Uber Eatsは普及するのか | 質の高い出前文化の日本でフードデリバリーはどうなる?

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記事の情報は2018-08-18時点のものです。

マクロミルは、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の1都3県に住む男女1,000名を対象に、フードデリバリーについて、その利用実態やユーザーの意識を調査し、6月19日にその結果を発表した。それによると、直近1年間では6割が利用していることがわかった。
Uber Eatsは普及するのか | 質の高い出前文化の日本でフードデリバリーはどうなる?

多様化するフードデリバリー

料理や食べ物を配達してくれるというフードデリバリーサービス。日本では「出前」として、そば屋・ラーメン屋・寿司屋などが配達するサービスが古くから存在した。

ところが、近年ではお気に入りのレストランの料理をデリバリーしてもらえるという「Uber Eats」の登場など、新しい形態のフードデリバリーが増えている。

では、その実態はどうなっているのだろうか。マクロミルでは、1都3県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)に住む男女1,000名を対象に、フードデリバリーについて、その利用実態やユーザーの意識を調査した。その結果、直近1年間では6割が利用していることがわかった。

日々の食事ではなく「特別なとき」だけの利用が主流

まず、全員に利用する頻度について聞いたところ、月に1回以上と比較的頻度の高い人が15%、年に数回利用する程度の人が44%だった。この合計で59%、つまり約6割が、直近1年間にフードデリバリーを利用していることがわかる。

また、週に1回以上の利用者は1.3%にとどまり、日々の食事に利用しているという人は少ないようだという。

出典:「フードデリバリーの利用実態とは?1都3県で調査!」マクロミル

次に、直近1年間にフードデリバリーを利用した582名に利用シーンを聞いた。その結果、最多は「料理が面倒なとき」で34%、次いで「忙しく、食事の準備ができないとき」と「チラシやクーポンを目にしたとき」が同率の27%だった。“料理が面倒な時”、“忙しい時”といったシーンがフードデリバリーを利用するポイントとなっているようだ。

また、この結果からポスティングの“チラシ”や、ニュースアプリなどと連動した“クーポンチャンネル”なども、デリバリーの購買には効果を発揮することが見えてくる。

続いて、「お祝いや記念日などの時」24%、「友人・知人が集まった時」23%、「贅沢をしたい時」21%、「親族が集まったとき」20%が上位7位に入った。“祝いごと”や“特別な日”にもフードデリバリーは重宝されている様子がうかがえるとしている。

出典:「フードデリバリーの利用実態とは?1都3県で調査!」マクロミル

では、どのような料理がオーダーされているのだろうか。直近1年間にオーダーした料理をすべて選んでもらったところ、1位は「ピザ・パスタ」の84%、2位は「寿司」で39%。3位以降にランクインした料理は、「ラーメン・中華」14%、「丼もの」14%などとなった。

やはりデリバリーの王道は「ピザ」だといえるが、3位以降の料理は分散傾向のようだ。デリバリーの裾野が広がってきているといえるだろう。

出典:「フードデリバリーの利用実態とは?1都3県で調査!」マクロミル

続いて、注文手段を調べた。その結果、もっとも利用されている手段は「電話」で、61%だった。次いで、「PC」が38%、「スマホ・タブレット(サイト利用)」が29%、「スマホ・タブレット(アプリ利用)が9%となった。直近1年間にこれらいずれかのインターネット経由でフードデリバリーをオーダーした人を算出すると63%という結果となった。

東京都30代のユーザーの10人に1人以上が「Uber Eats」の利用経験あり

最近「Uber Eats(ウーバーイーツ)」が注目を集めている。これは、配車サービス「Uber」が2016年から開始したフードデリバリーサービスで、パソコンや専用のスマホアプリから注文すると、Uber Eats提携店の料理を届けてくれるというシステムだ。

普段はデリバリーを行っていないレストランなどの料理が注文できることで話題だが、配達はウーバーイーツ側の配達員のため、店舗側が雇う必要はない。配達するのは登録している一般の人であり、自動車シェアと同じように、空いた時間を利用して仕事するしくみだ。

まず、直近1年間にフードデリバリーサービスを利用した東京都在住者240名に絞った結果で確認すると、「Uber Eats」の20~60代の“認知率”は17%だった。年代別でみると、20~30代は2割代と、他世代に比べ認知率が高い。

出典:「フードデリバリーの利用実態とは?1都3県で調査!」マクロミル

出典:「フードデリバリーの利用実態とは?1都3県で調査!」マクロミル

続いて20~60代の“利用率”については、現時点では5%だった。一方、40~60代ではほとんど利用されておらず、20代が6%、30代が13%だった。東京都30代のフードデリバリーユーザーにおいては、10人に1人以上が「Uber Eats」を利用したことがあるという結果となった。

話題性もあり、新しい形態のサービスのため、まずは利用してみようという人もいるようだが、
そもそも古くから、ほとんど汁をこぼさずに運ぶ蕎麦の出前が当たり前、ピザ屋は30分以上経ったら返金など、デリバリーの質が高いのが日本。

配達員が素人であるという点や、そもそも配達員がいないなどの課題もあるようだ。今後どこまで利用者の満足度を高めていけるのかは未知数である。

屋外への配達も、利用場所の幅も広がる

出典:「フードデリバリーの利用実態とは?1都3県で調査!」マクロミル

フードデリバリーの中には、配達エリア内であれば屋外の場所にも配達してくれるサービスがある。直近1年間に、屋外への配達を利用していない人(直近1年間にフードデリバリー自体を利用していない人も含む)970名に対し、そうした屋外への配達について利用したいと思うか尋ねた。その結果、「利用したい」が48%、「利用したくない」が51%と、ほぼ半々という結果となった。

屋外での利用については、未経験の人も含め、そこまでの必要性を感じないという人も多いのだろう。BBQの実態調査でも、最近は外でのBBQではなく室内施設が人気だ。

実態調査からは、日本でのフードデリバリー業界は、インターネット利用による注文で、裾野は広がりつつある。出前文化が根付く日本において、ウーバーイーツのような新しいサービスが広がるためのカギは、きめ細かいサービスによる「顧客満足」にありそうだ。