国の教育ローンと奨学金は併用できる?違いとかしこい利用法・条件・返済期間・特徴

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国の教育ローンとは、日本政策金融公庫が取り扱う公的な教育ローンだ。「金利が低い」「審査のハードル低い」など、条件がよく、奨学金との併用も可能だが、詳細はあまり知られていない。対象者や返済方法、奨学金との違いを含め、国の教育ローンについて解説していく。
国の教育ローンと奨学金は併用できる?違いとかしこい利用法・条件・返済期間・特徴

国の教育ローンとは

国の教育ローンとは「教育一般貸付」のことを指し、国民生活金融公庫や中小企業金融公庫などの政府系金融機関を統合した「日本政策金融公庫」が取り扱う、子供の教育費を使用目的とする公的な教育ローンだ。

家計における教育費の負担が大きくなるなか、注目を集めている「国の教育ローン」とは、具体的にどのようなものなのか。その概要・特徴から、奨学金との違いやその利用方法などまでを一挙に解説していく。

国の教育ローンの特徴

教育ローンには、公的である国の教育ローンのほかにも、民間金融機関が取り扱う民間教育ローンも存在する。

国の教育ローンは、中学校を卒業した子供の教育費として、幅広い学校・さまざまな用途に利用できる。基本的には1人350万円が上限だが、外国の大学などへの進学であれば450万円までの融資が受けられる。融資申し込みから入金までにかかる日数は20日程度だ。

民間教育ローンに比べて低金利で、在学中は利息のみの返済も可能なことが、国の教育ローンの大きなメリットともいえる。

一方で、「融資可能な金額が民間よりも少なめ」「審査の期間が長め」などの部分がややネックでもある。できるだけ多くの金額を融資してもらう必要があるならば、民間教育ローンも検討すべきだろう。

奨学金との違い

「子供の教育費を借り入れる」ことに関しては、教育ローンのほかに奨学金という手段もある。それでは、国の教育ローンと奨学金は何が違うのだろうか。

よく知られている、日本学生支援機構(JASSO)が展開する「貸与型奨学金」の場合を例に比較する。

対象となる借主

貸与型奨学金(以下、奨学金)の対象となるのが子供である学生本人となるのに対し、国の教育ローンでは子供ではなく保護者が対象となる。

奨学金の融資金額返済は学生本人がするのに対して、国の教育ローンは基本的に保護者が返済するという点が、大きく異なる。

返済方法と利息

まず奨学金は、在学中は利息が発生せず、卒業後に返済が開始される。

一方国の教育ローンは、借り入れの翌月から返済義務が発生する。ただし在学中は利息のみの支払いとすることも可能。

利用用途

国の教育ローンは、入学前に融資金額が一括で振り込まれるため、入学金・授業料はもちろん、受験料やそれにかかわる交通費・宿泊費、アパートの敷金・礼金・家賃、教材やPCの購入など、幅広い用途で利用可能だ。

奨学金は基本的に、月々最大12万円(大学の場合、例外をのぞく)が振り込まれる。このため、入学金や月々の授業料、毎月の生活費の補填などが利用用途となる。ただし、「入学時特別増額貸与奨学金」という入学金などに利用できる特別増額の措置もあり、国の教育ローンを利用できなかった人を対象としている。

賢い利用法

国の教育ローンは用途の自由度が魅力で、費用のかさむ受験時など、入学以前から利用できるのも大きなメリットだろう。これは国の教育ローンが、ニーズに応じた最適なタイミングで申請可能なことによる。

また、国の教育ローンは奨学金との併用も可能なので、融資方法や利息の違いをうまく利用するといいだろう。たとえば、金額が大きくなりがちな入学前後の費用を国の教育ローンでまかない、在学中の費用を奨学金で補う。こうすれば、返済時期をずらせ、金利負担も減らせる。

利用条件

メリットが多いように思える国の教育ローンだが、その融資対象、審査の条件にはどのような基準が設けられているのだろうか。手続きの流れとともに解説していく。

融資の対象者

融資の対象者は、中学校卒業以上の子供を持つ保護者であり、外国を含む「高校」「短大」「大学」「大学院」「専門学校」「予備校」など、対象となる教育施設での6か月以上の学習が条件となる。

加えて、国の教育ローンの融資条件には世帯年収の上限が設定されており、子供の人数によって変わる。最高でも子供5人がいる世帯の1,190万円(事業所得者の場合は970万円)。子供が1人しかいない世帯では年収790万円(同590万円)、2人の世帯では890万円(同680万円)までに制限される。ただし、「勤続年数が3年未満」「海外留学目的」など、要件を満たす場合は年収990万円(同770万円)まで上限が緩和される。

審査条件

融資対象者の年収に上限があることからもわかるように、国の教育ローンは通常の融資と異なり、経済的に子供の進学が困難な家庭も対象にしている。

このため、通常の融資とは逆に、融資対象者の年収下限は設定されておらず、年収200万円以下の世帯でも融資を受けられる可能性が高い。むしろ、利息や返済期間などの優遇措置が用意されており、ひとり親の家庭(母子家庭・父子家庭)でも利用可能だ。

ただし、「クレジットカードや公共料金の支払いが滞る」といった履歴があると、審査に通らない。このように返済能力に欠けるとみられる家庭や、生活保護受給中の家庭などは、審査に通らない可能性がある。

手続きの流れ

国の教育ローンで融資を受けるには、「申し込み」「必要書類の準備」「審査結果の通知」「契約手続き」「入金」という手順を踏む必要がある。

融資申し込み

インターネット、店舗窓口、郵送で申し込み可能だ。24時間申し込み可能なインターネットが便利だろう。

日本政策金融公庫のホームページにアクセスし、メールアドレスを登録する。本文内にURLが記載されたメールが届いたら、フォームに必要事項を入力して送信する。今後の手続きについて説明するメールが届くので、確認しよう。

必要書類の準備

別途、提出用の必要書類を準備、日本政策金融公庫各支店へ郵送する。

必要となるのは「借入申込書」「住民票」「運転免許またはパスポート」「直近の源泉徴収票または確定申告書」「家賃、住宅ローン、公共料金の支払いが確認できるもの」などだ。連帯保証人を立てる場合は、保証人の源泉徴収票なども必要となる。

審査結果の通知

申し込み完了後に審査が開始され、審査結果は書類で郵送される。申し込みから10日前後で発送され、審査に通っていれば「ご融資のお知らせ(兼借用証書)」が同封されているはずだ。

契約手続き

契約にあたっては別途、印鑑証明書、預金口座振替利用届(金融機関からの自動振替による返済を希望する場合)などの書類を用意しなくてはならない。これを、日本政策金融公庫の窓口、もしくは郵送で提出し、契約手続きを進める。

入金

申し込み人名義の金融機関口座へ、融資金額が振り込まれる。審査結果の通知から入金までに要する期間は約10日間だ。

使用用途が入学金などの場合は、合格通知が確認されてからの入金となる。

金利と返済期間

では、実際に国の教育ローンは金利をどの程度まで抑えられるのか。返済方法とあわせて解説していく。

金利

国の教育ローンに限らず、融資の金利は金融情勢によって変動する。だが、民間の教育ローン金利が年率5%前後のケースの場合でも、国の教育ローンは年率2%前後となるケースが多い。

2017年11月10日の時点での国の教育ローン金利は「年率1.76%」となっており、固定金利となるため、借入時の金利が返済完了まで適用される。

なお、年収200万円以下の世帯、母子家庭・父子家庭、もしくは年収500万円以下で子供が3人以上いる家庭は金利の優遇措置が適用され、約0.4%低い金利となる。参考金利が上述の年率1.76%であれば、年率1.36%の金利となる。

返済期間

国の教育ローンの返済期間は「15年以内」とされている。在学中は、元金据え置きで利息のみの支払いが可能なことは解説したとおりだ。この場合、4年間を利息のみの支払いとすると、卒業後に元金を含めた返済金となり、残り11年をかけて支払うことになる。

返済期間に関しても優遇措置があり、年収200万円以下の世帯、母子家庭・父子家庭、もしくは年収500万円以下で子供が3人以上いる家庭は、最大18年まで返済期間が延長できる。

返済できない場合には

一般的な金融機関の民間教育ローンは、その多くが団体信用生命保険に加入している。これによって、借り主に万一の事態が発生し、返済不能となっても保険会社がカバーしてくれるのだ。しかし、国の教育ローンはこの保険会社に加入していない

つまり、借り主が返済不能になった場合、子供自身や配偶者など、近親者が残額を支払わなければならない。その分が低く抑えられた金利に現れている、ともいえるが、リスクとなる注意点があることも留意しておくべきだろう。

状況に応じた借り入れが大切

国の教育ローンは、奨学金との併用も可能であり、審査のハードルも金利も低いことから、積極的に活用していきたい融資のひとつだといえる。

上述したように、大きな金額が必要となる入学時は、保護者が国の教育ローンで援助し、在学中の学費を奨学金でまかない卒業後に子供が返済するなどが可能だ。

だが、いずれにせよ長期にわたって返済していく必要があり、金利が低いからと高額の融資を受けるのでは負担が増すばかりだ。重要なことは、卒業後の返済まで見据え、なにが必要でなにが必要ないのか、しっかり見極めて計画を立てることだ。

また、学校によっては返済の必要ない給付奨学金なども豊富にあるので、しっかり下調べをしてから借り入れを検討するのがもっとも賢いといえるだろう。