トヨタが目指す水素社会とは?本社工場で世界初の汎用水素バーナー導入へ

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記事の情報は2018-11-09時点のものです。

トヨタ自動車は11月8日、工業利用を目的とした世界初の汎用水素バーナーを開発し、本社工場に導入したことを発表した。トヨタ自動車は水素ステーションの設置や、JR東日本との水素を活用したモビリティ連携の発表など、水素活用に積極的だ。トヨタの取り組みを紹介する。
トヨタが目指す水素社会とは?本社工場で世界初の汎用水素バーナー導入へ

政府も推進「水素社会」への取り組みとは

政府は2017年12月に「水素基本戦略」を決定した。これは水素コストの削減や、国際的な水素サプライチェーンの開発、FCVの普及などを掲げ、2050年を視野に、将来目指すべき姿や目標として官民が共有すべき大きな方向性・ビジョンを示すものである。

トヨタもこのビジョンのもと、2018年3月にトヨタや本田など11社と共同で、新会社「日本水素ステーションネットワーク合同会社」(JHyM・ジェイハイム)を設立。

FCVの普及に向けた水素ステーション拡充、それに向けたインフラ整備などを目的としたものだ。

また、トヨタ・モビリティ基金において、2017年から「水素社会構築に向けた革新研究助成」プログラムへの応募を受け付け、採択された研究機関などと連携し、意見交換などを進めている。

トヨタが描く水素社会とは、一体どんなものなのだろうか。

汎用水素バーナーを本社工場で導入

トヨタは11月8日、工業利用を目的とした世界初の汎用水素バーナーを開発し、本社工場に導入したことを発表した。

水素バーナーの実用化は、水素バーナー内で水素と酸素が急速に反応し、環境負荷物質であるNOxが生成するため、困難とされてきたという。今回同社は、中外炉工業の協力を得て、CO2排出ゼロ、NOx排出を大幅に低減させることに成功した。

出典:プレスリリース

この技術によって、国内の工場でガスバーナー1,000台以上を水素バーナーへと置き換え可能となるという。

同社は産業分野での水素利用を進め、水素社会の実現や産業分野の低炭素化を目指すとしている。

JRとの連携で駅周辺の水素活用を模索

同社9月に、東日本旅客鉄道(JR東日本)との水素活用における連携を発表している。

同社が持つFC(燃料電池)に関わる技術や、水素ステーション整備などの経験やネットワークと、JR東日本の鉄道事業や駅周辺の開発にかかわる技術やノウハウなどを共有し、駅を拠点とした低炭素で魅力ある地域づくりへ貢献するという。

先日発表されたソフトバンクとのモビリティ新会社「MONET」では、交通弱者や買い物困難民の救済、地方交通の課題解決、次世代モビリティによる地域活性化に貢献することなどを発表している。

豊田社長は「自動車産業は今、電動化、コネクティッド、自動運転などの著しい技術の進歩により、100年に一度の大変革の時代を迎えている。」と語っている。

自動車製造メーカーから、モビリティ会社へ。水素はそのうちの環境負荷を低減するためのひとつの手段である。水素単独での取り組みというよりは、EVやコネクテッドカー、地域との連携強化などを進める中で、日本NO.1の企業としての存在感を示したい考えだ。