実質実効為替レートとは | 調べ方・実質と名目の違い・チャート例

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近年、日本では名目為替レートと実質実効為替レートの乖離が話題になっています。実質実効為替レートは「通貨の実力」を表すとよく言われます。本記事では、実質実効為替レートの確認方法やチャートを使った円安・円高の判断方法などを解説します。

実質実効為替レートとは | 調べ方・実質と名目の違い・チャート例

実質実効為替レートとは

実質実効為替レートは、外国為替市場における為替レートのひとつで、一つの国の総合的な通貨の実力を測るために使われる指標です。

通貨の価値は、常に変動しているうえに対象となる国の通貨に対して高いのか安いのか、判断しにくいことがあります。そこで、通貨の実際の価値(実力)を計測するための目安として、実質実効為替レートが用いられるのです。

名目実効為替レートと実質実効為替レートの違い

為替レートには、二国間のレートのほかに「名目実効為替レート」と「実質実効為替レート」があります。

名目実効為替レートとは

一般的に為替相場は、特定の二国間の通貨を比較し、レートが決定されます。たとえば「ドル・円」「ユーロ・円」などにおける「1ドル105円」「1ユーロ128円」といった表記です。

しかし実際には、米国や欧州以外にも多くの国や地域があるため、ユーロ・円は汎用的な数字とはいえません。他の国の通貨も含めて考えたとき、円高・円安を判断できません。

そこで登場するのが、名目実効為替レートです。名目実効為替レートは、指数化した為替レートを貿易相手国との取引量で加重平均し、「ある通貨の対外的な競争力」を表す指標として使用します。

実質実効為替レートとは

実質実効為替レートは、名目実効為替レートにインフレ率(物価上昇率)を加えて計算した値です。実際の物価変動まで考慮しているため、通貨の真の力が反映されやすいといわれています。多くの市場関係者が注目するのも、この実質実効為替レートです。

2018年現在、日本を含む59の国や地域の貿易量、物価変動を考慮して決められており、世界から見た円の実力に近い指標といえます。また、通貨の中長期的な値動きを探るヒントになるとも考えられています。

実質実効為替レートの調べ方・確認方法

実質実効為替レートは、Web上で簡単に確認できます。

国際決済銀行(BIS)

国際決済銀行(通称BIS)は、各国の通貨ごとに実質実効為替レートを管理している機関です。1930年に各国の中央銀行をメンバーとして設立され、スイスのバーゼルを拠点としています。

BISには60の国や地域が加盟しており、代表的な通貨の実質実効レートを確認できます。

出典:BIS

日本銀行

日本銀行の「時系列統計データ検索サイト」では、BISが発表している実質実効為替レートに加え、名目実効為替レートも確認できます。

出典:日本銀行 時系列統計データ検索サイト

トップページから「主要時系列統計データ表⇒マーケット関連⇒実効為替レート(月次)」を選択すると、最新の実質実効為替レートが確認可能です。

出典:日本銀行 時系列統計データ検索サイト

実質実効為替レートから円安・円高の推移を読む

日常的にテレビやラジオなどで報じられる為替レートには、物価変動が盛り込まれていません。しかし、物価変動を加味して為替を見ることで、単純な円安・円高とは違った動きが見えてきます。

実質実効為替レートのチャート例

出典:eワラントジャーナル

上のチャートは、日本円と米ドルの為替レートに、実質実効為替レートを重ねたものです。赤青どちらの線も、上にいくほど円安、下に行くほど円高と考えてください。

2000年代初頭を境に、名目為替レートと実質実効為替レートに大きな乖離が生まれています。さらに乖離は2016年を過ぎても埋まらず、やや拡大傾向にあります。つまり名目上は円高(円の力が強くなっている)のように見えても、物価変動を加味すると実は円安傾向だったといえるでしょう。

名目上の為替レートで通貨の価値が高まっても、物価上昇が伴わなければ実力は評価されにくい、とも考えられます。