世界最大規模の広告代理店「WPP」の調査・コンサルティング業務を担うカンター・グループは、今年で13年目となる世界のブランド価値ランキング2018年度版「BrandZ™ Top 100 Most Valuable Global Brands Ranking 」を公開した。
では、なぜこの調査が毎年ブランド担当者の注目の的になるのか。
同レポートにおけるブランド価値の算出は、消費者調査に基づいて測定されたブランド資産と、企業の財務実績・業績分析を組み合わせており、業績と株価の向上にブランドがもたらす価値が明らかになる唯一の調査だからだ。
毎年300万人以上にもなる世界中の消費者アンケートでは、彼らが実際に買い物をしているカテゴリーについて評価をしてもらうことで、ユーザーの実体験に則した評価がデータに反映されているという。
そして、データベースには、消費財(FMCG)、耐久消費財、サービス、店舗、企業ブランドなど、400以上の多岐にわたるカテゴリーにおいて、12万以上のブランドの結果が含まれている。
Alibaba、トップ10に初ランクイン 2018年は市場全体の成長率が過去最高に
ランキングには、Google、Apple、Amazon、Facebookに加え、中国のEコマース企業であるAlibaba(アリババ)が初めてトップ10にランクインした。
そして、今年はブランド全体の総資産価値が過去最大の成長幅で、前年比21%増を記録している。
どのブランドも、ブランド構築に向けた大胆な戦略とビジネスの長期的な見通しが成長につながったという。
また、今回の大幅な成長によりトップ100にランクインしたブランドの総保有価値総額は4.4兆ドル、日本円にして約483兆円(記事公開時点)となっている。
中国ブランド、前年比47%増 94%増加企業も
今年は、米国ブランドが前年比成長率において中国ブランドに抜かれるという結果に。
2006年に行われた第1回の同ランキングでは、TOP100にランクインした中国ブランドはわずか1ブランドだったのにもかかわらず、今年は中国から14ものブランドがランクイン。
地域別上位10ブランドの価値総額ランキングでは中国の成長率が前年比47%増となり、米国ブランドの前年比23%増と比べると2倍以上の成長を見せた。
今年、最も高い成長率を誇り、急成長を遂げた中国ブランドは、チャットアプリ「WeChat」を運営し、中国のEC市場をけん引するJD.comが59位で、ファイナンスなどの新しいカテゴリーへの参入によってブランド価値が94%も上昇した。
続いて、Alibabaは、世界的なリーチの広がりと「シングルズ・デー」の特売日による成功などで前年比 92%増の成長を遂げた。
アジアランキング上位10ブランドのうち8ブランドが中国と、市場全体での成長が明らかだ。
世界で最も価値のある日本ブランドはトヨタ
日本のブランドでは自動車カテゴリーのトヨタ、ホンダと、通信カテゴリーでNTTの合計3社がランキングに入ったが、いずれも前年から順位を落とす結果となった。
初回調査からトヨタは常に日本のトップブランドとしてランクインしている。今年の「アジアのブランドランキング上位10ブランド」を見ると、トヨタは7位であった。
トップ10の半数がテクノロジーに関連 AIやARが成長のカギに
トップ10のうち、半数はテクノロジー関連企業、またはテクノロジーをベースとしたサービスを提供している。
このカテゴリーは、引き続き1位と2位であるGoogleとAppleが支えており、それぞれ前年比23%増の3,021億ドル、28%増の3,060億ドルの成長を続けている。
また、ランキングトップ100全体で見ると、さらにテクノロジーの貢献は顕著で、デジタルコンテンツ関連のサービスが大きく貢献しているとのこと。
大きくランキングを上げた61位のNetflixはセットトップボックス(STB)サービスにより、73%増の成長率を見せた。
その他には6位Facebookのストーリー、AppleのiTunes、Alibabaのアリババ・ピクチャーズなども成長している。
また、従来のマーケティング手法と人工知能(AI)や拡張現実(AR)などを組み合わせることにより、多くのブランドが顧客の理解を深め、パーソナライズされたコンテンツと優れたブランド体験を提供できるようになったようだ。
(出典:カンタージャパン)