芝麻信用(ジーマ信用・セサミクレジット)は信用プラットフォームに
アリペイは芝麻信用(ジーマ信用)によりアリペイ決済のリピート利用をより強固なものとした。ユーザーはアリペイで商品の決済、アリペイ提携企業のサービスをルールに則り使用、それらの行動は信用スコアに反映される。そして、ユーザーは信用スコアに応じた特典を享受する。
信用スコアの高い良質なユーザーが多く集まってくればさらに多くの企業が特典をユーザーに提供する。
芝麻信用(ジーマ信用)は利用者が増加すればするほど、利用者の便益が高まるネットワーク外部性が働く信用を軸にしたプラットフォームなのである。
芝麻信用(ジーマ信用)とアリペイは相互扶助の関係を保ちともに成長を遂げながら信用プラットフォームを構築しているのである。
日本でも信用スコアは普及するか
日本においても、信用スコアを算出するサービスは既に複数現れている。ただ、芝麻信用(ジーマ信用)ほど他業種で活用されているものではなく融資の「与信」に活用されている段階である。
しかし、日本においても取引コストを低くする信用スコアの利用メリットは企業に好まれそうだ。たとえば先日の記事「不本意非正規296万人の救世主はブロックチェーンだ」のように非正規雇用の受発注の際に信用スコアを参照するなど。企業は信頼できる人材に仕事を発注できるし、労働者は受注の際に自分の信用度を企業に呈示できるようになるだろう。
たとえば日本最大級のクラウドソーシングサービスを運営するクラウドワークスでは2017年11月、中期経営方針として「クラウドスコア構想」を発表した。「報酬の記録」が個人の信用として、スキルやスペース、モノのシェアサービス展開や個人の資金調達の手段拡大などを目指すという。ソフトバンクもJスコアを活用した信用プラットフォームの構築を狙う。
ただし、信用スコアは公平性を毀損する弊害も存在することを忘れてはならない。日本ではなく米国の例だが、2007年、米国ワシントン州では公平性が毀損されることを危惧して就職面接に信用スコアを参照することを禁じる制度を導入している。
個人情報保護の観点でも懸念の声はあとをたたない。日本での信用スコア導入は、中国のように一般社会に普及するというよりも、やや限定的なものになるかもしれないが、信用スコアが普及すれば「大学生サークルによる居酒屋のドタキャン事件」のような悲劇は起きなくなるだろう。
「人々の承認欲求と競争心」をうまくくすぐるプラットフォームやコミュニティを形成できるか、が現代ビジネスの鍵を握っているのではないだろうか。