日本人は運転に自信なく楽しめない?自動運転、期待と不安が半々

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自動運転車が当たり前になれば、自動車を運転する行為は不要になる。しかし、必要に迫られて運転している人ばかりでなく、ドライブを楽しむ人は世界的にも多い。ただし日本では、運転に自信がなく楽しめない人が他国より多いようだ。自動運転への期待と不安は拮抗している。

日本人は運転に自信なく楽しめない?自動運転、期待と不安が半々

自動運転で世の中はどう変わるか

2017年から2018年にかけて仮想通貨が話題になったのに対し、2018年に入ってからの注目技術は自動運転だ。

自動運転には課題がまだ多いものの、実用化は近い。世界各地で自動運転タクシーなどが計画されている。先日も英国政府が、ロンドンで2021年をめどに自動運転のバスとタクシーを試験すると発表した。

自動運転車が当たり前になれば、運転という概念は消え、移動中の時間を有効活用できる。運転を楽しむことなど、昔話になってしまう。そんな時代の変わり目に、ドイツの自動車部品メーカー、コンチネンタルが運転に対する意識調査のレポート「The 2018 Continental Mobility Study」を発表した。

ドイツ、米国、中国、日本のドライバーを対象にした調査で、渋滞にストレスを感じる人が多い一方、運転を楽しんでいる人も少なくない、といった結果が得られた。運転行為に対する意識だけでなく、自動運転の受け止め方もそれぞれ異なり、興味深い。

国によって異なる運転に対する意識

コンチネンタルの調査結果から、まずはドライバーが運転についてどう感じているかをみてみよう。

渋滞はストレス、それでも運転は楽しい

運転する人にとって、渋滞は嫌なものだ。時間は無駄になるし、予定が崩れてしまう。しかも、鉄道の遅延と違い、周囲に合わせて車を動かす必要があり、気が抜けない。

コンチネンタルは、渋滞に巻き込まれてストレスを感じるかどうか調査対象者に質問した。すると、ドイツは67%、米国は53%、中国は40%、日本は64%の人が「渋滞はストレス」と答えた。

出典:コンチネンタル / Stress, Fun and Superman – the Complex Emotions of German Drivers

渋滞にうんざりして運転などしたくない、と考える人が多いのではないかと予想したのだが、結果は違っていた。「運転が楽しい」と感じる人は、ドイツが64%、米国が62%、中国が69%と、意外にも少なくなかった。ただし、日本で運転に楽しさを感じる人は43%にとどまり、ほかの国との差が大きい。

運転技術に自信がない日本のドライバー

コンチネンタルは、運転に対する自信の有無も尋ねた。

「運転技術に自信がある」という回答の割合は、ドイツが66%、米国が83%、中国が69%、日本が25%で、こちらも日本の低さが目立つ。運転に自信のある人が少ない結果、運転を楽しめない人が多い、という関係があるのかもしれない。

運転に自信のない日本のドライバー

自動運転車が実用化された場合、運転に自信がなかったり、運転を楽しめなかったりする人は、自動運転の利用意向がほかの人より高いだろう。つまり、日本はほかの国より自動運転車の導入ペースが速くなる可能性もある。

自動運転に揺れる気持ち

続いて、自動運転に関する調査結果をみてみよう。

自動運転に任せたいが、信頼はできない

いくら運転が楽しい人でも、渋滞中は自動運転を利用したくなる。事実、コンチネンタルの調査では、渋滞や、高速道路の工事による車線規制といった状況の場合、ドイツのドライバーは約3分の2が「自動運転に任せたい」という回答を選んだ。

ところが、同じドイツでも「自動運転は疑わしい」と答えた人は57%もいて、自動運転を信頼しているわけではなさそうだ。ちなみに、2013年の調査では48%だったので、自動運転を信じていない人が増えてしまった。コンチネンタルは、米国で自動運転車の試験中に起きた事故の影響、と分析している。

信頼できないけれど、受け入れてもいい

信頼できないから自動運転技術を受け入れないのかというと、それも違う。「自動運転を受け入れる」という回答は、ドイツが52%、米国が50%、中国が89%、日本が68%あり、決して低くない。ここでは、中国ドライバーの自動運転に対する信頼の高さが群を抜いている。

出典:コンチネンタル / https://www.continental-corporation.com/en/press/press-releases/mobility-study-149660

確かに、以前紹介した別の調査でも、中国消費者は自動運転に信頼感を抱いている人が多かった。2018年の調査で、中国で完全な自動運転車に不安を抱く人の割合は26%と低く、日本57%、韓国54%、インド47%などとの差異が大きい。さらに、2017年の調査で不安視する人が62%おり、1年で36ポイントも信頼する人が増えている。

自動運転が普及すれば

自動運転車が普及すれば、運転行為そのものが不要になる。車で移動するという行動の中身も、現在から一変するはずだ。

完全な自動運転車はベッドルームに

たとえば、自動車メーカーのボルボ・カーズは、完全な自動運転が可能な電気自動車(EV)のコンセプトデザイン「Volvo 360c」で未来の自動車移動を描いて見せた。

ボルボによると、運転席が不要になって車内レイアウトの自由度を高められる。従来のシート配置の制約から解放され、仕事や食事をするテーブル、くつろいで映画などを楽しむソファー、移動中に睡眠をとるベッドなどまで設置できてしまう。

また、陸路であれば目的地へ直接到着できるため、飛行機などに比べ移動時の無駄が少ないと指摘している。空港への移動やチェックイン手続き、セキュリティチェックなどがないため、300kmほどの移動距離であれば飛行機を代替可能だという。

運転は優雅な趣味に

自動運転が当たり前の世の中なら、必要に迫られて自動車を運転していた人は、自動運転車へ移行する。その代わり、自動車の運転を心から愛している人たちだけが、優雅な趣味としてハンドルを握るようになるだろうか。そのような時代を自分の目で見たいものだ。

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