転職や副業で、中途採用は増加
「働き方改革」進められている中、働き方も大きく変わろうとしている。働き方の選択肢は広がり、自分の能力をきちんと評価してくれる企業へ転職する人も少ないない。求職者は自分が求める職場なのかを判断し、企業側は求める人材なのかを見極めなくてはならない。
そこで中小企業の人事担当者に行われたアンケ―トに注目したい。ONEは関東圏内の中小企業人事担当者を対象に、2018年1月18日~ 2018年5月11日に対して調査を実施した。有効回答は107サンプルだった。
以下で詳しく解説する。
企業側が面接でもっとも重視するのは「人柄」
出典:プレスリリース
中途採用において、求職者はこれまでの経験やスキルが重視されると思いがちである。しかし今回の調査では、企業側が特に重視するポイントは「人柄」が30%、続いて「志望動機」が約20%、「転職・退職理由」が約15%となった。一方で、「経験・スキル」の回答は全体の約10%という結果となった。
不採用理由でも「経験・スキル不足」の回答は第3位となり全体の14%だった。書類選考を通過している段階で、経験・スキルの部分はある程度理解があるうえでの面接のため、直接会う面接という場では、内面的な要素を重点的に見ている傾向があると同社は分析している。
面接時のプラス印象は挨拶と話し方
面接時のプラス印象の回答では「挨拶・態度」「話し方・受け答え」に触れる回答が全体の60%を占めた。
その他プラス印象では「HPに記載されているブログの隅々まで確認してくれていた」といった回答や、「自社の商品を使ってくれていた」「自社ブランドを面接で着てくれていた」といった回答もあり、企業のファンであることはアピールポイントとして有効なことがわかったという。
面接時のマイナス印象は態度と身だしなみ
一方、マイナス印象の回答では「態度・マナーが悪い」に触れる回答が全体の44%を占めた。またプラス印象ではあまり目立たなかった「身だしなみ・服装」について触れる回答が全体の17%となり、「態度・マナーが悪い」に次ぐ結果となった。
その他マイナス印象では、「前職の悪口・不満ばかりいう」「履歴書をシワクチャの状態で渡された」「目が泳いでいる・そらす」などプラス印象の回答よりも、回答種類のバリエーションが多いことが特徴的だったという。
「給与・待遇面」の質問はタブー?の実態
求職者からの逆質問で、企業にとって印象が良いと感じるのは「会社・仕事内容についての質問」という回答が80%となった。
具体的な業務内容、社風についての質問、企業名の由来、一緒に働くチームの人のことなど、向上心があるというプラスの印象付けができるようだ。
一方で、印象が悪いと感じる質問は「給与・条件など待遇を聞く」が全体の半分となる50%を占めた。そして、「給与面の交渉をしてきた」「残業・有給・育休についてしつこく聞いてくる」「入社1年後の昇給額を聞かれた」といった回答が相次ぐ結果になった。
その他「社員旅行はいかないといけないのか?」「パワハラ・セクハラがあった際の対応はどうしてるか?」と聞かれ、対応に困ったという回答もあったという。
採用する企業に求められる変革
この調査でもっとも気になる点は、いまだにクローズされている中小企業側の採用スタンスだ。求職者にとって、給与や待遇、働く環境などについての質問は、非常に重要であることは当然のことである。それを印象が悪いと受け止めること自体が、時代錯誤ではないか。
調査対象である中小企業は、いま採用難が深刻であるといわれている。大企業に比べて充実した福利厚生を実施しにくく、給与水準も低くなってしまうため、人材獲得競争に勝てないと人事担当者は思い込んでいるのだ。
だからこそ、そうした弱点をつかれる質問は、タブーなものになってしまうのかもしれない。
しかし、企業人事担当者はよく考えてみてほしい。自社のありのままの状況を開示し、それでも入社したいと思ってくれる人材でなければ、採用したのちにまた離職してしまう可能性も高まるだろう。また、希望の待遇を提示できないとしても、その人が望むことは本当に給与・待遇だけとは限らない。
自社が求職者に何をメリットとして与えられるのか。自社の持っているものを棚卸するとともに、視点を広げた採用活動が必要になるだろう。
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