上場で注目「Sonos(ソノス)」とは、市場でアマゾンとグーグルに迫るスマートスピーカー

オーディオ機器メーカー「Sonos(ソノス)」のIPO申請が話題になった。「Sonos One」というスマートスピーカーが人気を博し、米国でアマゾン、グーグル、アップルに次ぐシェア4位に名前の挙がる注目企業だ。同社の人気の秘密に迫ろう。

上場で注目「Sonos(ソノス)」とは、市場でアマゾンとグーグルに迫るスマートスピーカー

スマートスピーカー市場で頭角を現すソノス

聞き慣れない名前の会社であるが、Sonos(ソノス)という米国のオーディオ機器メーカーによる新規株式公開(IPO)申請のニュースが流れた。日本では、一般メディアによる報道は見当たらない。しかし、このIPOはIT系メディアで注目されている。

なぜならソノスは、近い将来に家庭向け情報機器の中心的存在へ成長するであろうスマートスピーカーの市場で、頭角を現し始めている企業だからだ。

スマートスピーカーといえば、よく耳目に触れるのは、アマゾンの「Amazon Echo(アマゾン・エコー)」やグーグルの「Google Home(グーグル・ホーム)」、アップルの「HomePod」、LINEの「Clova WAVE」といったところ。確かに、ソノス製スマートスピーカーの世界シェアは小さく、米国市場でやっと名前が挙がりだしたに過ぎない。しかし、高い可能性が期待されている。

同社のNASDAQ市場上場は、今夏の見通し。そのころには、当たり前のようにソノスという社名がニュースになるかもしれない。そこで、どのような企業なのかや注目ポイントなどを、今のうちに予習しておこう。あわせて、スマートスピーカー市場の現状も復習する。

ソノスがすごい3つの理由

(1)音楽の楽しみ方を一変させた

ソノスは、2002年創業の、カリフォルニア州サンタバーバラに拠点を置くオーディオ機器メーカー。オーディオ機器といっても、手がけているのはCDやレコードのプレーヤーとアンプ、スピーカーをケーブルで接続するような旧来の製品などでない。PC内に保存されていたり、インターネットでストリーミング配信されたりする音楽を、家庭のすべての部屋に流せるワイヤレス対応オーディオ・システムを販売している。

2002年当時、オーディオ機器の設置は大仕事だった(多くの家庭では、今も状況は変わっていない)。アンプや大きなスピーカーの置き場所を確保し、電源や音声用のケーブルを棚の後ろに通し、背面の見えないジャックに正しく接続しなければならない。ほかの部屋にも同じ音楽を流そうとすると、壁にドリルで穴を開けてケーブルを通す必要がある。しかも、半年もしたらオーディオ機器の裏側はほこりだらけだ。

このような問題は、ソノスのスマート・ホーム・サウンド・システムで過去のものになった。家庭内メッシュ・ネットを構築して、配線の手間なく家中で音楽が聴ける。しかも、スポティファイ(Spotify)、アップル・ミュージック(Apple Music)、アマゾン・ミュージック(Amazon Music)、グーグル・プレイ・ミュージック(Google Play Music)など、80種類以上ものストリーミング音楽サービスが利用できる。

こうしてソノスは、家庭での音楽の楽しみ方を一変させた。

出典:Sonos / How it started

(2)スマートスピーカーでも存在感

そんな注目企業のソノスが、2017年10月にスマートスピーカー「ソノス・ワン(Sonos One)」を発売した。アマゾン・アレクサ(Amazon Alexa)に対応する「音楽ファン向けのスマートスピーカー」としており、アマゾン製スマートスピーカーとソノス製オーディオシステムを融合させたような製品である。

音声で選曲や再生コントロールができるし、家中のソノス製スピーカーとも連動する。もちろん、一般的なスマートスピーカーと同じような使い方も可能。音楽好きならば、スマートスピーカー購入時の最有力候補になるだろう。

出典:Sonos / Sonos One

さらに、間もなくアマゾン・アレクサのホームシアター用スピーカー「ソノス・ビーム(Sonos Beam)」が発売される。映画好きの心もつかむことになりそうだ。

出典:Sonos / Sonos Beam

(3)複数アシスタントに対応?

販売されるスマートスピーカーの種類が増え、多種多様な製品を見かけるようになったが、すべてに共通する特徴がある。現時点で世に出回っているスマートスピーカーは、対応している音声アシスタントが1種類だけなのだ。

現在メジャーな音声アシスタントは、アマゾン系(アマゾン・アレクサ)、グーグル系(グーグル・アシスタント)、アップル系(Siri)の3種類。それぞれが勢力拡大を図っているため、自社製品をほかの音声アシスタントに対応させることはない。3社はサードパーティも囲い込もうとするため、3社以外から出される製品でもどれか1つを選ぶことになる。

ところが驚いたことに、ソノスのスマートスピーカーは、現在のアマゾン・アレクサに加えグーグル・アシスタントにも対応する、という計画がある。両者を同居させることなど不可能に思えるが、ソノスは保有特許を武器にしてグーグルの首を縦に振らせたらしい。

ただし、ソノスのCEOはあるインタビューでグーグル・アシスタントへの具体的な対応時期を問われ、言葉を濁していた。計画は進行中だが、越えるべきハードルはまだいくつも残っているのかもしれない。

ただし、これが実現すれば、アマゾンとグーグルによる2強時代のスマートスピーカー市場で、ソノスは他社にない強みを獲得できる。

スマートスピーカー市場の現状

最後に、スマートスピーカー市場の現状と、同市場におけるソノスの位置を復習する。

世界市場はアマゾンとグーグルの2強時代へ

Canalysの調査レポートによると、2018年第1四半期のスマートスピーカー出荷台数は900万台。シェア1位は320万台(シェア36.2%)のグーグル、2位は250万台(同27.7%)のアマゾン。

それまで同市場はアマゾンが圧倒的に強く、他社を引き離していた。それが、今回グーグルが初めてアマゾンを抜いてトップになった。グーグルは攻勢を強めており、いずれアマゾンと肩を並べるだろう。

ちなみに、出荷台数3位は、中国Eコマース大手のアリババ(Alibaba)の110万台だった。

出典:Canalys / Google beats Amazon to first place in smart speaker market

米国市場で存在感を示し始めたソノス

世界市場でソノスの姿はまだ見えないが、米国市場では存在感を示し始めた。

VoicebotとVoysisの調査によると、ソノスの米国市場シェアは2018年5月時点で3.8%あり、4位になった。大きな数字ではないが、1位アマゾン(61.9%)、2位グーグル(26.9%)、3位アップル(4.1%)に次ぐ存在と考えれば、その意味は大きい。

出典:Voicebot / U.S. Smart Speaker Market Share: Apple Debuts at 4.1%, Amazon Falls 10 Points and Google Rises

2018年末には1億台以上が使われる

Canalysは別の調査レポートで、全世界で使われるスマートスピーカーの台数は2018年末に1億台を超える、と予測した。これは、2017年末に比べ2.5倍近い規模になる。さらに、2020年には2億2,500万台まで増えるとみた。

出典:Canalys / Smart speaker installed base to hit 100 million by end of 2018

急拡大しているスマートスピーカー市場で、ソノス・ビーム発売、IPO、グーグル・アシスタント対応と楽しみが待ち受けているソノス。しばらく目が離せない状態が続きそうだ。

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