人生100年、いかに自分らしい人生を生きるか
最近よく耳にする「人生100年時代」という言葉。もともとは、英国のリンダ・グラットン氏が著書「ライフシフト」で提唱した概念であり、昨年の「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされたことで知った人も多いだろう。
実際に「100歳まで」とはいかずとも、平均寿命は延び続けている。60歳で定年の時代は終わり、70歳・80歳まで働いたり自己実現のための活動を行うなど、これまでの人生設計は大きく変わってくる。それが「人生100年時代」という言葉の概念だ。

また、自分の「死」までの期間を有意義に、自分らしく生きるための終活もブームだ。これに共通するのは「肉体的な健康」を求めるだけではなく、「心の充実」を求めて生きるという姿勢だろう。
しかし、これは簡単なことではない。いかに自分らしい人生を生きるか。そもそも自分らしい人生とはどんなものか、見つけられない人も多い。
そこで本記事では、7月に「人生100年の歩き方」というサイトを立ち上げたアクサ生命の「人生100年時代に関する意識調査」に注目する。
「人生100年時代」に対する、人々の本音を探っていこう。
老後の生活を悲観的に捉える人が6割
20代~60代の男女1,000人を対象に行われた調査では、世代によって意識にも変化があることが見えてくる。
人生100年時代」の捉え方については、ポジティブとネガティブがほぼ半々。時代の変化に柔軟に反応できるであろう20代が、一番ポジティブ捉えているという結果となった。
老後の生活については、61.1%が悲観的であることがわかった。
出典:アクサ生命「人生100年時代に関する意識調査」
また「あなたは100歳まで生きたいと思いますか?」という問いには、「まったくそう思わない」36.9%、「あまりそう思わない」41.9%と、7割以上がそう思わないことがわかった。老後の生活を悲観的に捉える人が6割いることをふまえると、当然の結果だろう。
長生きのリスクを多くの人が実感している
「長生きすることは、リスクになるか」という問いで、注目すべきは「収入減少」や「年金制度の破たん」が上位にきていることだろう。身体的な衰えや病気は、年を重ねれば誰しもが持つ不安だ。しかし収入などの問題で、長生きを悲観せざるを得ない状況は、国としてのシステムに危機感を持つべきだろう。
またリスクに対する備えをしていると回答した人はわずか16%だったという。「備え」と「生きることへの意欲」には相関関係があると同社は指摘する。備えられていると回答した人は、備えられていない人より、「生きたい」という意欲が2.5倍という結果が明らかになった。
出典:アクサ生命「人生100年時代に関する意識調査」
出典:アクサ生命「人生100年時代に関する意識調査」
「100歳まで生きていたい」と誰もが思える社会へ
同調査で見えてきたのは、健康、老後の収入、年金破たんなど物理的な事情で不安を抱え、長生きすることを悲観しながらも、「人生100年時代」をポジティブに捉えたいと願う人たちの姿だ。
特に、経済活動の中では第一線で活躍しているであろう30代~40代が、先行きを前向きに捉えられない状況は、日本の閉塞感を象徴している。
いきいきと人生を楽しみ、自分らしい人生を送るために何ができるか。一人ひとりが考えることは素晴らしいことだ。しかし「人生100年時代」の本質は、誰もが「100歳まで生きたい」と思える社会をつくることにあるのではないだろうか。
最近話題となっている「ベーシックインカム」も、人生100年時代における国の在り方の選択肢なのだろう。

国として、業界として、企業として。それぞれの立場でこの課題に向き合うべきである。「安心して長生きできる」社会の基盤を作り上げることが、100年時代を「真に輝いて生きる」ための絶対条件だろう。