旅行へ出かけている佐藤邦彦氏。リクルート時代から模索してきた日本の「働き方改革」が陥りがちな落とし穴の正体を、海外で得た体験を踏まえて語っていただきました。

グーグルのマネジメントは従業員を「支援」している

アイルランドの首都ダブリンにあるグーグル欧州本社。ここでは80を超える国籍の人たちがともに仕事をしている。文化、宗教、食習慣、すべてが多様性に満ちた世界。その全員に適切な環境を用意するため、同ビル内にはバラエティに富んだ5つもの社食が用意される。

ジム、病院、プール、瞑想ルームといった設備に加え、銀行、保険、住居など、あらゆる生活環境を会社が支援している。働くこと以外のすべてのことはグーグルに任せて」というのがコンセプトだ。

従業員という個人をグーグルという法人が支援する関係にあるのだ。逆に言えば、法人が個人を目的達成のための手段として行使する関係にはないということだ。

近隣にはフェイスブック、Airbnbなどがオフィスを構えており、人材獲得戦線は熾烈を極める。この従業員を「支援」するというスタンスは、世界から優秀な人材を採用し事業成長するための戦略のひとつなのだ。

グーグルの優秀なマネージャーは「個別最適化」のマネジメントを実践

同社の人事マネージャーに「優秀なマネージャーはどのようにマネジメントをしているのか?」と聞く。すると「管理はしない」という言葉が返ってきた。

どこで、誰が、何をしていても自由。メンバーが能力を発揮できるように「支援」できるマネージャーが優秀だという。

あるマネージャーの取り組み例を紹介しよう。

ドイツ人のメンバーの彼女は少し神経質。毎日必ずチャットで業務進捗を確認し、彼女の疑問を解消してあげる。子供の幼稚園の送り迎えにはタイムロスが生じる。当人の心情面も、マネージャーから話をふることで相互理解に努め、業務の肩代わりをサポートする。

イタリア人のメンバーの彼は細かく確認されるのを嫌う。だからアウトプットをしてもらう期限を決めて、あとは見守る。一方で彼から相談をもらったらすばやく、ていねいなフォローを徹底する。

またインド人のメンバーの彼は、熱心だが説明が長い。まとまっていない話は頭ごなしに結論を求めず、頭の中の整理を一緒にする。結果、部門を超えた協働がベストだとなれば、マネージャーがその人員アサインを助ける。

このように、公私に問わずメンバーの状況や個性をマネージャーは理解する。そのうえで、ひとりひとりのメンバーに合うコミュニケーション、解決策を実行し、成果創出へと導く。いわば「個別最適化」のマネジメントが実践されているのだ。

会社は、従業員が仕事にコミットしやすい環境を提供する。そしてマネージャーが「個別最適化」のマネジメントを実践する。

これこそ、働き方改革成功の秘訣だ。グーグル欧州本社への訪問をきっかけに、リクルート時代から模索してきた課題へ一筋の光がさした気がした。

では「全体最適」「一律」のマネジメントから、どのようにして進化できるのだろうか?次回の記事では、日本と欧州のメンタリティの違いと、マネジメント進化に向けた提言を記載する。