日本IBM訴訟でスルガ銀行が学ぶべきだったこと
ユーザーとベンダーは、次のような関係性がある。
ベンダー側はユーザー側に適切なタイミングで指示を出す義務がある
(さらに、必要に応じて、予備知識を教えたり、技術的な情報を開示したりする)ユーザー側はそれに応える
発注者の立場なのに、プロジェクトが始まったらユーザー側担当者にタスクが詰まってしまい、ボトルネックになってしまうなんて話も珍しくない。
なかなかプロジェクトがうまく進捗せず、停滞してしまう。そんなとき、ユーザー側担当者はベンダー側のPMに責任をもってあれもこれもやってもらいたいと、つい考えてしまうものである。
たしかに、ユーザーはプロジェクト管理費用を支払い、その役務提供を受ける立場なのだから、感情としては自然なものだ。
しかし、こと情報システム開発においては、お客さまは神様的発想は禁物である。
お金を出す側がへりくだるというのは妙に感じるかもしれないが、時代劇でよく雇い主が用心棒に「先生」なんてへりくだることがある。関係性としては、こちらの方が近い。
C=「いくらで」、D=「いつまでに」を指定するその行為自体には、なんの専門性も要らない。
しかし、Q=「何をどう作るか」は、システム一つひとつがオーダーメイドの世界であり、まさしく高い専門性が必要とされる。
費用と納期がこれに紐付かないと、結局のところ、時間を空費してしまう。その開発を「目的地と進め方が決まらない漂流型プロジェクト」にしてしまうのか、または、予定どおりの納品を実現するのか。
実はこの鍵を握っているのは、ユーザー側の姿勢なのである。
自らが「協力義務」を果たすために、「プロジェクトマネジメント義務」をしっかりとベンダーに遂行してもらう。こうしたスタンスが、未来の事故を防ぐ。