普及進む医療のIT化
医療ITの普及が進んでいる。高齢化が進む中、社会保障制度の見直しや効率化は、業界だけでなく社会的な問題だ。
そこで、広域医療連携システム、地域包括ケアシステム、電子お薬手帳システムといった情報連携の核となるシステムを軸に、医療情報プラットフォームの形成や診療データの電子化が進んでいる。民間企業による医療ビッグデータビジネスは、本格化しつつあるのだ。
これを受け、富士経済では、医療プラットフォームに集約・蓄積されたビッグデータを活用するためのシステム・サービス36市場を調査し、前回の調査結果を踏まえて総合分析を行った。
その結果、医療ビッグデータビジネスの国内市場は2017年は4,252億円を見込み、2025年には8,259億円に拡大するという。
2017年の市場は4,252億円、2025年には8,259億円に拡大
「医療ビッグデータビジネスの国内市場」富士経済
調査は、医療ビッグデータビジネスの国内市場を創薬支援関連、医療ビッグデータ分析関連、医薬品開発支援関連、ビッグデータ活用治療・診断システム関連、遠隔/IoT活用治療・診断システム関連、医療向けプロモーション支援関連、介護・福祉支援関連、医療向け個人情報管理システム関連の8カテゴリーに分けて行われた。
その結果、2017年の市場は4,252億円を見込み、2025年には8,259億円に拡大すると予測している。
カテゴリ別にみると、もっとも市場規模が大きいのがビッグデータ活用治療・診断システム関連で、特にテーラーメイド医療(個別化医療)は高薬価の医薬品の取り扱いが多く、市場を押し上げているという。
また、医薬品開発支援関連はすべての品目で伸長しており、今後も拡大すると予測している。臨床試験で被験者から収集するデータなどを管理するEDCシステムは2016年時点でもっとも大きい市場だった。EDCシステムはCROを通じて製薬企業や大学の臨床試験で用いられ、ほとんどの製薬企業で採用されているという。
そして、今後もっとも高い伸び率が予想されるのが電子的原データ収集システム(eSource)で、まだ導入施設は限られているものの、今後普及が進むと富士経済では予測している。