電通の魅力度ブランディング調査とは
「魅力度ブランディング調査」とは、電通パブリックリレーションズ内の企業広報戦略研究所(C.S.I.)が行っている調査である。
目的は、生活者が企業のどのような活動(ファクト)に魅力を感じ、その魅力がどのように伝わっているのかを解析することである。3回目となる今年は調査範囲をこれまでの10業種・150社から20業種・200社に拡大したという。
調査対象は、全国の20~69歳の男女それぞれ、業界ごとに500人ずつ 計1万人で、魅力を感じる業界、魅力を感じる企業、魅力を感じた要素などについて尋ねている。
また、この調査の前提となるのが、「魅力度ブランディングモデル」である。
これは生活者が企業に感じる魅力を「人的魅力」「財務的魅力」「商品的魅力」の3要素(各12項目、合計36項目)で検証する、独自のブランドモデルである。2016年に同研究所が開発し、マーケティング学会2017ベストペーパー賞を受賞している。
## 魅力を感じる1位は「ビジョンを掲げ、業界をけん引する企業」
魅力を感じる企業の項目をランキング化したのが、以下の表である。
1位の「ビジョンを掲げ、業界をけん引している」は3年連続だという。また同社が今年の特徴としてあげているのは「人的魅力」に関する項目が、1位だけでなく4位までを占める結果になったことだ。これは調査開始以来初で、生活者が「人的魅力」を重視する傾向だと分析している。
また働き方改革のあおりを受け、社員に関する項目がランクインしたことも、もう一つの特徴だ。3位の「こだわりをもった社員が品質向上にチャレンジしている」(39.4%)、4位の「まじめで、信頼できる社員がいる」(39.0%)も、今年はじめてランクインしたという。
魅力を感じる業界「海外自動車・自動車関連部品業界」が1位に
次に業界別でのランキングをみていこう。1位になったのは、「海外自動車・自動車関連部品業界」で、人的魅力・財務的魅力・商品的魅力の3つの視点の合計ポイント数がもっとも多かった。
この業界は、特に「商品的魅力」の割合が高く、中でも「熱心なファンが多い商品・サービスを提供している」「高い技術力・ノウハウにもとづく商品・サービスを提供している」などの項目が高いことから、海外自動車メーカーはファンとのエンゲージメントが強いと、同社は分析している。
2位の飲料業界は一部飲料メーカーが高いポイントを獲得し、業界全体の魅力量をけん引する結果だという。特に、「ビジョンを掲げ、業界けん引している」や「文化・芸術・教育・スポーツの活動に熱心に取り組んでいる」などの項目が高い企業があったという。
3位の損保・生保・商社業界では、「財務的魅力」が34.2%と全業界で1位を獲得しており、中でも「収益基盤が安定している」が各社トップとなっている。
環境配慮や社会貢献への注目度は?
また近年、環境配慮や、社会貢献などの企業の取り組みが注目されていることをうけ、認知や魅力についても訪ねている。
E:環境、S:社会、G:ガバナンス の認知度について聞いたところ、ESGの認知は15%であった。
そしてその中でも魅力を感じる企業の取り組みを聞いたところ、E:環境がもっとも高く42%となった。環境に対する生活者意識は高まっており、企業に対しても環境への取り組みを期待していることがわかったと、同社は分析している。
どの視点で商品やサービスをアップデートさせていくか、企業の活動を広げていくかなどの戦略を立てる際に、こうした分析は有益なものである。
時代とともに生活者が求めるものは常に変化している。その変化をうまくとらえ、企業ブランディングに生かしていくことが大切である。