ダウの犬戦略とは | 銘柄一覧・米国株の投資手法・日本株への応用方法

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ダウの犬戦略とは、NYダウの株式銘柄の中でも配当利回りの高いトップ10の企業に対して投資して、1年間で銘柄を見直して再投資を行ってインデックスよりも高い投資収益を目指す投資手法です。もともとは米国株のための投資手法ですが、その投資理論は日本株に対しても応用可能です。ダウの犬戦略の概要とそれを適用した2018年版の米国株、日本株のポートフォリオについて解説します。
ダウの犬戦略とは | 銘柄一覧・米国株の投資手法・日本株への応用方法

ダウの犬とは

「ダウの犬」とは株式投資における投資手法の一種です。具体的には、NYダウを構成している銘柄の中でも配当利回りの高い銘柄を購入する戦略を指します。

NYダウは、経済誌のウォールストリート・ジャーナルを発刊するダウ・ジョーンズ社がニューヨーク証券取引所に上場している株式の中で、注目すべき銘柄30種類を抽出して算出している株価指数です。

日本の証券会社経由でも、外国株取引口座を解説すれば、NYダウの株式を購入できます。よって、日本在住でもダウの犬戦略を実践して株式投資を行うことは可能です。

ちなみに、日本株と違って単元株が存在しないので一株単位の少額投資が可能です。

株式投資をするには専門的な知識を習得したり、常に株式チャートをチェックしたりと難しいイメージがあるかもしれません。

高度なスキルを習得することはもちろん重要です。しかし、ダウの犬はこれらのイメージとは対照的に、比較的専門知識を使わずに行えるため、株式投資の初心者でも理解しやすい投資手法といえます。

この記事では、「ダウの犬」の投資手順・方法、銘柄の一覧、米国株の投資手法や日本株への応用方法を解説します。

「ダウの犬」の投資手順・方法

ダウの犬戦略では、NYダウという株価指数を構成している株式銘柄の中でも配当利回りの高い株式を10種類調べて株式を購入します。

そして、1年後にNYダウの中でも配当利回りの高い銘柄を10種類調べて、前年に引き続いて残っている銘柄はキープ、10種類から外れた銘柄は売却、新たに10種類に加わった銘柄を購入します。

「ダウの犬」の利点

ダウの犬戦略の利点・メリットは、手堅い投資ができること、投資による収支の期待値が高いことでしょう。

投資する銘柄の選定に専門的な知識も必要ありませんし、比較的悩まずに投資できます。

米国株でダウの犬戦略を実践

2018年配当利回りトップ10

では、実際にNYダウを参考にしてダウの犬理論を実践するために、2018年版(2017年末)時点での配当利回りトップ10の企業(銘柄)を紹介します。

銘柄 配当利回り 株価(ドル)
ゼネラル・エレクトリック 4.8% 17.45
ベライゾン・コミュニケーションズ 4.4% 52.93
IBM 3.8% 153.42
エクソンモービル 3.7% 83.64
ファイザー 3.5% 36.22
シェブロン 3.5% 125.19
メルク 3.4% 56.27
コカ・コーラ 3.2% 45.88
プロクター・アンド・ギャンブル 2.9% 91.88
シスコシステムズ 2.9% 38.3

(SBI証券のWEBサイトを元に作成)

ゼネラル・エレクトリック

アメリカ最大の電機メーカーで軍需産業なども展開している大手企業です。1896年にNYダウが発表されてから2018年まで採用され続けている唯一の銘柄で、ダウの犬戦略と言えばこの銘柄でした。

本記事では2017年末の情報を元にポートフォリオを紹介していますが、2018年度に株価が極端に低下し、2018年6月26日付でNYダウの指定銘柄から外されてしまいました。

ベライゾン・コミュニケーションズ

アメリカの大手通信会社でAT&Tに次ぐ2位のシェアを獲得しています。通信インフラという安定収益を確保していますが、スマホの普及も頭打ちになり現在あらたな成長源を求めて積極的に企業買収を行っています。アメリカのYahoo!を買収したことでも有名です。

IBM

1911年に創業したIT企業大手でIT産業の黎明期から活躍している企業です。近年はハードウェアの販売に苦戦しており、業績は横ばい傾向にありますが財務的にはほとんど問題ありません。アナリティクス、クラウド、モバイル、セキュリティ、ソーシャルなど新分野が成長しています。

エクソンモービル

エクソンモービルはいわゆる石油メジャーの最大手で、保守的な経営体質ですが、同業他社よりも積極的に株主に還元することで知られています。2018年6月には株主配当の増配を決定しており、通算で36年連続で配当を増配している点にも注目する必要があります。

ファイザー

アメリカの大手製薬会社で業界の中でも特に積極的なM&Aによって成長している企業です。景気に左右されにくい業種なのでリーマンショックの際もほぼ業績は下降しませんでした。2009年に減配するまでは41年連続増配しており、現在も積極的に利益を株主に還元している企業だと言えます。

シェブロン

エクソンモービルに次ぐ、アメリカの石油メジャーの1社です。石油メジャーの中でも油田の開発・採掘などの川上部門の割合が高いので、業績は原油価格の変動の影響を受けやすい銘柄です。

メルク

アメリカの大手製薬メーカーで、米国内ではファイザーに次ぐ規模の会社です。ファイザーと一緒にダウの犬戦略の銘柄になることが多い株式です。

2017年はサイバー攻撃による売上減少などがあり株価が下がりましたが、2018年からは開発中の抗がん剤が順調に実用化に近づいていることもあり株価が上昇しています。

コカ・コーラ

言わずと知れた大手飲料メーカーで、その株式は55年連続で増配している優良株として有名です。投資の神様と言われるウォーレンバフェットが運営するバークシャー・ハサウェイが筆頭株主になっており、業績も配当も安定しています。

プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)

日本でもP&Gという名称で有名な世界最大の日用品メーカーです。日用品という消費が手堅い産業でトップクラスのシェアを誇っており、かつコカ・コーラを超える62年連続増配を達成している企業ということもあり、株式投資でまず注目されやすい企業です。

シスコシステムズ

ルーターや無線LANなどのネットワーク関連製品でトップクラスのシェアを誇っている企業です。2000年のITバブル当時には時価総額で世界一位になったこともあります。

2010年までは配当を行っていませんでしたが、市場が成熟して競合が追随してきていることもあり、2011年から配当金を出すようになりました。

日本株にもダウの犬戦略は応用可能

日本株に対してもダウの犬戦略を応用できます。ダウの犬戦略は本質的にどのような株式市場においても応用できるからです。

日本の株式市場においては、ダウの代わりにTOPIXコア30と呼ばれる指標が存在します。

TOPIXコア30とは東京証券取引所が算出している指標で東証一部の銘柄の中でも時価総額と株式の流動性が高い30銘柄を選定した指標です。TOPIXコア30に対するダウの犬戦略の応用する場合の銘柄について説明します。

2018年配当利回りトップ10

では、2018年版のダウの犬戦略で購入するべき銘柄として、TOPIXコア30の中から配当利回りの特に高い銘柄のランキングの紹介と各銘柄を解説します。

銘柄 配当利回り(会社予想) 株価(円) 最低投資金額(円)
日産自動車 5.18% 1100 110,000
日本たばこ産業 5.08% 2952 295,200
みずほFG 3.67% 204.2 20,420
三井住友FG 3.61% 4,706 470,600
キャノン 3.6%(※) 3,584 358,400
NTTドコモ 3.55% 3,095 309,500
三井物産 3.45% 2,027 202,750
三菱商事 3.20% 3,594 359,400
東京海上HD 3.18% 5,653 565,300
トヨタ自動車 2.9%(※) 7,122 712,200

※キャノンおよびトヨタ自動車は会社予想の配当利回りを発表していないので2017年の楽天証券の調査を元に算出(出典:2017年楽天証券の調査を元に銘柄を選定、2018年9月25日時点データを調査)

日産自動車

日本初のメーカーでしたが、現在はフランスの自動車メーカーのルノーの傘下に三菱自動車と一緒に入っています。

7月には排ガス検査の測定値改ざんが問題になっていて今後の業績への影響が懸念されますが、割安感のある株式だと言われています。

日本たばこ産業

日本たばこ産業はJTとも呼ばれていて、たばこメーカーのイメージが強いかもしれませんが、医薬品や食品、清涼飲料水など事業は多角化しています。近年は東南アジアのたばこメーカーのM&Aを積極的に行っており、今後東南アジアへの進出が注目されています。

みずほFG

いわゆる三大メガバンクの1つですが、他のダウの犬銘柄と比較すると最低投資金額が少ないので投資しやすい株式です。創業当初から経営課題になっていた基幹システムに移行作業に2018年6月から着手しています。

三井住友FG

みずほFGと同じく、三大メガバンクの一角を担っている企業です。経営環境はみずほFGとほとんど同じですが、三井住友FGに限らず銀行は政策金利がマイナスになっていることやFinTechの出現により今後ビジネスモデルの転換が求められている業界です。

キャノン

日本の映像機器や事務機器のメーカーですが海外市場が大きなウェイトを占めています。配当利回りが高いメーカーとしても有名で、連続増配しているわけではありませんが、配当金は増配傾向にあります。

NTTドコモ

携帯電話事業の最大手で40%程度のシェアを獲得しています。インフラ的な性質が強く業績は安定しており、2017年度には約1兆円の営業利益をあげています。上場してから一度も配当金を減配しておらず、2018年度も増配予定です。

三井物産

日本を代表する商社で金属資源、エネルギー分野に強みを持った商社です。

しばらく資源分野の不調に苦しんでいましたが、2018年3月期の連結決算では資源価格が回復して過去最高益を記録しました。

三菱商事

三井物産と同じく三菱商事も日本を代表する商社の1つです。

三菱商事も2018年3月期に過去最高益を記録していますが、非資源の分野が好調でした。三井物産、三菱商事に限らず大手総合商社は配当利回りを高めに設定している傾向があります。

東京海上HD

損保業界の最大手です。毎年安定した売上と利益を創出しています。保険業界は海外も含めたM&Aが活発的に行われており、東京海上も2018年9月に南アフリカの保険会社2社に約360億円の出資を発表しています。

トヨタ自動車

日本の代表的な企業です。ただし、単元株と1株単価が高いこともあり最低投資額が70万円程度になっています。ダウの犬戦略では10社の銘柄を均等額保有するのが原則なので、TOPIXコア30版ダウの犬戦略においてネックになりやすい銘柄です。

ダウの犬は「飼い方」次第

ダウの犬戦略について説明してきました。

ダウの犬戦略は投資初心者にとっては理解しやすい投資手法ですが、必ずしも投資の収支がプラスになるというわけではありません。

期待値は高いですが、リーマンショックのような不況下には収支がマイナスになってしまうことがあります。

また、株式市場全体の株価値上がり率よりもダウの犬戦略で購入した銘柄の株価値上がり率の方が低いこともあります。

ダウの犬戦略をとれば必ずしも良いというわけではありません。ダウの犬を、上手に飼いならすことが必要です。