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意識改革とは
意識改革は一般的に、業績効率化や社員教育、職場環境の改善を目的に行われます。すぐに業績向上につながることは決して多くはありませんが、経営基盤の再構築には必要不可欠です。意識改革とは、経営者はもちろんのこと、社員一人ひとりが「成長したい」「自分を変えたい」「会社を盛り上げたい」など、自らを成長させる意識をもつことが必要です。
意識改革の意味
「上司に言われたことだけをやる」「生活のためだけに仕事をする」といった意識では何も変えられません。つまり意識改革の意味とは、一人ひとりがパラダイムシフトを起こし、自らの思考や行動を変えるということなのです。
意識を変える方法
意識改革において、経営者は、社員をコントロールしようとせず、社員が成長できる環境を整えなければなりません。経営者が社員をコントロールしようとすればするほど、社員は自らで考え、行動することをやめてしまうからです。
しかし、人事任せ、現場任せにしてしまうことも、経営者としての役割を果たしているとはいえません。経営者は自らがコミットし、意識改革の核であるべきです。つまり社員の意識を変えるためには、まず経営者自身が自らの価値観や固定概念を自覚し自らを変革する必要があるのです。
意識改革を成功させる方法
意識改革を成功させる方法について解説していきます。4つのステップに分けて、「どのように意識改革を進めていけばいいのか」「どのようなことを意識して行えばいいのか」について説明します。
何を変革させるべきか
まず初めにやるべきことは、「何を変革させるべきかの明確化」です。つまり、抽象的な理想像をイメージするのではなく、会社の現状を把握して問題を明確化させ、具体的な理想像を考えることが大切です。
たとえば、赤字経営を脱するために「売上をあげろ」と、精神論だけで乗り切ろうとするのではなく、「まずは無駄な経費の削減から始める」ということです。
なぜ変革が必要なのか
何を変革させるべきかを明確にしたら、次は「なぜ変革が必要なのか理解させる」必要があります。上記の失敗するケースでもご説明したとおり、意識改革の必要性を共有しなければ、意識改革をやることが目的化されてしまうからです。
具体的には、意識改革をしなければ、「今後どのような問題が起こるのか」「意識改革をすることでどのようなメリットがあるのか」を経営者から管理職へ、管理職から社員へ伝える必要があります。あるいは、社員から意見を募ることで、意識改革を組織全体で進めていくのも一案です。
何に集中するか
会社全体で意識改革の必要性を共有できたら、次は「何に集中するか明確化・定量化する」というステップです。
たとえば、経費削減を目指すのであれば、「〇〇費を〜%減らす」「使用していない電気はこまめに消す」「消耗品や事務用品を今よりも安い購入先に変える」というように、社員一人ひとりが行動を起こしやすい目標を明確化・定量化する必要があります。
トップ層が一体となり模範になる
そして、意識改革を実行の段階に入ったら、トップである経営者と現場のリーダーである上司が同じ意識を持ち、社員の模範となる必要があります。
意識改革のために、社員がやるべき行動が具体化されているところで、トップやリーダーが社員に指示しているだけでは、本当の意味で意識改革はできません。トップとリーダーが目に見える行動を率先して行うことで、それを見た社員も行動に起こしやすくなります。
意識改革が失敗する3つのケース
意識改革を成功させるためには、失敗するケースを学んでおく必要があります。意識改革が失敗するケースを3つ紹介しましょう。
問題を問題として認識していない
意識改革が失敗するケースとして、問題を問題として認識していない場合が挙げられます。そもそも、改善が必要な問題があると認識していなければ、意識改革が必要だと思うことすらありません。
問題を問題だと捉えられる人とそうでない人が混在していると、意識改革の目的や解決すべき課題について認識の齟齬が生じてしまいます。意識改革を推進しようというモチベーションは組織全体に浸透しづらくなるでしょう。
組織として機能不全になっている
組織として機能不全に陥っている場合、どんなに崇高な目標が掲げられていても「意識改革自体が目的化」するだけで、結果が伴いません。例として次のようなケースが挙げられます。
- 管理職と部下の間の意識の剥離
- 会社としてのビジョンが不透明
- 上司が模範でない
- 不十分なサポートや環境
- 適切な評価や待遇の欠如
- 長時間労働の常態化
問題の根本的な原因を特定できていない
問題の根本的な原因にアプローチできていない場合にも、意識改革は失敗します。上司が部下に対してのみ意識改革を求め、ミスやトラブルを他人のせいにして原因探しよりも犯人捜しをしている限り、何も変えられません。
それよりも、問題の原因たる仕組みや制度、環境の整備が最優先課題です。つまり、部下のモチベーションを上げたいのなら、就労環境を整備したり、ワークライフバランスが望める働きやすい制度を作ったりするというのも重要でしょう。
意識改革の成功事例 | 大手航空会社
ではここで、意識改革の成功事例として、ある大手航空会社を例に紹介します。
ある大手航空会社が意識改革を行う前は、「採算意識の欠如」と「縦割り意識」が最大の問題とされていました。収入に見合わない予算の使い方をする、他部署間との連携がしっかりと取れていないなど、課題は山積だったといいます。
その結果、経営破綻に陥り、会社更生法を申請するにまで事態は悪化したといわれています。経営再建のために課題を明確化した結果、「意識改革」と「部門別採算制度」の2本柱が掲げられたのです。
意識改革の方法と結果
意識改革の方法として、まず初めに取り組んだことは、経営に携わる管理職への「リーダー教育」です。リーダーが社員の模範となることから着手したのには注目です。
管理職へのリーダー教育が終了すると、次に、全国のリーダーへの教育が行われ、最終的に従業員一人ひとりにまで意識や価値観、考え方の共有を進めて行きました。
結果、従業員自らが経営を意識して行動するようになり、他部署との横のつながりを活用しながら円滑な業務を遂行できるようになったのです。
意識改革の成功の秘訣とは
意識改革が成功すれば、業績が伸び、社員一人ひとりが働きやすい環境を整えられ、会社のイメージアップにもつながります。しかし、その一方で、組織として機能不全に陥っている場合、社員によっては「強制的に意識変容を求められる=自らを否定された」というような捉え方をするケースも考えられます。
意識改革の成功の秘訣とは、本当に意識改革は必要なのかを慎重に見極め、仕組みや制度の整備と並行しながら、効果的に社員に促していくという見極めであるといえるのではないでしょうか。
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