アンガーマネジメントとは?怒りの種類、実践方法、6秒をやり過ごすポイントを解説

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最近では、アンガーマネジメントを研修に取り入れる企業が増えています。 アンガーマネジメントとは、第二次感情である「怒り」をコントロールするスキルのことで、良好なコミュニケーションを保つ方法の一つとして注目を集めています。本記事では、アンガーマネジメントの実践方法やそのポイントを説明しています。
アンガーマネジメントとは?怒りの種類、実践方法、6秒をやり過ごすポイントを解説

アンガーマネジメントとは

アンガーマネジメントとは怒りの感情をコントロールするための心理トレーニングです。1970年代のアメリカで、DV加害者向けなどに開発されました。

衝動的な怒りやいら立ちと上手く付き合うことで、さまざまなトラブルを回避できます。怒らないことを推奨しているのではなく、怒る必要性を見極めて、怒りのエネルギーをポジティブに変えるトレーニングです。

注目が高まるアンガーマネジメント

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会によると、日本でもアンガーマネジメントを学ぶ人が増加しており、同協会の受講者は2017年には22万人、延べ約60万人に達しています。

アンガーマネジメントは現在、人間関係のカウンセリングや、アスリートのメンタルトレーニングなどにも活用されています。さらに心理分野や教育分野に留まらず、企業研修での需要が高く、多くの会社員が学んでいます。

また、副業として学びたい人、カウンセリングなど心理分野に携わる人のスキルアップ、子どもや学生と接する教育者や保護者など、多様な人がさまざまな目的で注目しているのです。

なぜアンガーマネジメントを学ぶのか

では、なぜアンガーマネジメントを学ぶ人が増えているのでしょうか?

近年、社会的にはさまざまな価値観が認められているものの、職場などで自分と違う価値観を受け入れられず、トラブルになることが増えています。

感情的に怒りを吐き出すだけでは、相手の理解を得られず衝突するだけです。しかし適切に怒りを伝えられると、良好な人間関係を保てるため、会社員の間でも需要が高まっています。

また社会問題となっている、職場内でのセクシャルハラスメントやパワーハラスメントなどの防止対策として、アンガーマネジメントを導入する企業が増えているのです。

怒りの正体とは?

「怒りをコントロールする」とはどのような状態をいうのか、またコントロールされる対象の怒りがどのように発生するのか、その仕組みを解説します。

怒りとは二次感情

怒りの元は、苛立ちや不満や、悔しさといったネガティブな一次感情です。それが貯まって噴火するものが怒りです。

そしてその怒りは、「こうあるべき」という価値観の表れでもあります。「始業開始5分前に着席しているべき」、「電話は3コール以内でとるべき」、「禁煙すべき」など、自身の価値観に合わない事象に対して、苛立ちや不満を感じて、怒りとなり出てきます。

つまり、怒りには、「自分の価値観をわかってほしい」という一次感情が隠されているのです。

怒りを自覚するための4つのタイプ

怒りには、「持続する怒り」、「強度が高い怒り」、「攻撃性がある怒り」、「頻発する怒り」の4つのタイプがあります。

継続する怒り

怒りがいつまでも忘れられなかったり、怒りを思い出してまた怒ったり、終わったことをいつまでも許せずに怒りが持続する状態のことです。

自分の気持ちを相手にうまく伝えられないので、一度で怒りを消化できず、「あの時はこうだった」と後からも怒りが沸いてきてしまいます。

強度が高い怒り

ネガティブな感情を限界まで溜めるので、怒りだすと歯止めがきかなくなり、相手に激しく怒鳴り声を浴びせてしまいます。

怒りをうまく表現できない人に多いので、小さな問題でも周りに相談することで回避できます。

攻撃性がある怒り

怒りで相手を攻撃するので、相手は恐怖しか感じません。攻撃的な怒りは相手だけでなく、モノにあたったり、他人にあたったり、自分を責めたりすることもあります。

頻発する怒り

精神状態が安定していないときに、怒りが頻発します。見るもの聞くものささいな事に苛立ってしまうので、常にイライラしています。

6秒をどう乗り越えるかが勝負

怒りは瞬間的なもので、ピークは初めの6秒間と言われています。この6秒間をどう乗り越えるか、アンガーマネジメントの方法を説明します。

数を数える

怒りを感じたら頭の中で1から順に数えたり、100から99、98と数を減らしたりして、気持ちを別のことに向けることで怒りを意識から追い出せます。

重要なことは、数を数えることに集中することです。数を数えるときも、1、3、5、7…と2を足していくなど、なるべく数えることに集中するようにしてください。

深呼吸する

怒りを感じたら、深呼吸してください。5秒かけて、ゆっくりと鼻から吸い込みます。また5秒かけて口から吐き出します。これを3回繰り返してみてください。

体にたくさんの酸素が行き渡ると、心と体が和らいで気分が落ち着きます。頭もすっきりするので、怒りを冷静に受け止められます。

その場から離れる

怒りが溢れ出てきたら、怒る前にその場から離れることも怒りをコントロールする方法のひとつです。

別部屋に行くでも、トイレに行くでも、エレベーターで1階に降りるでも構いません。空気を変えることが重要です。

自分に言葉をかける

『コーピングマントラ(Coping Mantra)』という方法で、自分自身に落ち着くための言葉を投げかける方法です。

「大したことない」、「大丈夫」など、自分が安心する言葉、前向きになれる言葉を、ポジティブセルフトークとして心の中で唱えます。そうすることで、気分を落ち着かせて、客観的に怒りを処理できます。

考えることをやめる

考えるから怒りが沸いてきます。怒りが抑えきれないなら、考えることをやめてみるのも、ひとつの方法です。「考えない」と自分に命令するように、念じてみてください。怒りの元になる感情のことを一切考えないようにできます。

アンガーマネジメント実践のポイント

アンガーマネジメントの実践とは、怒りを抑え込むことではありません。怒りをコントロールして、相手が理解できるように怒りを伝えることです。ここからは、3つのポイントを紹介していきます。

自分自身の要望や価値観を明確にする

怒りの感情に任せて怒ってしまうと、相手の心にも怒りの感情が沸いて関係性がこじれるだけです。「何度言ったらわかるの?」とか「いつもそう」など、過去の出来事に怒りをプラスすることも厳禁です。言われた相手は、ネガティブな感情を抱くだけです。

まずは、相手に何を求めているのか自分の要望や、価値観をはっきりさせます。そして、相手が理解しやすいように言葉を選び、冷静に伝えることが重要です。

伝える・伝えないの線引きする

何事にも、変えられるものと変えられないものがあります。相手の性格や能力、状態はなかなか変わりません。変わらないことに怒っても、無用なエネルギーを使って疲れるだけです。

変わるのか、変わらないのかを見極めて、変わることに対してだけ怒りを伝えましょう。
変えられないことには、「仕方ない」と受け流せるようになると、怒りのコントロールが適切にできるようになります。

「私」を主語に話す

私はこう思う」、「私はこうしてほしい」というように、「私」を主語にすることで、自分の気持ちを伝えようという姿勢で、冷静に伝えられます。

他者を主語にしてしまうと、批判になりやすく、建設的な会話が生まれにくいです。「私」を主語にして、相手の人格を否定せず、事実だけを伝えることが大切です。

アンガーマネジメントがコミュニケーションを改善する

怒りが生じるのは、人間として当たり前です。しかし怒りの表現の仕方によっては、人間関係を悪化させたり、大きなトラブルを招いたりしてしまいます。

アンガーマネジメントを用いることで、感情的に怒るのではなく、適切に思いや考えを伝えるコミュニケーションが成立します。怒りに任せた言動を控えることで、ビジネスや自己成長の機会損失を未然に防ぎましょう。

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